《「無能はいらない」と言われたから絶縁してやった 〜最強の四天王に育てられた俺は、冒険者となり無雙する〜【書籍化】》15・調査隊集結。魔法使いの可の子がいた

翌朝。

俺とアリエルは森の前で、調査隊のみんなが集まるのを待っていた。

「どういう人が來るんでしょうか?」

「さあ……」

優しい人達だったらいいなあ。

「ブリス。みんなが來る前に、一つだけアドバイスさせてもらっていいでしょうか?」

「なんだ?」

「その……謙虛なブリスも素晴らしいと思うのですが、みんなの前で敬語は止めておいた方がいいと思います」

アリエルは何故だか、申し訳なさそうな口調で告げた。

「確か敬語を使っていたら、他の冒険者に舐められる……だっけな」

俺が言うと、アリエルはコクリと頷く。

「ただでさえブリスはDランクなんですからね。もちろんランクだけで、人の善し悪しを決めるなど愚かなことだと思います。ですが、自分のランクより下の人間を見下す方もいますので……」

「まあ舐められても、あまり良い気分にはならないな」

「でしょ? だからブリスは堂々としておけばいいですわ。実力は誰よりもありますので」

「分かった。ありがとう」

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アリエルの忠告もごもっともなことであろう。

実力は誰よりもある……というところは引っ掛かるが、アリエルが言っていることだし信じよう。

とそんな話をしていたら、続々と調査隊の他のメンバーが集まってきた。

「これで全員でしょうか?」

集結したゴブリンキング調査隊のメンバーを見て、アリエルが問う。

最終的にシエラさんから聞いていた調査隊の人數は、俺達をれて十人ぴったり……誰一人遅れずに來たみたいだな。

「初めましての方は初めまして。わたくしはアリエルと申します。一応今回の調査隊の隊長をやらせていただきます。仕切るのは不慣れですが、頑張りますね。よろしくお願いします」

ペコリとアリエルが頭を下げた。

その様子を見て、他の冒険者達は……、

「わあ……Sランク冒険者のアリエルさんだ。初めて見た」

「後で握手してもらおうかな」

「おいおい。まずは依頼を無事にこなさないといけねえぞ。ゴブリンキングを相手にするのは、さすがに骨が折れる」

「キレイだなあ」

とアリエルに見惚(みほ)れているようであった。

やはりアリエルは人気者だ。全員、彼のことはあらかじめ知っているようであった。

「はは! 一時的とはいえ、アリエルさんと一緒にパーティーを組めるなんて栄だぜ。オレはチャド。よろしくな」

チャドと名乗った男が、アリエルに手を差し出す。彼もそれをれ、彼と握手をした。

「えーっと、君は……」

した表で、チャドが俺に視線を移す。

「俺はブリスだ。サポート役として調査隊のメンバーに加わっている」

「ブリス……ブリス。どこかで聞いたことあるような……」

「ブリスはこれでも、ゴブリンキング十以上を一人で倒したんですわよ。謙虛な方ですので、サポート役と言っていますが、実質調査隊のメイン戦力です。えっへん」

チャドが記憶をさかのぼっていると、隣からアリエルがフォローをれる。

どうしてそんなに誇らしげなんだ?

「ゴ、ゴブリンキング!? そういや、そんな噂がギルド中で流れていたな。しかもDランクの新人だって。噓だと思っていたが、まさか実在していたとは……」

チャドは俺を見て、驚きを隠せないようであった。

「その……なんだ。ゴブリンキングくらいなら、俺一人でもやれる。Dランクだからといって、心配しないでくれ」

「ああ、もちろんだ! 信じがたいが、アリエルさんのお墨付きなんだからな。握手してもらってもいいか?」

「もちろんだ」

チャドと手を握り合う。

「これでもオレはBランクだ。経験も長いし、ノワールの森の地形ならよく分かっているつもりだ。君の足を引っ張らない程度には頑張るから、安心してくれ」

「頼もしいよ」

他のメンバーも半信半疑ながら、なくても俺を嫌悪しているような人はいないようであった。

だが俺はその中で一人、みんなのから離れて立っているに目がいった。

「……君は?」

話しかけるとはゆっくりとこちらに顔を向けた。

「エドラ……。魔法使い、よろしく」

——エドラは短く名乗ると、すぐに俺から視線を逸らす。

白のフードを被ったである。全的にダウナーな雰囲気が漂っているが、顔立ちは整っていてとても人だ。

思わず彼の顔を見て、一瞬息を呑み込んでしまった。

「エドラ……確かAランクの魔法使いでしたわね?」

アリエルが近寄りエドラに訊ねるが、彼から返事は返ってこなかった。

「知ってるのか?」

「ええ、有名人ですもの。実力は確かですが、誰とも連(つる)もうとしないって。まさか調査隊のメンバーに加わってくれるとは思っていませんでした」

アリエルが驚いていると、

「金払いが……よかったから」

またもや最低限の言葉でエドラは答えた。

しかし相変わらず、俺達と視線を合わせてくれなかった。

「……まあ確かに依頼の報酬金はよかったな」

「ですわね」

とはいえ調査隊となれば、チームワークも必要になってくるだろう。

果たしてこの調査の中で、彼とコミュニケーションを取ることが出來るのだろうか……。

「ふふ、ブリス。心配しなくてもいいと思いますわ」

俺の考えを読んでのことなのか、アリエルが微笑む。

「悪い子ではないとは聞いています。それに高位の魔法使いは貴重です。どーんと構えましょう」

「そうか。ならアリエルの言った通り、どーんと構えるよ」

「はい。どーんとです」

もしかしたらエドラはただ恥ずかしがり屋だけなのかもしれない。

これは俺の勘だが……別にエドラは俺が嫌いだから、こういう態度を取っているわけではないだろう。

その証拠に顔を逸らしたものの、エドラはチラチラとこちらを気にする素振りを見せている。

「なんだ?」

「……!」

問いかけると、すぐにエドラは慌てて顔をぷいっと別の方向に向けてしまった。

魔法使いというのはコミュニケーションが苦手な研究者タイプも多い。エドラもその類だったらいいんだが。

「それにしても魔法か」

どうしても四天王の『魔法』の最強格であるクレア姉を思い出してしまうな。

はことあるごとに、俺を魔法で痛めつけてきたな。

『くくく。ブラッドが毒で苦しんでいる顔も可いのう! よし、後三セットじゃ。もうしでお主は毒の極地をするはずじゃ!』

魔法狂(まほうきょう)であるクレア姉は常々そんなことを言っていたが、結局『毒の極地』なるものは見たことがない。

「……ダメだ、ダメだ。俺は生まれ変わったんだ。あいつ等のことを思い出すのは止めよう」

「ブリス?」

アリエルが首をかしげる。

「なんでもない。じゃあ準備も出來たし、早速調査を開始しようか」

「ですわね」

アリエルが先導し、俺達調査隊のメンバーはノワールの森を進んでいくのであった。

調査開始だ。

書き上がれば、今日はあと一回更新予定です。

がんばります…!

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