《【書籍化】「お前を追放する」追放されたのは俺ではなく無口な魔法でした【コミカライズ】》迫ってみた

「へぇ、テレサは元々レガイア王國に住んでいたのか」

『ええ、十二歳のころに思い立ち旅をしてきました。こう見えて數ヶ國は渡り歩いてますよ?』

翌日から、テレサとの會話が増えた。

昨晩、今後も正式なパーティーとしてやっていくことを決めた俺たちは、これまで踏み込まなかった相手の過去に興味を持ったのだ。

『それにしても、ガリオンは本當にただの村人だったのですか? きからしてどう見てもただ者ではないようですけど?』

「俺そんなこと言ったか?」

『言いましたよ。私がパーティーを追い出されて落ち込んでいた時に、揚げパンを差し出してきたじゃないですか、その時にはっきり言葉にしていましたよ?』

じっとりとした瞳を向けてくる。心で「いい加減だなぁ」と思っていそうだ。

「まあ、俺の素に関してはそのうち話す。長くなりそうで面倒臭いから」

『私にばかり話させてずるくないでしょうか?』

不満げな表で訴えかけてくる。

聲を掛けた最初のころは無表だったが、こうして話して見ると、テレサは表かだ。

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自分が今、どんなを抱いているのかストレートに表現しているのは、これまで彼と會話をする人間がいなかったからではないだろうか?

『ところで、ガリオン。し気になることがあるのですがいいですか?』

「ん、どうした?」

『どうして、毎回私が書いた文章をすぐ消すのですか? お蔭でこうして會話が弾むわけですが……』

無意識のうちに指がいていたらしく、文章を読むと散らす癖がついていたようだ。

「お前さんの魔力がだんだん癖になってきてな、相當な魔法の使い手だと言うのもあるけど、魔力の質が高くて吸収するとジワリとに行き渡って気持ちいいんだよ」

こう見えて、俺は旅の間に様々な魔法使いの魔力を吸ってきたのだが、ここまで魅力的な魔力にであったことがなかった。

『…………』

無言で半眼になると俺から距離をとる。最近は一日に十回はこの表を浮かべている気がする。

『あなたも結局私のが目當てなのでは? ルクスと同じじゃないですか!』

昨晩、お互いに通じ合った気がしたのだがあの信頼はどこにいってしまったのだろうか?

「失禮な、一緒にしないでくれ。俺が惹かれているのはお前さんの魔力だ!」

『そのわりには、あなたも私の顔やをよく見ている気がするのですけど?』

「それはそうだろう、目の前に良いがあれば見るに決まっている。俺は本能に逆らう程愚かじゃないからな」

の隙間からのぞくや、眩しい腳を見て目を逸らせるならそいつは確実にホモだと思う。

『相変わらずあなたはスケベで変態です。ですが単純な分、下心がないのはわかるからよしとしましょうかね?』

どうやらテレサの俺に対する信頼は結構高いらしい。だが、俺にだって下心の一つや二つある。

「信頼してくれてありがとう。とりあえず手でも繋ごうか?」

『……なぜ急にそのようなことを?』

「お前さん、聲を出せないからはぐれると大変だろ?」

完璧な理由を告げるのだが……。

『街道を歩いていてはぐれるわけがありません、萬が一はぐれた場合は魔法で合図をおくりますけど?』

俺を疑うと、胡散臭そうな表を浮かべる。これまでよりも蔑まれる回數が増えている気がする。今日は新記録を狙えるかもしれない?

俺はテレサの文字を消し去ると告げる。

「こうして、小さな魔力を吸い上げるだけでもこんなに心地よいんだ。直接吸ったらどれだけなのか、一度試して見たいと思っている」

次の瞬間、テレサの表が明らかに変化した。

あれはルクスに際を迫られてきた時と同等か……。それ以上に嫌そうな表だ。

「どうしてそんなに怯えている?」

テレサの様子に、俺は首を傾げた。

『魔力を吸うのはれ合わせる必要があるのでしょう? もし、私の魔力を吸おうものなら、社會的にあなたを抹殺しますからね?』

以前話した容を覚えていたらしい、どうやらキスされると思ったようだ。

勿論、その方が効率よく吸収できるのだが、別に手を握る程度でも吸えないわけではない。

だが、今のテレサは警戒心が強く、話しても聞いてくれないだろう。

「安心しろ、無理やりにとかは俺の趣味じゃないから」

『信じますからね?』

そう答えると、警戒心を解いて近付いてくる。

そんなテレサに俺は告げる。

「ああ、だから早く許可してくれよな?」

次の瞬間、地面が盛り上がり、俺はテレサが作ったゴーレムにぶっ飛ばされた。

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