《凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ〜TIPS€ 俺だけダンジョン攻略のヒントが聞こえるのに難易度がハードモード過ぎる件について〜【書籍化決定 2023年】》1話後編 それは信じられない速度で空を飛び、たまに明になる

的、同時に味山とグレンは大巖から飛び降りる。

みるみる近づく地面に倒れこむように著地。よし、足は痛めてない。味山は隣のグレンも著地に功した事を確認する。

「來た、來た、來た來たあ!!」

「デケエエエエ!! タダ! 見てアレ! マジでかくないすか!」

「大鷲だからな!! そりゃ大きいでしょうよ!」

「ビラおおおおおおおおおおおおおおおん!!」

味山とグレンが先程まで自分達が座り込んでいた生贄の祭壇を見上げる。

ハイオオトカゲの死骸を、そのかぎつめで足蹴に、巨大なが雄びをあげる。

巨大、大鷲。

コンドルをそのまま巨大にした大鷲が味山達の目の前に現れた。

「タダ、今、コイツ急に現れたっすよね?! 近くに來るまで見えもしなかった!!」

「ああ、今の今までわからなかった。コイツ、アタリかもしれねえ! 報告にあった特殊個だ!あの2人が來るまでここで足止めるぞ!」

きいん。

耳鳴りが響き、囁きが聞こえる。

TIPS€ それはなくともお前の2倍は強い

「うるせえ、見りゃわかるわ!」

味山は囁きに唾を吐き捨てた。腰のポケットから筒のようなものを取り出す。瞬時に、その先端を空へと向けた。

「救難信號発!!」

手元の紐を思い切り、クラッカーを鳴らすように筒を空に向ける。

パッシュ。炭酸が抜けるような音が響き、花火の塊のように眩いがダンジョンの空にびた。

頼む、早く來てくれよ。味山は願いながら信號筒を地面に投げ捨てる。

代わりに腰のベルトに手を當て、別の道を取り出した。

味山の探索に常から備えられている武。味山へ所持許可の降りている探索者道

「おニューの斧だ。こけら落としにゃちょうどいい」

りする真っ黒なハマグリ刃。ラバー製の持ち手にはり止めの処理が施されている。怪の革でこしらえた手袋によく馴染む。

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額に流れる汗を無視して、味山は斧の刃を化けへと向けた。

「あー、いっつもこうなるんすよねえ! 聲紋認証開始! パワーグローブ、セーフティアンロック!」

片手で持てるサイズの手斧を構える味山の隣でグレンが泣き言とともにぶ。

左手を前に、右手を引き足を前後。ボクシングにおけるオーソドックススタイルの構えを取るグレン。その拳には奇妙な手袋、メリケンサックと革手袋が歪に混じったようなものが嵌められていた。

