《【書籍化&コミカライズ2本】異世界帰りのアラフォーリーマン、17歳の頃に戻って無雙する》3章:神ってにまみれたヤツ多いよな(7)

「ふむ……今度の扉(ドア)は隨分とに忠実な人間のようだな」

加古川だったものは、2メートルを超えるその軀で腕組みをし、ずっしりと構えている。

でぱんぱんになった腕と足は、世紀末に現れる救世主のように、服を側から破っている。

そういや、今って世紀末なんだよな。

「ドア? お前は人間をにして現れたというのか」

「んん? 下っ端か? 何も知らんようだな。俺様と長く戦えれば、ヴァルハラの土産に教えてやってもいいぞ」

にやりと笑うその顔には、自信が充ち満ちている。

「隨分とサービス良いじゃないか」

「そんなセリフは、トール様のコレをどうにかしてから言うんだな!」

トールと名乗った男は、右足をドシンと踏みならした。

すると、足から出現した雷が荒れ狂い――

――ドガアンッ!

道場をまるごと吹き飛ばした。

視界を覆った煙が晴れると、あたりは焼け焦げた木材となった道場の壁が散している。

強化素材で作られた道場が跡形もない。

そこらの弾なんてメじゃない威力だ。

それも、発ではなく、雷撃でだ。

衝撃もかなりのものだが、結界を張り遅れていたら、オレはともかく由依は電死していただろう。

「ほう……ミョルニルを無傷で耐えるのか」

瓦礫の中に立っているのは、オレと由依、そしてトールだ。

「けほっ……なに今の……。ろくなタメもなしに信じられない威力だわ……」

由依は咳き込みながら、半歩あとずさった。

ヴァルキリーには向かって行った彼がだ。

ヤツの強さをじ取ったか。

敵の強さがわかるだけでも優秀だ。

「由依、これだけの発だ。屋敷の人間が飛んでくるだろ?」

「普段からかなりの音で修行をしてるけど、さすがに今の発はマズイわね。カズがここにいること、當然家の人間には言ってないから……」

オレの存在が由依の家族にバレて、良いことは何もない。

金銭的な意味で利用できるかもしれないが、味方になってくれるとは思えない。

ならば、オレというカードは由依の無事のためにとっておくべきだ。

「何分で來る?」

「屋敷から2キロは離れてるけど……五分かからないと思うわ」

なるほど、あまり引き延ばせないな。

「北歐神話の神、トールだな? のんびりしている時間はなくなった。さっさと始めよう」

「無禮なヤツだ。だがオレ様はそんなことは気にしない。貴様が一撃を耐えられるたび、一つずつ教えてやろう」

とっととこの場を離れないと、監視カメラにダミー映像を流してくれた由依の努力が無駄になる。

とはいえ、トールと言えば、北歐神話の中でも最強クラスの武を持つ有名な神だ。

ゲームの知識だが。

こいつからなら、それなりの知識を引き出せるだろう。

こんなチャンスはそうそうないはずだ。

ギリギリまで粘ってみるか。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!

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