《テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記》21 報のるつぼ(雑談回)
前回に引き続き、他プレイヤーの會話や雑談となります。
男たちの會話の容が他もない雑談へと変わったことをけ、酒場『休肝日』のオーナー、フローレンスは別の、複數人の男からなるグループの會話に耳を傾け始めた。
「やっぱり霊たん、かわええ」
「たん言うな」
「くっ!なぜ俺はテイマーになどしてしまったのか!?」
「完全に報収集を怠っていたお前が悪い。霊が召喚専用だってことはかなり前から言われていたことだぞ」
「だから私があれほどチェックしておきなさいと言ったのに」
「いや、だってよ、先に々と調べてしまうと、面白くなくなるじゃないか」
「気持ちは分からなくもないけど、私たちはもう學生じゃないんだから時間が限られているのよ。遊ぶにしてもしは効率を考えておかないと」
「時間は有限、リアルを優先ってね」
「至言だよな。寂しいものがなくはないけど」
「寶くじ、當たらないかなあ……。そうしたら堂々と引きこもれるのに」
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「當たったら當たったで、それは大変らしいけどね」
「あり得ないことを考えたって仕方ないわよ。それより召喚専用の魔がいるっていうことは、テイム専用の魔もいるってことなのかしら?」
「バッサリだな、おい……」
「はっはっは。まあ、いいじゃないか。それでテイム専用の魔だったか。まだ噂の段階なんだが、幻想種の魔がそれに當たるんじゃないかって言われているな」
「幻想種?」
「キャラメイクの時にアウラロウラっていう貓の顔をしたサポートNPCがいただろう、ああいう獣頭人な種族のことを『OAW』では幻想種と呼ぶそうだ」
「ああ、あの鼻が真っ赤にっていた貓さんね……」
「え?俺の時は尾が二になっていたぞ?」
「そうなの!?私の時には『下衆(げす)いぞ!勇者様!』って書かれたシャツ姿だったけど?」
「彼、必ず何かしらの仮裝をしているって話だ。ちなみに専用スレで一番シュールだと認定されているのは某未來からやって來た貓型ロボットの著ぐるみ姿らしい」
「それは々と酷い……」
「ちなみに、仮裝に突っ込んだプレイヤーによると、「素晴らしい突っ込みでした」といい笑顔で返されたそうだ」
「ま、まあ、もう會わないだろうサポートNPCについてはこれくらいにして……。その幻想種?にはどんなのがいるの?」
「ゲームの図書館などで調べられた容によると、貓頭の『ケット・シー』に犬頭の『コボルト』、羊頭の『ゴールデンフリース』とか牛頭の『ミノタウロス』もそうだな。あと和風な名前のものとして狐頭の『銀狐(ぎんこ)』や鼬頭の『鎌鼬(かまいたち)』なんかがそれぞれの種族ごとに隠れ住んでいるんだってよ」
「隠れ住んでる?」
「魔として迫害されてきた歴史があるんだと。今でも討伐対象としている地方もあるって話だ。案外、テイムできるのもそういう過去があるからなのかもな」
「うわあ……。設定が先かシステムが先かは分からないけど、重い話ね……」
「だから幻想種と會えるのはまだ當分先のことになるんじゃないかっていう予想が大半を占めている」
「それにMMOじゃないから誰かが隠れ里を発見しても、そのイベント発生させて自力でその場所まで辿り著かないといけないのが大変……」
「プレイヤーごとにそれぞれのワールドがあるからな。全てのイベントやクエストを自分でやることができるっていうのが『OAW』の基本構想だから、その點は仕方がない」
「一応、その対策も考えられているみたいだぞ。公式ホームページに他のプレイヤーを助っ人として自分のワールドに呼ぶことができるシステムを開発中だって掲載されてた」
「それが上手くいったら攻略がかなり楽になりそう」
「NPCと協力してクエストをやるのも楽しいんだが、リアルでの小ネタとか全部スルーされるからな」