「ビョオオオオオオオオオ」

大鷲がいななく。人など一摑みに潰してしまいそうな巨大なかぎ爪で大きなトカゲの死骸を摑んだ。

その姿はあまりにも異様。生きのルールを完全に無視したその大きさに味山の脳は怯える。

人間としての當たり前の機能、危険を危険として認識しそれを避ける機能。恐怖が味山を生かそうと働く。

しかし、味山はその化けに振るうにはあまりに小さい手斧を握りしめて、ヘラヘラ笑った。

現代ダンジョン、バベルの大。この場所は人を酔わせる。理を薄く、恐怖を溶かし、人を探索者に変えて行く。

生命の価値が軽い、あまりにも。軽い生命を以って命を狩り、大を進む。それが彼らの仕事だ。

「アシュフィールド達が來るまでどれくらいかかると思う? グレン」

「3分はかかるっすよ、あの2人は遊撃でいてましたからね。マジこの作戦ガバガバじゃないすか。囮にすんなら近くにいろよ」

「まあ、ポジティブに考えて信頼の証と思い込もうぜ。俺たちなら時間を稼げるだろ的な」

軽口を2人が叩き合う。

理の外にいる生命、現代兵を攜えていようと生命の保証はない危険を前に、ただの手斧と変な手袋を裝備しただけの2人は割と呑気に笑っていた。

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笑い、笑ってそして。

「始めるか」

「そっすね」

「ビョオオオオオオオオオ!!」

大鷲がその翼を広げる。威嚇、はためく大きな翼。小石や砂が強風に煽られ、飛び散る。

「キミに決めた、生贄大作戦、フェーズ2」

味山がパーカーのポケットから小さなボタンを取り出す。筒狀の機械についた赤いボタンに親指を乗せた。

「トカゲトリモチ弾、相手の翼は死ぬ」

パチリ。

ボタンを押す。

瞬間、予定通りの現象が起きた。

破裂音、飛び散る青い片、そして大鷲の悲鳴。

「ビョオオオオオオオ?!!」

「もっと注意深く周りを観察するべきだな、化け

破裂したのはハイオオトカゲの死骸。

大鷲が摑んでいたその死骸にはあらかじめ味山達が仕掛けを施していた。

特殊な火薬で作られた小型弾と、バベルの大で採取できるダンジョン産の植、粘著の強い自生トリモチ草の種を數キロほど。

破裂した片に混じり、衝撃によって固まるトリモチが大鷲の翼を固めていた。

「ビャア!! ああああ?!」

弾の破片と衝撃が大鷲のを削り、弾け飛んだトリモチが翼のきを止める。

青いを流しながら、大鷲がもがき続ける。

「おし、作戦通り。クラーク大先生の段取りはヤバイな。足場がまったく崩れていねえ」

「怪の生態調査で生け捕りとかよくやってるすからねー、センセイは生來の気さと狡猾さに加えて馬鹿みたいにアタマも切れますからねー、と闇が混ざって最強っすよ」

「それ闇と闇じゃね?」

ズシン。

味山とグレンが軽口を叩き合う中、大巖から大鷲が飛び降りる。

翼は先端が折れ曲がり、真白な餅のようなトリモチが羽に絡みこびりついている。すぐには飛び立てない筈だ。

「ビオ! ビオ!! びおおお!」

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それでも大鷲はその黃を開き、茶の羽を逆立てながらぶ。

ダメージを食らっているようには見えない。ここからが命がけの殺し合いだ。

手札を確認しろ、翼は今のところ封じた。一番厄介な空からの一撃離はとりあえず問題ねえ。、かぎ爪、健在。注意。

味山はこの探索に出向く前に探索者端末で確認した怪種25號のデータを反芻する。

一番の脅威、大鷲による探索者の死亡率の8割を占める空からの強襲は封じた。なら次はーー

「グレン!! だ!!」

「ビオ!」

飛べずとも鳥は跳ぶ。

鳥類獨特の辺りをキョロキョロ見回す作からノーモーションで大鷲がぴょいとジャンプした。

彼我の距離は10メートル以上あった。しかしその距離は一瞬で詰められる。あっけなく味山達の死線は超えられた。

