《【書籍化&コミカライズ2本】異世界帰りのアラフォーリーマン、17歳の頃に戻って無雙する》2章:異世界帰りだと學校でも無雙(4)

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晝食を終え、中庭のベンチでのんびりすごすのどかなひと時。

こんな時間は何年ぶりだろうか。

十七年? いや、転生する前も含めるともっとだ。

おまけに、隣には初の金髪巨黒タイツ

いや、この黒タイツは兵なんだが。

実に幸せだ。

こんな時間がずっと続けば良い。

そう願うだけでは、簡単に壊されてしまうものだとオレは知っている。

オレがこの時を護るんだ。

「明日からはお弁當持ってこなくていいんだからね」

弁當箱をしまいながら由依が言う。

「いやいや、それはこっちのセリフだ。弁當なら雙葉が用意してくれるし、これからはオレと代にしようと思ってるからな」

今日は由依が用意してくれたものと二食分食べたが、腹が破れそうだ。

は強化したが、胃袋は急に大きくなったりしない。

「だから、私が毎日作ってきてあげるってば」

「正直嬉しいが、わるいだろ……」

「嬉しいならいいじゃない」

「材料費もかかるし」

「お金ならあまってるし」

「高校生とは思えないセリフ!」

「高校生に扱えない金額を自由にできるもの」

「せ、格変わってないか?」

以前は家柄のことを話したがらなかったはずだが。

「カズと一緒に戦えることになったんだもの。使えるものはなんでも使わなきゃ」

そう言って、由依はオレの手をぎゅっと握ってくる。

が若いから神もそれにひっぱられているせいだろうか、すごくドキドキするぞ。

問題はこの中庭、教室から丸見えだということだ。

イチャついてるようにしか見えないだろうなあ。

いや、反論のしようもないわけだが。

こういうことしてると、パターンとしては……。

「なあ由依ちゃん。オレのいを斷ってこんなやつと晝飯かよ」

からんできたのは、サッカー部のイケメンこと加古川だ。

「そらきた」

オレのらしたセリフに、加古川はぎろりとこちらを睨んだが、すぐ由依へと向きなおった。

「オレと付き合えって。由依ちゃんと釣り合うのは、この學校だとオレくらいだと思うぜ?」

よくもまあそんな恥ずかしいセリフを臆面も無く言えるものだ。

「家の方針もあって、誰とも付き合うことはできないの」

優しいよそ行きの笑顔をしてはいるが、はっきり斷りたいところを、がんばって言葉を濁しているという顔だな。

「せっかくの高校生活、そんなのはもったいないぜ」

「そうは言われても……。そうそう、私はカズと付き合うから! 今、家の許可をもらってるところなの」

そんな思いつき丸出しなじでオレを巻き込むんかい!

「こいつと……? こんなひょろ男がいいのか?」

ほら、全然信じてないぞ。

これでもけっこうガチガチのにしてあるんだが、イメージってのはこわいね。

「ひょろ男かどうか、試してみたら?」

ちょっと挑発的すぎませんかね。

「ケンカはよくないぜ」

どの口が言うんだよ、このクソイケメンは。

「そんな昭和みたいなこと言わないわ。次の育って、男子は剣道でしょ? そこで勝負をつけたらどう?」

「オレが勝てば付き合ってくれるんだな?」

「いいわよ」

この展開こそ昭和じゃないか?

加古川につきまとわれても面倒だ。

これでケリがつくなら、それも良いだろう。

「カズもそれでいいわよね?」

由依は「やっちゃえ」とばかりに、ぱちんとウィンク。

學校ではのんびりすごそうと思っていたんだが、こうなってしまった由依とすごして行くなら、そうもいかないな。

何より、前の人生では天敵とも言えるリア充に一泡吹かせられるのは、ちょっと楽しみだ。

そういや、この頃はまだ「リア充」なんて言葉、なかったんだよな。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!

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