《【書籍化】「お前を追放する」追放されたのは俺ではなく無口な魔法でした【コミカライズ】》メイド服を著てみた(ネコミミ尾付き)
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テレサは混していた。
自分の部屋に戻ると、ベッドの上にメイド服があったからだ。
(なぜここにメイド服が?)
摘まみ上げてみると、フリルあしらえ元を強調したメイド服で、スカートの丈が短く妙にいかがわしい。使われている生地は高級品でらかなり心地をしていた。
こんなことをするのはガリオンに違いない。目的はいつも通りのいやがらせだろう。
そう考えたテレサは即座にそれを燃やそうとするのだが……。
(まってください。だとすると妙ですね?)
日頃からセクハラまがいの行を繰り返すガリオンだが、テレサにちょっかいを掛ける時は手を凝らしてくる。
単純にメイド服を置いておくだけというのは目的もはっきりしない上、著なければ済むだけの話だ。
(もしかしてガリオンの狙いは……)
テレサはアゴに手を當て、彼との會話をシミュレーションしてみる。
『よお、テレサ。俺が買ったメイド服を知らないか?』
『それでしたら、なぜか私の部屋にあったので燃やしましたが?』
『何っ⁉ あれを燃やしたのか……。高かったのに、持ち主の許可もなく燃やすとは何てことなんだ……』
『えっ? だ、だって……あんないかがわしい裝を置いておく方が悪いですよ』
『そうは言うが、別にお前さんに「著ろ」と強要したわけでもないだろ? それなのに燃やすのはやりすぎじゃないか?』
『……確かにそうですけど、ではどうすれば許していただけますか?』
『そうだな……。これを著てくれるなら許してやらんでもないが』
そこでガリオンは厭らしい笑みを浮かべ、とても口では言い表せない出の激しい裝をテレサに渡してきた。
テレサは首をぶんぶんと橫に振ると、その想像を振り払った。
(危ないところでした。まさかこれを燃やさせるのがガリオンの手だったとは)
一見すると何も考えていないように見えるガリオンだが、テレサにセクハラをするときは未來予知に近い読みを見せることある。
だとすると、このまま思考の渦に巻き込まれるともっときわどい裝をに著けさせられるかもしれない。
テレサは寸前のところで思いとどまると、ふたたび考え始める。
これはガリオンからの挑戦狀なのだ。ただ見過ごすだけでは駄目で、ガリオンの思考を読み切った上で策を躱さなければならない。
何か手掛かりがないかとメイド服を見回していると、服の下に何かが置かれていることに気付いた。
(これは⁉)
ガーターベルトと白いネコミミヘアバンド。さらには尾まであった。
(この裝にこの裝飾まで、ガリオンはそこまで私にこれを著せたいのですか?)
これまでも散々『エッチ』『変態』と罵ってきたが、こういう自分の趣味を全開で押し付けてきたことはなかった。
常にテレサの様子を窺い、あくまで自主的に行するように仕組んできたのだ。
(ガリオンがそんな風に思ったところで見せてあげる理由がありませんけどね)
ふと、もしこれを著た時のガリオンがどんな顔をするのか気になった。
あくまで見せるつもりはないのだが、に著けてみることでガリオンの思考を読むことができるかもしれない。
(やむを得ませんね。この部屋から出なければガリオンに見せることにはなりませんし、サイズの確認もしないといけませんから)
來ている服をぎ捨て、メイド服をに著け、ネコミミヘアバンドと尾を付けてみる。
(著心地は良いですね、耳と尾も自然に見えます)
裝はテレサのにピッタリだった。鏡の前に立ち、おかしなところがないかくるりとターンして確認する。
(しスカートが短すぎるのと、元が強調されているのは良くないですね。やはりガリオンはエッチです)
もし今、自分がこれを著ていることを知ったらガリオンはどうするのだろう?
そんな思考を浮かべながら勝ち誇った笑みをテレサは浮かべる。
たとえ察知しても、ガリオンが強引に部屋にってこないと信頼しているからだ。
(だけど、この耳と尾の選択は……。もしかして彼は貓が好きなのでしょうか?)
テレサは鏡の前で屈むと元を強調しつつ貓のポーズを取って見せる。そして口をかし……。
(にゃーん)
當然聲は出ないのだが、傍から見ると可らしい子貓そのもの。
(わ、私は一何を……?)
気が付けば、メイド服を著て貓のポーズをとっていた事実に震撼する。
テレサが我に返った瞬間……。
「私としたことが、客様の部屋に裝を置きっぱなしにするなんて……」
ガチャリとドアが開き人がってくる。この宿の娘で食堂の給仕をしている。
「えっ?」
給仕の娘の聲が聞こえたがテレサは貓のポーズのまま固まっている。お互いの目がバッチリ合い、給仕の娘は「ニヒッ」と笑うと……。
「お邪魔しました。そちらの服は後ほど取りに來ますので、自由に使ってください」
実はガリオンの策略ではなくテレサの考えすぎで、給仕の娘がメイド服を置き忘れただけだった。
この後、しばらくして我に返ったテレサは、自分の恥ずかしい格好を見られたことで引き込もり、枕に顔埋めるのだった。
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