《【書籍化決定!】家で無能と言われ続けた俺ですが、世界的には超有能だったようです》三十話 絶の化

47AgDragon(しるどら)先生から挿絵をいただきました!

ライザ姉さんの立ち絵です!

とてもしく描いていただき、ありがとうございます!

「ふぅ……終わった……!」

首を失った魔族のを見て、ほっと一息つく。

今の戦いは、俺としても結構ギリギリだった。

重い攻撃をけ続けたせいで、既に腕の覚が半分ぐらい無くなっている。

あと數分続いてたら、押し切られてたかもしれないなぁ。

俺は剣を鞘に納めると、當した様子のクルタさんの元へ向かう。

「えっと……何がどうなってるんだい? 君が押されてるようだったから、とっさに援護したけど……」

「クルタさん、もしかして記憶がないんですか?」

「まあね。ちょこっとだけしか」

親指と人差し指をほんのしだけ開き、ちょこっと合を表現するクルタさん。

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無理やりな方法でアンデッドにされてたようだし、それぐらいは仕方ないか。

俺は今までに起きた出來事を、し省略しながら説明する。

それを聞いたクルタさんは、たちまち顔を青くした。

「げっ……! それはまた、ずいぶんと迷をかけちゃったね。すまない」

「いいんですよ。それより、の方は大丈夫ですか?」

「ああ、うん。むしろ全が軽いぐらいなんだよね。ルソレイユのおかげかな?」

「そうかもしれませんね。あの、肩こりとかにも効くって姉さん言ってましたし」

「姉さん?」

「……何でもないです!」

慌てて首を橫に振り、誤魔化す。

いかんいかん、疲れのせいかガードが甘くなってしまっていた。

休息をとるまでは気を張っていないと。

「おーーい! ジーク、大丈夫か!!」

「加勢に來ましたよ!」

館の扉が開き、ロウガさんとニノさんがすっ飛んできた。

二人は俺とクルタさんの無事を確認すると、安堵の笑みを浮かべる。

特にニノさんの方は、クルタさんの健在ぶりを見て天使でも舞い降りて來たかのような顔をした。

喜びのあまり、天に召されてしまいそうな雰囲気だ。

「お姉さまーーーー!!」

「おおっと!?」

いきなりクルタさんのへと飛び込んだニノさん。

突然のことに、さすがのクルタさんも困った顔をする。

だがそんなことお構いなしに、ニノさんはものすごい勢いで語りだす。

「心配したんですよ! お姉さまがひどい目にあわされていたらと思うと、もう気が気じゃなくて! 本當は私一人で魔族のところへ毆り込もうかと思ったぐらいなんです! でもそれでは功率が低いので、パーティを組んでですね……」

「う、うん……君の思いは十分伝わってきてるよ……」

「そうですか!? だったら今度、一緒に旅行へ行きませんか! お姉さまのためなら何日でもお休みを取ります!」

「それとこれとは話が別じゃないかい!?」

ぐいぐいと突っ込んでいくニノさんに、たじろぐクルタさん。

一方、ロウガさんは俺の方に近づいてくると事の説明を始める。

「戦っていた奴らが、急にかなくなってな。それでもしかしてって、駆けつけたんだ」

「なるほど。やっぱり、表のアンデッドたちもあの魔族がってたんですね」

「ああ、さすが魔族ってじだな。あれだけの數をよく制してたもんだよ」

無盡蔵にすら思われた圧倒的な量。

あれだけの規模のアンデッド軍団をるなど、人間の魔師ではまず不可能だろう。

クルタさんを生きながらにしてアンデッドに変えたことと言い、技だけは凄い奴だった。

もっとも、そんな凄い技でも悪のために使っていては意味がないけれど。

「……さあて。ひと段落著いたことだし、とっとと帰ろうぜ」

「そうですね」

「魔族の死を忘れるなよ。あれでもすげえお寶だからな」

へえ、そうなのか。

の材料とかに使うのかな?

俺はマジックバッグを取り出すと、放置されていた死へと向かった。

すると――。

「あれ? 首がない?」

床に転がっていたはずの魔族の首が、いつの間にかなくなっていた。

これはまさか……!

いやな予がした俺は、すぐさま皆に呼び掛ける。

「気をつけて! 魔族がまだ生きているかも知れません!」

「何だと!?」

「もう遅い!!」

上方から聲が聞こえた。

視線を上げれば、階段の上で首が飛び跳ねている。

油斷した、あの狀態でも生きていられるのか……!

魔族の生命力を、俺はし甘く見ていたようだ。

「こうなってしまっては、さすがの俺も長くは生きられん! だが、貴様らを道連れにするには十分だ!」

「てめえ、何をする気だ!」

「知れたこと。こい、ヒュドラよ! 殘された命をすべてくれてやろう!」

そうぶと同時に、首が青白い炎に包まれた。

こいつ、最後の最後にとんでもないことしてくれたな!!

ヒュドラと言えば、魔界の奧底に棲む九本首の大蛇だ。

人間界で暴れるようなことがあれば、たちまち國の一つや二つ滅んでしまう。

魔族からしても、本來なら手が付けられないほどに危険な存在だ。

あいつ、自分が死ぬとわかって完全に自棄を起こしたようだ。

「グオオオオオオッ!!」

「出た!」

空中に魔法陣が現れ、そこから次々とおぞましい造形の首が這い出してきた。

館の壁や床が見る見るうちに砕され、更地と化していく。

……おいおい、なんて大きさだよ?

やがて姿を現したヒュドラの本は、冗談のようなスケールだった。

俺たちが前に戦ったマグマタイタス。

それよりもさらに二回りは大きく、さながら神話の巨獣のようである。

「……これはもう、お祈りしたほうがいいかもしれないね」

「お姉さま、弱気になってはいけません!」

「だけどねぇ」

「こりゃちょっと無理だな。人間にどうにかできるレベルじゃねえよ」

「ロウガまで……」

戦意喪失。

災害のような相手を前に、クルタさんとロウガさんは武を手放してしまった。

ベテランであるがゆえに、彼我の戦力差がはっきりとわかってしまったのだろう。

俺だって、とても太刀打ちできる相手じゃないとは分かる。

魔族との戦いで消耗した分を加味すれば……だいたい三分。

それだけの時間を稼げれば、恐らくいい方だろう。

「……みんな逃げてください」

「ジーク!? お前、一人で時間稼ぎする気か!」

「ダメだ! 君だけを死なせるわけにはいかない!」

「だったら、ここで全員死ぬんですか!」

「それは……!」

言葉を詰まらせるクルタさん。

全員が助かることが出來ればいいが、この狀態でそれは無理だ。

誰かが足止めをして、その間に他のみんなが逃げるしかない。

俺が、俺がやるしかないんだ……!!

「あいつを何とか食い止めます。だから、早く!」

そう言うと、俺は剣を抜いてヒュドラと対峙した。

だがその時、剣を握る俺の手にそっと誰かの手が添えられる。

そして――。

「言うようになったじゃないか、ノア」

楽しげに笑うライザ姉さんが、俺の隣に立っていた。

【読者の皆様へ】

記念すべき三十話にして、とうとうライザとノアが再會しました!

ここまでお読みになって、しでも

「面白い・続きが気になる・早く更新してしい!」

と思った方は、ぜひぜひ評価・ブックマークをいただけると嬉しいです!

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