《【書籍化】「お前を追放する」追放されたのは俺ではなく無口な魔法でした【コミカライズ】》でてみた
「ちょっと待て、今何と言ったんだ?」
冒険者ギルドにて、俺は付嬢に聞き返した。
「ですから、もっと依頼を一杯けてしいんですよ」
頬に手を當てて悩まし気な表を浮かべる。現在応対しているのはこのギルドの中でも一番人気の付なのだが、こうしてみると嵌められたとしか思えない。
「誰かさんが、このギルドの冒険者をボコボコにしてくれたじゃないですか? お蔭で、高ランクな依頼が余りまくってしまっているのですよ」
橫目にテレサを見ると、じっとりとした視線を投げかけてくる。どうやらこの場で俺の味方をしてくれるつもりはなさそうだ。
「いや、だって……。勝手に『栄の剣』に所屬して決闘にってきたやつらですよ?」
正當なルールの元にボコボコにしたのだから、そこを責められても困る。
「勿論、強制することはできません。なのでこれはあくまで冒険者ギルド側からの要請だと思ってください」
付嬢の言葉に俺は頭を掻くと、
「あー、くそっ。仕方ない。近場の戦闘系依頼ならけてやる」
「えっ? よろしいのですか?」
付嬢は驚くと聞き返してきた。
「だって、依頼が滯ると困るのは街の人だろ? 俺たちも含めて冒険者ギルド関係者は自業自得だが、街の人たちには関係ない話だ。迷掛けないようにするさ」
テレサが信じられないものを見るように俺を凝視してくる。心の聲で『本當にガリオンですか? ドッペルゲンガーにれ替わられているのでは?』とか疑っていそうだ。
「そう言っていただけると助かります。ああ、良かった……。説得できると思っていなかったから奧の手を出すところでしたよ」
付嬢はほっとをでおろす。テレサに負けるとも劣らぬボリュームに俺の視線は自然と引き寄せられた。
「ほぅ、奧の手? それはどんなもんだ?」
一、どのような方法で俺に依頼を強制するつもりだったのか気になった。
「それはもう、ギルド職員の可い子を集めて酒の席でも設けるしかないかと考えていました。ガリオンさんならそれで釣れるとギルドマスターも判斷してましたから」
流石は冒険者ギルドのギルドマスター。大した観察眼だ。
テレサの目を見ると『そのくらい、あなたを見れば誰でもわかると思うのですが?』と訴えかけてくる。
「それでは、こちらのAランクとBランク依頼五枚程ありますので、注のサインをいただけますか?」
満面の笑みを浮かべて、カウンターに依頼書を並べていく。
「あー、やっぱり俺もやる気がでないから、その選りすぐりの付嬢の接待とやらについて詳しく――あてっ!」
隣からテレサに蹴られた。彼は俺を押しのけると次々にサインをしていく。
「ありがとうございます、テレサさん。冒険者ギルドは二人に期待しておりますので、よろしくお願いします」
そう言うと、笑顔で送りだされるのだった。
「せめて、俺には接待をける権利があったと思ったんだがな……」
街を出ると依頼先へと向かう。
俺たちがけた依頼の容を確認したところ、どれも同じ場所でこなせる依頼ばかりだった。
お蔭で無駄に移で時間をとられなくて良いのだが……。
『一瞬、心しましたけど、やはりガリオンはガリオンなんですね』
「おい、一瞬心したならそのまま心していて構わないんだぞ」
『わかりました、ずっと軽蔑することにします』
どうにも不機嫌な様子をみせる。
俺は彼の頭に手を置くとでてみる。
—―パシッ――
叩かれる音がして、俺の手が彼の頭から離れた。
『何ですか、急に?』
「いや、不機嫌そうだったから頭をでれば落ち著くかなと思って」
小さい子が怒っている時にこれをやればひとまず落ち著いてくれるのでやってみた。
『勝手に頭をでないでください。不愉快です』
どうやらさらに機嫌を損ねてしまったようだ。テレサはプイと顔を逸らして立ち止まる。
流石に子どもと同じ攻略方法は通用しないようだ。
俺はそのまま前に進みながら反省する。足音がせず、いまだに立ち止まっているテレサが気になって振り返ると……。
「どうした、頭でもかゆいのか?」
彼は自分の頭を妙に気にしながられていた。
『む、蟲がいただけですから』
そう伝えると足早に前に出る。
俺は歩調を合わせると、後ろからついて行くのだった。
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