《【書籍化】「お前を追放する」追放されたのは俺ではなく無口な魔法でした【コミカライズ】》斷ってみた

の剣以外のメンバーをすべて拳一つで叩き伏せ、ルクスと対峙している。

やつと、斥候の、僧の表はこわばっており、まるで化けを見るかのような目で俺を見ていた。

「ことの発端はお前さんたちだからな、ここからは容赦しないぞ?」

できる限りすごんで聲を出すと、剣を抜いた。

「まままま、待ってよ! ここはお互いに有益な話をしましょう」

両手を広げて待ったをかけ、斥候のが話し掛けてきた。

「そそそそ、そうです。ここで私たちが爭っても誰も喜ぶ結果にはなりません」

が必死に訴えかけてきた。

「でも、さっき。ルクスが『ぶっ殺してやる』ってんでるのが聞こえたけど?」

テレサに祝福の口付けをけたあたりからやつがキレているのを遠目に確認している。

きを読んだのだが、まず間違いないだろう。

「お、俺は……」

何やら顔が青ざめている。やつは俯き必死に考えている。周囲の観客からは『早く戦えー』『どうしたー?』などとやじが飛んでくるが、追い込まれたルクスがどのような判斷をするのか興味があったので、俺は見守ってやることにする。

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しして、ルクスが顔を上げると。

「は、話があるっ! ちょっと耳を貸してくれないか?」

急に言葉遣いが変化した、余程余裕がないのか、懇願するような目で訴えかけてくる。

俺は近付くとやつの言葉に耳を傾けた。

「ガリオン、お前、うちのパーティーにらないか?」

「あん、何を言っているんだ?」

「俺たち『栄の剣』は一時期Sランクパーティーだった実績がある。つまり、懇意にしている依頼主がかなりあるんだよ。本來なら厳しい審査を潛り抜けなければることはできないが、俺はお前の実力を認めている。今ならテレサと一緒にれてやるぞ」

必死の様子で説得してくる。

「なるほどなー、確かに味しい仕事を回してもらえるのは助かるな。俺は楽して金がしいわけだし」

アゴに手を當てて考え込む。ルクスは俺の言葉を聞くと脈ありと思ったのか……。

「お、お前たちっ! お前たちも何か言えっ!」

ここが勝負どころと判斷したのか、二人に指示を出した。

「もし、私たちのパーティーにってくれたら。サービスしちゃうよ」

斥候のが腕を抱き、を押し當ててくる。

「『栄の剣』のメンバーになればにもモテモテになります。使い切れない大金を得て、毎晩違うを抱くことも可能ですよ」

が耳元で艶めかしく囁いてきた。

「なるほどな、確かに。このまま働いたとしても冒険者ランクを上げるには面倒臭い依頼をいくつもこなさなきゃならないし、だってこの肩書じゃあ寄ってこない。人生を謳歌するには、やっぱり肩書と後ろ盾があった方が良いに決まっているな」

まったく、人のをくすぐるのが上手い連中だ。俺は斥候のを楽しみながら、僧の溫もりを肩にじ、ルクスのパーティーに所屬した際の人生を妄想する。

「だ、だろっ! どうだ?」

「だが、斷る」

「「「なっ!」」」

三人の表が固まった。

俺は控え場所で不安そうにこちらを見つめるテレサを見る。

「確かに、お前さんたちの提案は魅力的だ。だが、そもそもの話、俺はテレサにあんな顔をさせたやつを許すつもりはない」

初めて話し掛けた時、テレサはベンチに座って絶した表を浮かべていた。

あいつのあんな顔を二度と見たくない。それが俺の今の行理念だ。

俺は右腕に意識を集中すると、暴れ出そうとしている力を制する。

「観客も退屈しているみたいだし、ここからは俺の気が済むまでお前さんたちをボコらせてもらうからさ」

「し、審判っ! こ、こうさ――」

「おっと! させないぞ?」

俺の右腕から黒い靄のようなものが発生し、ルクスを包み込んだ。

『……ぐ、……あ!?』

口をかすが、聲が出せないのか、時々音がれる。

「安心しろ、その癥狀は一時的なものだから。聲を出せないというのがどんなものなのか、テレサの気持ちをしはわかってやってくれ」

この勝負はどちらかが降參をして初めて決著する。リーダーはルクスなので、やつが負けを認めてしまえばそこで試合終了。俺は合法的に毆り倒す権利を失ってしまう。

この力は、おそらくテレサがけている呪いで、數日前から俺の右腕の中で暴れ回っていた。押さえつけている時のからして、そこまで強力ではないのだが、ここで使えるのではないかと考えて解放せずに留めておいたのだ。

「さて、自慢の防のようだが、わざわざ俺が全力で攻撃しやすいように配慮してくれたんだよな?」

「は、早くっ! ルクスっ! 早く降參してよっ!」

「ま、まってっ! そのいやらしい手のきは……、どうして私のをそんな目で見るのですかっ!」

『……んー、……んー!』

実力で勝てないことを今更理解したのか、首を橫に振って後ずさるルクス。

「さあ、観客も期待していることだし、この決闘のクライマックスを始めようかっ!」

そう言った俺は、口に出すのもはばかられるような制裁を『栄の剣』に加え、トラウマを植え付けた上で勝利するのだった。

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