無機質、無表。哺類である以上その瞳に見つめられると反的にが竦む。決められた生としての格の違い。

「あっーー」

そのがグレンへと振り下ろされる。

けなーー

「部位破壊報酬は、俺のモンっすよ!」

が槌のように振り下ろされると同時、ヒラリと當然のようにグレンが捕食者の一撃を躱す。

荒地の地面にが柱のように食い込む。

そのまま返す刀の勢いで、グレンが拳を化けめがけてぶち込んだ。

きん。

き通った金屬音が響く。

手袋に蔵されたマニュピレータと共鳴ホタテの音袋の作音だ。

「びえええええ?!」

質なものが決定的に砕ける音、人間の拳が化けにヒビをれていた。

「やっほう!! もう1発!」

グレンが2発目の拳を振りかぶった段階でようやく味山はき出す。

彼はグレンとは違う。恵まれた反神経、人間離れした膂力、それらは持っていない。

味山 只人は、只の人間、凡人だ。

しかし、それでも自分の出來ることは知っていた。

「ナイス! グレン」

地面を蹴り、大鷲の側面へと移。ポケットから再び何かを取り出す。真っ赤なをした野球ボールサイズの球だ。

それを思い切り、化けのアタマめがけて投げ抜けた。

「び、びおおおおおおおお?!!」

を砕かれた時よりも大きな悲鳴。味山の投げた球は大鷲の顔面に當たり潰れた。

真っ赤なれ出し、鼻をつく匂いが味山にまで屆く。

「スコヴィル値2000000のバベロイナ・リーパーハバネロの濃だ。味わってくれよ、高いんだから」

悲鳴をあげもんどりを打つ大鷲。1つ1萬円で怪に隙を作れるのなら、払う価値はある。

そう、隙はある、しかしそのもがく作の一つ一つが味山にとっては避けることすら難しい攻撃となる。

鋭きかぎ爪は致命傷になる、猛きは致命傷になる。味山はグレンや、他の特別な探索者のようにそれらを確実に己の能力で捌けない。

ならば、どうするか。

答えがこれだ。

「腳よこせ」

ためらいなく、殺す。金を使い、道を利用する。酔いにを任せ、命を危険に差し出す。

それらを全てこなしてようやく味山は怪に迫れる。

グレンとハバネロボールのおで完全に大鷲からの意識は外れていた。

「ふっ!!」

手斧を両手で握り込み、スイングする。

「びっ?!」

大木に刃をれ込んだ時と同じ覚。ダンジョンで取れる金屬と怪を混ぜ合わせたで鋭い刃が、大鷲の腳に食い込んだ。

「うおっ!」

電柱のような腳に斧を食い込ませた瞬間、味山は刃を引き抜き転がりながら大鷲の足元を抜ける。

「びおおおお!!」

暴れる大鷲の攻撃をかいくぐり、態勢を整える。心臓が熱い、斧の柄を握る手のひらの皮も熱い。

「タダ! 合わせて!!」

「あいよ、グレン」

暴れる大鷲の注目はグレンへと集められている。化けは味山よりもグレンを脅威と認めたらしい。

「オレが引きつけるす!! タダはチクチクやってくれ!」

「地味な作業は得意だ、任せろ!」

グレンが大鷲の正面に立ち、まともに相対する。上級探索者として認められた才能を憾なく発揮し、二階建てほどのサイズのある大鷲に殺されない程度に戦う。

味山はその隙を突きながら、時にハバネロボールを目に投げつけ、時に命がけの腳への一撃離を試みる。

青いがダンジョンに染み込む。

の一番の強みは封じ、ある種のパターンにっていた。

このまま続ければ殺せる。

味山が4度目の最接近を果たそうとしたその時、

「あ?」

「え?」

突然、異変は起こる。

大鷲の郭が歪んだかと思うと、そのままスウっと風景に溶けていくようにその姿がかき消えた。

「は? 消えた?」

「いやいやいや、なんだそれ」

一瞬の出來事に2人は足を止めた。

周りを見回してもどこにもいない、あれだけ巨大なが一瞬で消えて。

TIPS€ 敵怪種の明化を確認

頭の中で、アレの聲が響いた。

「あっ…… グレン!! 避けろ!!」

「へーー、ゲブッ?!!」

瞬間、グレン・ウォーカーが地面に仰向けに倒れた。自ら倒れたのではなく何かに押しつぶされるように。