「だけどその割には、どうしてそれを知っているのよ!?っていうネタを放り込んできたりするけど」
「まあな。その辺りは運営の趣味なんだろう。……っと、もうこんな時間か。悪い、俺はそろそろ落ちるわ」
「それじゃあ、キリもいいからこれでお開きにしましょうか」
「うーい。代金は割り勘だよな」
「ケチ臭いわね。そこは「男の俺たちが払う」ってくらい言ってよ」
「そーだそーだ!」
「明らかにお前たちの方が飲み食いしておいて何を言うか!」
「勘弁してくれ。そろそろ武の新調をしないと耐久度がやばいんだよ」
「ちぇー……。あ、お姉さん、おあいそお願いします」
「はーい。々お待ちくださーい」
その後、さらに耳をそばたてていると、いくつもの席からどよめきが上がっていることに気が付いた。
「おいおいおい!それじゃあ本當にプレイ開始直後の超新米が、あのランダムイベントの『竜の卵』をクリアしたって言うのか!?」
「ああ。どうやらそうらしい」
「全エリアで発生がランダムで決定されるランダムイベントか……。他の一般的なクエストやイベントと違って、確かやり直すことができないんだったか?」
「ああ。時間を巻き戻してなかったことにはできるんだが、再度挑戦するためにはもう一度ランダムイベントに遭遇する必要がある」
「あれって遭遇率は數パーセントだろう。しかもランダムイベント自十數種類あるそうだし、実質不可能って言っているようなものじゃないか」
「しかもえげつないことに、終わった時點でようやくランダムイベントだったことを教えてくるからな。最初に遭遇したプレイヤーなんて、何が起こったのか全く分からなかったと言っていた」
「それよりそのプレイヤー、よくクリアできたな。結構高レベルのプレイヤーでもブラックドラゴンにやられて、そのままリセット行きになったっていう話だぞ」
「お?公式サイトが更新されてる……おい、例のプレイヤーから報告が上がっているみたいだぞ」
「報告かあ。何度か送ろうかと思ったんだが、愚癡になりそうだったんで、結局止めてしまったんだよな」
「俺もだ。選の品に釣られて書いてみようとしたんだが、どうやっても愚癡になっちまったよ」
「まあ、運営が載せるくらいだから、このプレイヤーのはそうじゃないんだろう。とりあえず読んでみようぜ」
「だな」
「………………」
「………………」
「あー……、何というか、々予想外だった」
「冒険者協會に行くより先に裏路地にり込むとかどうなんだ、それ?」
「しかもスラム街に迷い込むとかあり得なくないか?ちょっとこの子の危機意識が心配になってしまったぞ」
「エッグ狀態のドラゴンパピーは正直羨ましいものがある」
「テイムできていなかったら完全に詰んでいたな。あのブラックドラゴンはこちらの話を聞かないことで有名だから」
「その後の展開はなかなかに痛快だったな。謎かけでやり込めて、しかも街の守護竜にしてしまうとか、こういうのもアリなのかと驚いたぜ」
「それ以上にあのブラックドラゴンに勝負を挑むっていう発想が凄えよ。しかも絶対に自分が勝てるように上手く導しているし、並の膽力じゃないぞ、この子」
「それは言えてる。だが、まあ、この子の報告なら……」
「ああ、また読んでみたいかもな」
懐疑的だった雰囲気が、いつの間にか肯定的なものになっていたことにフローレンスは心で驚いていたのだった。
いかがだったでしょうか。いわゆる掲示板回の代わりとなります。
私自が掲示板をほとんど利用したことがないということもあり、このような形を取りれて見ました。
他のプレイヤーたちにリュカリュカちゃんがどう映っているのかや、設定の補完などなどが語られることになると思われます。
次回から新章にるということもあり、明日からは一日一回、18:00の投稿とさせていただきます。
引き続きお付き合い願えれば幸いです。
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