《【書籍化決定!】家で無能と言われ続けた俺ですが、世界的には超有能だったようです》第三十五話 白き龍
「が……白くなった?」
闇を塗り固めたような黒鉄の鱗。
それが、さながら反転するかのように白く染まっていった。
死者を連想させるような骨ばった痩も、しずつ付きが良くなっていく。
魔族の怨念が浄化されたことによって、急速に王が本來の姿を取り戻しつつあった。
やがてその瞳が青く染まり、清浄な輝きに満ちる。
「グオオオォンッ!!」
天に轟く気高い咆哮。
それは、王が新生を果たしたことを世に宣言するかのようであった。
たちまち、まだ生き殘っていたドラゴンたちが大地に降りて首を垂れる。
俺もまた王の背中を降りると、すぐに頭を下げた。
人間である俺ですら平伏してしまうほどの覇気が、今の王には備わっていたのだ。
「……人間よ、我を浄化したのはそなたか?」
やがて重々しく響く聲。
どうやら王も、母のゴールデンドラゴンと同様に人語を解するようだ。
俺はその問いかけに、靜かに頷く。
それを見た王は、周囲を見渡して深く息を吐いた。
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「さようか。どうやら我は、ずいぶんと暴れてしまったようであるな」
「魔族のせいですから、仕方ありません」
「ふ、それも我が王として不甲斐ないせいよ。あの程度の邪気を跳ね返すことができなんだ」
そう言うと、王は力無く首を橫に振った。
他のどの種族よりもプライドの高いドラゴンとしては、不覚を取ったことが痛恨の極みなのだろう。
しかし今は嘆くことよりも、優先しなければならないことがある。
「誇り高き龍の王よ。まずは谷に戻りましょう、お母上がお待ちです」
「おお、そうであった! 早く母の元へ帰らねばな」
極限まで消耗し、瀕死の狀態になってしまったゴールデンドラゴン。
まずはその命が盡きてしまう前に、王を彼の前に連れ帰らなければならない。
乗っ取られていた時の記憶も、わずかながらに殘っていたのだろうか?
俺の提案に素直に頷いた王は、スッとこちらに手をばしてくる。
「乗れ、ともに母の元へ參ろうぞ」
「……わかりました!」
「ちょっと待って、私も行くわ!」
ここで、結界から出てきたシエル姉さんが慌てて呼びかけてきた。
彼もゴールデンドラゴンのことが気がかりだったようだ。
「でも、ライザ姉さんが……」
「それは私に任せてください」
未だ怪我に苦しんでいるライザ姉さん。
その看病をニノさんが申し出てくれた。
こうして俺たちは王の背中に乗って、竜の谷へと戻っていく。
時間にしてほんの數分であったが、ドラゴンの背中で味わう風は何とも心地よかった。
「おお、まだ生きておられたか!」
いよいよ竜の谷の上空に著いたところで、王が気ばんだ聲を発した。
微かにだが、ゴールデンドラゴンの魔力をじることが出來たのだ。
王はそのまま翼をはばたかせながら、ゆっくりと谷底に向かって降りていく。
やがて霧を抜けると、そこには頭を持ち上げてこちらを見るゴールデンドラゴンの姿があった。
「おお……! まさか本當に戻ってくるとは、驚きじゃ……!」
「母上! ああ、良かった!!」
王はゴールデンドラゴンに近づくと、その頭を優しく抱きかかえた。
的な親子の再開に、俺たちまで涙腺が緩くなってしまう。
自分でやると言ったこととはいえ、実現できて本當に良かった。
心の底から暖かなが溢れてくる。
「……我が子よ。王となったそなたに、妾が最後に名を贈ろう」
「名でございますか?」
「そうじゃ。そなたの存在は唯一無二であるが、それゆえに名を與えられるものは限られる。格というものが必要であるからの」
「ですが母上、そのようなことをすればおが……」
高位のモンスターに取って、名づけとは自らの力を分け與えるようなものである。
しかも、名を與える対象が強大であればあるほど與える側にも力が求められる。
今のゴールデンドラゴンの狀態で、王に名前を與えれば……まず間違いなく死ぬだろう。
だがそれでも、彼は有無を言わさぬ口調で告げる。
「構わぬ、どちらにしても持って明日までよ。ならば最後に、母としての務めを果たさせてしい」
「……わかりました」
母の意を汲み取って、深々と首を垂れる王。
ゴールデンドラゴンは満足げに笑みを浮かべると、すうっと深く息を吸い込んだ。
そして厳かに、重みのある聲で告げる。
「そなたの名は、グアン。その輝きを持って、竜族を導く者なり」
言い終わった瞬間、王のが金のに包まれた。
それに合わせて、ゴールデンドラゴンのが金の粒子となって散っていく。
ゴールデンドラゴンが果てしない歳月をかけて蓄えた力と知識。
そのすべてが新たなる龍の王、グアンへと引き継がれた瞬間であった。
やがてゴールデンドラゴンのがすっかり消えてしまったところで、グアンは遙か天を仰ぐ。
そこには、チーアンの街から彼を追いかけてきた無數のドラゴンがいた。
「皆の者、聞け!! 我が名はグアン、新たなる龍の王だ!!」
こうしてララト山に、正式に新たなる王が誕生したのであった。
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