《【書籍化】「お前を追放する」追放されたのは俺ではなく無口な魔法でした【コミカライズ】》伝言を頼んでみた

『ドクンドクン』

私がを押さえると、心臓が激しく脈打っているのがわかった。

ほんの數分前まで、私はガリオンの部屋を訪れていた。

ルクスたちからの強引ないから守ってもらった禮を言うため訪ね、彼が私の魔力を吸いたいと言っていたので、ここまでしてくれたのなら流石にかたくなに拒絶する必要もないかと考え、魔力を吸わせることを許可した。のだけど……。

(なんであそこに荷をおいていたのですかっ!)

ガリオンと私の間に置かれた荷に足を引っ掛け倒れかけ、彼が倒れそうな私を支えようとした結果、

(ううう……)

ガリオンの両手が私のを摑んだ。

まるでこちらがガリオンの手に惹かれているかと錯覚するくらい、私のはガリオンの手から離れることができず、私は彼の肩に手を置くときできなかった。

彼が私のみしだくたび、の力が抜け、心臓の辺りから魔力が吸い出されているのをじた。

普段、魔法を使う時の魔力放出とは違い、魔力が引っ張られるたびに快が襲い掛かり、私は頭に靄がかかったかのように思考をされてしまった。

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しばらくの間、その快に耐えていると、突如ガリオンの手のきが変化し、それにれると、耐えきれない快が襲い、私は聲を上げてしまった。

(一、どうして?)

これまで、様々な薬や、魔法による治療をけてきた。

薬代や寄付金もばかにならなかったのに、効果が一切なかった。

だと言うのに、このタイミングで聲が出るとは……。

(まさか、ガリオンの特殊質のせい?)

聲を出そうとして口に力をいれてみるが、どうやっても発聲することができない。先程は自然に出せたのに今は呪いによって聲を封印されている狀態だ。

私はパジャマをはだけさせると自分のを見る。心臓に近い位置にある黒い模様、これは呪いをけたあかしで、普段魔力を使っていないときは浮かび上がることもない。

こうして反応しているということは、ガリオンの吸魔の力が影響していることは疑いようもないだろう。

私は試しに自分でんでみる。

ガリオンの溫かい手とは違い、ひんやりとした手がれ熱を奪う。

それなりに気持ち良いのだが、ガリオンにしてもらった時程ではなく聲が出る前兆すらない。

(もう一度彼に試してもらって……、いえそれはちょっと……)

ガリオンのことは嫌いではないが、そう言った間柄になるつもりはない。

私ははだけたをしまうと、アゴに手を當てて考え込む。

いずれにせよ、治療法の一つの手掛かりとして考え、最悪の場合は彼に協力を求めることにしよう。問題はその前に……。

(明日、どんな顔して會えばいいのですかね?)

自分のを好き放題した異とどう接すればいいのか、私は一晩中悩むのだった。

「くっ……鎮まれ俺の右腕!」

「何をされているんですか?」

フォークを手放し、暴れる右手を抑えていると給仕の子が引いた様子で俺を見ていた。

「いや、最近右手に何やら良くないものが封印されたらしくてな……」

俺が言い訳をしていると、

「それより、ガリオンさん。元Sランク冒険者パーティーと決闘するって、大丈夫なんですか?」

「おっ、よく知ってるな?」

「だって、今街で噂になってますもん」

決闘が決まったのが一昨日なのだが、俺みたいなCランク冒険者とルクスたちBランク冒険者の爭いなどそこまで噂になるとは思えない。

おそらく、ルクスたちが意図的に広めているのだろう。理由は公衆の面前で俺を倒し、テレサとパーティーを組むのにふさわしくないと喧伝して観客を味方に付けるためだろう。

自分たちが恥をかくとも知らず愚かなことだ。

「ところで、テレサはちゃんと飯食ってるのか?」

あの夜から二日が経ったのだが、テレサは引きこもってしまい、俺と會おうとしなかった。

今日はかなり早くから食堂を訪れ、彼が食事をしに現れるのを待っているのだが、一向に姿を見せないのできになっていた。

「テレサさんですか? 最近は夜に現れて食事を注文されるので、部屋で食べているみたいですよ?」

どうやら俺を避けているようだ、確かに気まずいのはわかるのだが、せめて顔ぐらい見せてしい。

こっちも々と話しておきたいことがあるのだが……。

「それなら伝言を頼む」

ちゃんと食事をしているようなので、給仕の娘に「ひとまず事故ってことで水に流してくれ。それと、明日は応援頼む」と伝えるように頼んでおいた。

「わかりました。私も応援してますから、頑張ってくださいね」

給仕の娘はトレイを抱くと、満面の笑みで俺を応援するのだった。

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