《【書籍化決定!】家で無能と言われ続けた俺ですが、世界的には超有能だったようです》二話 俺の新たな日常

姉さんとの決著がつき、クルタさんとパーティを組むようになってから約一週間。

俺たち四人は、依頼達の報告をするためギルドを訪れていた。

「オーガの奧歯十分、確かに!」

討伐証明部位をけ取り、優しく微笑む付嬢さん。

ふぅ、これで何とか無事に仕事が終わったな。

依頼書に記載があった場所には居なくて、森全を探し回る羽目になったから大変だった。

「オーガの巣の位置が依頼書とは大幅に違っていました。この依頼は、ギルドが定期的に出しているものですよね? 次回から位置を修正したほうがいいと思います」

「え? ニノさん、実際にはどこに居ました?」

「はい。この森の北部ではなく――」

懐から地図を取り出し、実際にオーガがいた場所を指で示すニノさん。

付嬢さんはすぐさま書類を取り出すと、依頼書の容を訂正する。

「これでよしと。報提供、謝いたします!」

「いえ。ギルドに協力するのも冒険者の義務ですから」

「……にしても、最近こういうの増えてないかい? 前はギルドの報が間違っていることなんて、ほとんどなかったはずだけど」

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クルタさんが、やや不満げな顔をして言う。

ちょうど、姉さんと一區切りついてクルタさんを正式に仲間に加えた頃ぐらいからだろうか。

の生息報が依頼書に書かれているものと一致しないことが増えてきた。

「あー、そのことですか。ギルドとしても、ラージャ周辺で異変が生じていることは既に認知しています。ですので、近いうちに専門家の方をお呼びする予定ですよ」

「って言うと、研究所のやつらでも呼ぶのか?」

「はい。近いうちに護衛依頼などが出ると思いますよ」

「……マジか」

骨に嫌そうな顔をするロウガさん。

クルタさんとニノさんも、どことなく渋い顔をした。

その「研究所のやつら」とやらに対して、三人ともあまりいい思い出がないようだ。

「何ですか、その研究所って」

「正式には、冒険者ギルド付屬魔研究所って言うとこでな。魔マニアの寄り合いだ」

「魔……マニア……?」

「そう! とにかく魔に目がない連中で、この護衛がまあ厄介なこと……」

「あの時は、いきなりワイバーンの巣に飛び込んでいこうとしましたよね」

「そうそう! 群れに追いかけられて、あの時はさすがに死ぬかと思った!」

「ボクが依頼をけた時は、オーガキング相手に上半で會話をしようと試みていたね」

……うーん、なるほど。

みんなの話を聞いていると、何となくヤバそうな人たちだというのは伝わってきた。

護衛依頼が出たとしても、けるかどうかは慎重に考えないとな。

報酬にもよるけど、今のところはそこまでお金には困っていないし。

「一応フォローしておきますが、彼らが魔に関してプロ中のプロであることは間違いないですよ。魔図鑑の作など、ギルドの業務にも大いに貢獻してくださっています。……まあ、変わった方が多いのは事実ですが」

そこは否定しないのか。

まあ、研究者って言うのはいろいろと変わってる人が多いからなぁ。

うちのシエル姉さんとかも、常識人っぽく見えてズレてるところが結構あったし。

一週間連続で徹夜して、そのあと二日間ぐらいまとめて寢るとかしてたことあったなぁ……。

「まあ、よほどのことがない限りあまりれない方が無難そうですね」

「だな。……さてと、一仕事終わったことだし飯でも食いに行こうぜ!」

「南通りにボク行きつけの味しい店があるよ。そこへ行かないか?」

「おう、いいねぇ! クルタちゃんのおススメか!」

こうして、クルタさんに連れられてギルドを後にしようとした時だった。

ふと視線をじた俺が振り返ると、そこにはライザ姉さんが立っていた。

「あ、姉さん!」

「久しぶりだな」

「久しぶりって、昨日も會ったじゃないですか」

「そ、そうだったか? 覚えていないなぁ……」

骨にすっとぼけて見せる姉さん。

いやそのセリフ、昨日も言ってたぞ?

ライザ姉さんがこっちに引っ越してきてからというもの、いつもこの調子だ。

依頼の報告を終えたぐらいのタイミングで、必ず現れるんだよな。

……まさか、俺たちのこと見張ってたりするのか?

いくら元は伏せているとはいえ、あんまりギルドに居座るのはどうかと思うのだけど。

剣聖でなくても、姉さんは人だから注目を集めやすいし。

「皆で食事に行くなら、私もついて行っていいだろうか?」

「俺は構わないぜ。人なお姉さんは大歓迎だ」

「私もいいですよ。ジークやクルタお姉さまが良ければですが」

「そうだね、俺も斷る理由は――」

「ボクは嫌かな」

満場一致で參加かと思っていると、ふくれっ面をしたクルタさんが真っ向から反対をした。

は姉さんの前へと進み出ると、剣聖を相手に退くことなく言う。

「パーティで開くご苦労さん會に、毎回のように部外者が參加するのはどうなのさ? たまにはいいけど、ここ最近ずっとじゃないか」

「別に、迷はかけていないだろう?」

「今回の依頼はここが疲れたーとか、そういう話がしづらくなってるのは確かだよ。それに、ライザさんにはみんな気を使っちゃうし」

言われてみれば、ニノさんとかロウガさんはそうだよなぁ。

俺の家族とはいえ、仮にも剣聖である。

さすがに慣れて來ただろうとは言え、気が休まらないというのはあるかもしれない。

「……だ、だったら! 私をパーティにれればよかろう!」

「いや、それは。いくらなんでも実力の差がありすぎますし。あんまり良くないと思いますよ」

姉さんが仲間に加わったら、ついつい頼ってしまいそうだからなぁ。

自分でも気をつけようとは思うけれど、やはり心のどこかが緩んでしまいそうだ。

だいたい、自立したくてこの街まで來たのに姉さんを仲間にしたら本末転倒だ。

「ぐぬぬ……!」

「それに、そもそもライザさんは冒険者じゃないよね?」

「……よし、わかった。ならばこうしよう」

そう言うと、ライザ姉さんは急に俺の右手を握った。

そしてグイっと、俺のを自分の方へと引き寄せる。

「ジークは私と一緒に食事へ行こう。姉弟水らずでな」

「あ! ずるい!」

「そちらが部外者はいらないというなら、こちらだって部外者はいらないというだけの話だ。ずるくなんてないぞ!」

「そんなの認めないよ! ニノ、手伝って!」

「はい、クルタお姉さま!」

ライザ姉さんに対抗して、クルタさんとニノさんが左手を握った。

三人はそのまま、俺を綱引きよろしく引っ張り始める。

い、痛い! やめて!?

俺はとっさに、助けを求めてロウガさんを見た。

が、しかし。

彼は軽く腕組みをすると、うんうんと妙に満足げな顔をして頷く。

「モテ男はいいねぇ。これぞ青春ってじだな」

「そんなんじゃないですって! 助けてください!」

俺を巡る引っ張り合いは、その後しばらく続いたのだった。

【読者の皆様へ】

47AgDragon(しるどら)先生より、挿絵をいただきました!

第一章最終話にり付けてありますので、皆さんぜひぜひご覧になってください!

とても麗で、シーンのイメージにピッタリとあったイラストですよ!

「面白い・続きが気になる・早く更新してしい!」

と思った方は、ぜひぜひ評価・ブックマークをいただけると嬉しいです!

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