《「無能はいらない」と言われたから絶縁してやった 〜最強の四天王に育てられた俺は、冒険者となり無雙する〜【書籍化】》28・昇格試験をけることになった

あれから俺は平和な日々を過ごしていった。

依頼をこなし、味しいご飯を食べて……アリエルに剣を教えて……となかなか充実した日々だったと思う。

そんなある日。

俺はギルドに呼び出され、付嬢のシエラさんからこんなことを切り出された。

「昇格試験?」

「そうです」

はそう話を始める。

「そもそも今までブリスさんがDランクなのは、おかしな話だったんですよ」

「まだ冒険者になって一ヶ月も経っていないですが……」

「ですが、當ギルドの規定でとあることをこなしてもらわなければ、Cランク以上には昇格出來ません」

俺の話を遮って、シエラさんはさらに続けた。

「それのせいで、今までブリスさんをCランク……いや、AやSランクにしたかったのですが、なかなか出來なかったのです」

「その『とあること』とは?」

「ずばり……昇格試験です!」

シエラさんはギルドに響き渡るような聲量で告げた。

そのせいでみんなの注目を集めてしまう。

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「昇格試験……?」

「その様子だと知らないようですね。どうします? ぱぱっと素早いことでお馴染みのシエラちゃんが、説明してあげましょうか」

「お願いします」

俺が言うと、「いや〜、仕方ないですね〜」とシエラさんは満更でもない顔をして説明を始めた。

「では始めます。

冒険者は依頼をこなした數や質によって、個人に割り當てられている部ポイントが溜まっていきます。そのポイント數が一定になれば、自的にランクは昇格します。本人が特別『嫌』と言わない限りですけどね。

ですが、DからCに上がる時は別です。部ポイント以外にも、試験をけてもらう必要があり、それをクリアすると晴れて昇格です。Cランクとなると、特別な依頼も多いですからね。萬が一でも、実力が不十分だったり人格があまりよろしくない方がCランクになっちゃうと、當ギルドでも困ることが多いためです

以上、説明になりました。ぱちぱちぱちー」

シエラさんが自分で拍手をした。だから俺も合わせて同じように拍手をしたら、彼は嬉しそうに頬を掻いた。

……まあCランクに昇格するためには、試験が必要。これだけ分かっておけばひとまず十分であろう。

「その試験というのは?」

「こちらで指定する依頼をこなしてもらいます。その際、Aランク以上の冒険者二人が試験となり、あなたに同伴します。基本的に冒険者の方は手出しをしません。そして……依頼をクリアし、試験二人の同意があれば……ブリスさんも念願のCランク冒険者に昇格です」

なかなか厳重な評価システムだな。

よっぽどDとCの間には大きな壁があるということか。

なんにせよ。

「じゃあ昇格試験、けてみたいです。今からでもいいんですか?」

「もちろんです!」

シエラさんが頷いた。

アリエルやエドラを見て、高ランクの冒険者はカッコいいと次第に思うようになってきた。

それにランクが高くなれば、さらに依頼をけられる幅も広がっていくだろう。

ランクが昇格することによるデメリットもなそうだし、けない理由はない。

「その試験というのは……」

優しい人がいいな。

「ふふふ、驚いてください。なんとブリスさんの試験を擔當するのは、SランクとAランクの冒険者さんです!」

……なんだろう。なんかこの人達と會ったことがある気がする。

「ではどうぞ!」

「「よろしくお願いします!」」

今までに隠れていたのだろうか。

突如二人の冒険者が俺の前に姿を現した。

とはいっても。

「アリエルとエドラじゃないか」

顔馴染みの二人であったが。

「ふふふ、ブリス。よろしくお願いしますね。わたくしは厳しいですわよ?」

「覚悟して」

「……よろしく頼む」

……まあ二人なら変に気兼ねしなくても大丈夫だろう。

この二人でよかった。

「今回はアリエルさんとエドラさんが志願してくれました。本來Aランク以上の冒険者が二人とも試験に志願するなんて、なかなか珍しいんですよ? そのせいで昇格試験をなかなかけられず、Dランクのままの人も珍しくありません。ブリスさんは特別なんですから」

「はあ、そうなんですか」

「気合いをれてくださいね。じゃあこれが今回、ブリスさんに挑戦してもらう依頼です」

シエラさんから一枚の紙切れを手渡される。

えーっと……容は一つ目トロールの討伐か。ノワールの近くに渓谷があるらしく、そこで一つ目トロールを倒しその『目』を持ち帰ることが達條件のようだ。

ちなみに依頼ランクはC。

ゴブリンキングの調査隊のメンバーになっておいてなんだが……Dランクの俺にとっては、本來は高ランクとも言える。

Aランク以上の冒険者を二人同伴させるのは、もし依頼をこなせなかった時の保険……という一面もあるのだろう。

「分かりました。頑張ってきますね」

「はい……! とはいっても、ブリスさんだったらそんな依頼、すぐにこなしちゃうと思いますけどねー。あくまで昇格試験はギルドの決まりなんですから」

とはいえ油斷大敵であろう。

気を抜いて、足下をすくわれてちゃあ話にならん。

シエラさんやアリエル達を失させることにもなるからな。

そう自分に言い聞かせた。

「じゃあアリエル、エドラ……行こうか。いや……違うな。試験殿、よろしくお願いします」

頭を下げる。

「分かりましたぞ。わたくしが付いているから安心するといいぞ」

「苦しゅうない」

アリエルとエドラは自分の言ったことがおかしくなったのか、顔を見合わせて笑っていた。

なにはともあれ昇格試験だ。

しかしあんなことが起ころうとは……。

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