「じゃ、一ここは何処なんだ？」

「ここは、『ダアト』と言いまして、

各國家に所屬していた科學者たちが

集まって出來た『第四の國家』ですね」

「『第四の國家』…………『ダアト』？」

さっきも言ったが、権力者が作る小さな國『みたいな』は

今までもあったが、多くは資源不足などにより

國としての維持が出來ずに衰退するか

よしんば、好立地な資源採掘ポイントを見つけたとしても

獨占しようものなら、その資源を巡って大國に潰されるかだ。

つまり、今ある『三國家』に割り込んで

新たに國を作るのは、ほぼ不可能に近い。

俺が居た『アトラス』ですら、『國』では無く『都市』だからな。

まぁ、あそこは何処にも屬さない『中立』だったが

主に『貿易』で、繁栄していたからな。

「アト………ラス………？」

そうだ！アトラスだ！！

何で今の今まで、思い出せなかったんだ？

『ダアト』の事も気になると言えば気になるが

それよりも今は、『アトラス』に帰らなければ………。

「どうかされましたか？」

突然黙った俺を心配して、

ヤヨイさんが聲を掛けてくれるが、今はそれ所ではない。

早く、アトラスに帰って、無事？を二人に知らせなければ………。

助けて貰って、勝手なのは重々承知だが

二人に俺の安否を知らせたら、

改めて挨拶に來れば良いかな。

そうなると、まずは現在地を知る必要があるな。

心配そうに俺の顔を覗き込んでいる

ヤヨイさんには申し訳ないが善は急げだ。

「すみません。質問なんですが、

『ダアト』は、何処にある國なんですか？」

「ダアトですか？え～っとですね」

そう言って、手元にある別の資料を差し出してくれた。

それをけ取って確認してみると、

俺が最後に見たものより、新しく更新された世界地図だった。

地図を見た限りだと、昔と三國家の位置は変わってなさそうだ。

まず、北の山岳付近に『マルクト』。

東の地付近に『ケテル』。

西の平野付近に『ティファレト』。

ここまでが、俺が知っている各國の地理で

南の荒野付近に新たに『ダアト』が追加されていた。

『アトラス』は、前は三國家、今は四國家の

中心に當る場所にある。はずだったのだが………。

「………ない？」

確かに、アトラスは國ではないが、

傭兵等の人材派遣も行っていた。

この『傭兵』を一番利用していたのが、他でもない三國だったりする。

それゆえに、アトラスには三國の『機報』が集中………。

その結果、各國家がお互いを牽制しあい、アトラスは不可侵の中立へとなった。

もし『機洩』を恐れる、もしくは『機報の強奪』をする為、

アトラスを襲撃しようものなら、他の國家が黙っていないからな。

それにアトラス自にも腕に覚えのある傭兵や

それに見合った、裝備が集中しているので

並みの兵力なら跳ね除けるだけの軍事力がある。

それが、地図から消えているのはどう言うことだ？

一俺が眠っていた間に何が起こったんだ？？

こういう時は、事を知っていそうな人に聞いてみるのが一番だな。

「すみせん、ヤヨイさん地図の件で聞きたい………」

ヤヨイさんに事を聴こうとした矢先、

室に備え付けられた、警報裝置が

けたたましい音を立て始めた。

「どうした？」

さっきまで人をおちょくっていたのが

噓だったように、まじめな顔つきになったエミリーが

何処かに狀況を把握の為、連絡をしていた。