《【書籍化】「お前を追放する」追放されたのは俺ではなく無口な魔法でした【コミカライズ】》宿を訪ねてみた
コーヒーの良い香りが漂う中、俺は焼き立てのトーストを頬張り朝食を摂っている。
ここは宿の一階にある食堂なのだが、宿泊客でなければ利用してはいけないなどというルールはないので、俺はゆっくりと朝のひと時を楽しんでいた。
周りを見渡すと、朝から楽しそうな會話が聞こえてくる。
半分は宿泊客なのだろうが、老夫婦なども訪れ軽食を楽しんでいる様子から、地域の住人に人気があるらしい。
俺が周りの會話に耳を傾けながらコーヒーを啜っていると……。
――ガチャ――
食堂のドアが開き、テレサがってきた。
彼は半開きの眼をこすりながらパジャマ姿で歩いている。どうやら朝に弱いらしく、足取りがふらついていてどこかにぶつかるんじゃないかと思い見ている。
やがて、彼は俺のテーブルを通り過ぎようとして視線に気付いたのかゆっくりと振り返った。
一度目は、俺を見ると何気なく視線を戻す。
二度目は、何かの見間違いではないかと大きく目を見開いて視線を戻す。
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三度目は、俺を指差し、口元を震わせながらそのままじっと顔を見続けた。
「おはよう、気分爽快になりそうな良い天気だな」
顔を合わせたので挨拶をしてみると、テレサが慌てた様子を見せ、何かを目で訴えかけてくる。
言葉を発さずとも心の聲が聞こえる。おそらく『どうして、あなたがここにいるのですか?』と言いたいのだろう。
「とりあえず、座ったらどうだ? 給仕の人の邪魔になるぞ」
俺が注意すると、彼は納得できないとばかりに不満そうな顔をするのだが、しぶしぶ俺の前の椅子に座った。
彼が腰掛けると同時に、給仕の人間が注文を取りに來る。テレサがメニューを指差すと「かしこまりました」と答えて立ち去った。
ここはテレサが滯在している宿なので、毎日同じようなやりとりがされているのだろう。
給仕は注文をけて戻る際にチラリと俺を見るのだが、その視線は好奇心に満ちていた。
――トントン――
自分の方を見るように、テレサはテーブルを指でノックする。
どうして朝から俺がここにいるか説明しなければならないだろう。
「昨日パーティーを組んだ時、早速依頼をけると言っただろ? 朝一で依頼を確保してきたから、迎えに來た」
昨日の件もあるので、冒険者ギルドで待ち合わせをしているとルクスたちが現れる可能がある。
俺はともかく、テレサはやつらとは顔を合わせ辛いだろうと考えた。
そんなわけで、鉢合わせにならないようにこうして宿を訪ねたと事を話して見せると。
「…………」
テレサはを通さない瞳を見せると「はぁ」と溜息を吐いた。そして運ばれてきた朝食をおもむろに食べ始めた。
とりあえず、俺と押し問答をして朝から力を消耗することを避けたのだろう。賢明な判斷だ。
しばらくの間、彼が食事を摂るのを眺めていると、テレサは十數分かけて食事を終える。
そして、じっとりとした目を俺に向けてくると警戒するように俺を観察し始めた。
いつの間にか周囲の客たちも食事を終え、食堂は俺とテレサ、そして食を片付けて回る給仕だけになっていた。
彼は相変わらず言葉を発することなく俺を見て、何か考えているのだが、昨日今日の付き合いでは正確に當てることはできない。
俺としてはこのまま睨めっこをしているのもやぶさかではないのだが……。
「……そういえば」
俺が言葉を発すると、彼の視線がいた。
目がつり上がり、警戒心が前面に押し出される。そんなテレサに俺は言ってやる。
「隨分と可いパジャマを著てるんだな」
そう言って指差す。彼は白い生地にをちりばめたパジャマを著ていた。
「……⁉」
今更、自分の格好に気付いたのか、テレサは顔を赤くする。そして慌てて立ち上がるとスリッパをパタパタと鳴らし、食堂のドアへと走り去って行った。
食堂から出る時に振り返ると、目に涙を浮かべながら俺を睨み付けていた。
後に取り殘された俺は、これは當分戻って來ないと判斷すると、
「コーヒーのお代わりを頼む」
給仕に向かって注文するのだった。
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