その証拠にグレンが倒れ伏した地面は奇妙な形に凹んでいる。鳥の足の形に。

「ガッーー、ああああ?! ゲふっ、、こ、こいつ、まさか?!」

明?! クソ!」

見えない何かに拘束されているように地面に倒れるグレン、味山には見えないが瞬時に狀況は理解した。

踏み潰されている、明になって姿を消した大鷲の化けに。

理屈も仕組みもわからない、分かるのは今起きている現象のみ。

ギリギリまで分からなかった急襲のネタはこれか。明になった狀態で、空を飛ばれたらまず気づけない。

種25號が明になれるなんてデータはない。

つまり、怪種の生態における新報。ついてる、これは組合に高く売れる。

味山は新たに湧いたモチベーションで焦りを打ち消す。

頭を働かせろ、今けるのは俺だけだ。ミスればーー

「アッ、ギギ、ああああああ?! 死ぬ?!」

仲間が踏み潰されて死ぬ。

そう理解した瞬間、は勝手にいていた。

心臓の音がうるさい。脳みそが蠢き、気持ちが悪い。

「力を貸せ」

何故そんなつぶやきがれたのか、自分でもわからない。ただ、この狀況はすでに凡人の自分だけの力ではどうすることもできないものと知っていた。

ならば、どうするか。答えは単純。いつも通り、使えるものはすべて使う。

たとえそれが、理解することすら危ういものだとしても。

「力を貸せ、ク(・)ソ(・)耳(・)」

TIPS€ 部位保持者は"腑分けされた部位"の権能を一部、扱う事が出來る

が熱い。

管が焼け落ち、側から爛れそうなほどの熱が生まれる。

見えぬ筈の化け、仲間を踏み潰そうとするその敵のめがけて飛び込んだ。

「オオオオオオオオオ」

手斧を思い切り、握りしめて、振り下ろす。

衝撃の反が肘にまで登る。

明な化け、見えぬ筈の片足にそのまま、斧を振り下ろし。

「び、びああああ?!」

斧が砕け散る音と、がへしゃげ骨が潰れる音が同時に響く。地獄でスイカ割りをしたらこんな音がなるんじゃないか。

理外の一撃。おおよそ人に放てるようなモノではない攻撃を味山はした。

味山の手斧と、怪の片足、それが同時に砕けた。三度切りつけても傷しかつかなかった片腳が、まるで戦車弾の直撃をけたかのように弾けた。

頑健なはずの手斧が飴細工のごとくねじ曲がり、刃が歪み砕ける。

「う、噓オオオオオ?! また砕けた?! え、昨日買ったのに!! 50萬もしたのに! まだローン 殘ってるのによおおお?!」

「ビオオオオオオオオオオオン?!!」

味山の悲鳴と、怪の悲鳴が共鳴しダンジョンに響いた。両方とも失ったものに対する驚愕がびとなる。

味山のから何かが抜ける。弾けそうな覚が収まる。

虛空から怪郭が浮かび上がる。片腳を失った衝撃で能力が解けたのだろうか。

潰れかけの腳を引きずりながら大鷲が味山を睨みつけた。

なるほど、一定のダメージ、もしくは衝撃をけた場合は明が解除されるわけか。

味山は3年ローン の殘ったガラクタを泣く泣く投げ捨て化けの様子を観察した。

仲間を殺されそうになるどころか、俺のローンの斧まで……

許せない。殺す理由が更に増えた。

「……お前、お前だけはここで殺す。お前の羽、お前の、お前のかぎ爪、お前の全てを売り払ってやる」

酔いが怒りと混じり、更なる酔いを呼ぶ。

大鷲が、グレンから腳を離し味山に向けて威嚇を向ける。亀裂のったを開き、潰れかけの腳を引きずりながら。

創痍、しかし、怪は人間と違いここからが本番。

「げほっ、げほっ! ウエェ、タダ、ナイス。命拾いしたす」

踏み潰されかけていたグレンが立ち上がり、味山の隣に戻る。

「大丈夫か?」

「耐衝撃ファイバーの戦闘服じゃなかったら死んでたっすよ。ハンマーナメクジを1ヶ月前に狩っててよかった…… あとは筋トレのおかげっすね」

グレンが懐から小さな注を取り出し、流れるように自分の首に刺すのを確認する。

「あー、死にかけたす。明になれる大鷲、特異個すね。決まりじゃないすか、タダ?」

口からこぼれたをぬぐいながらグレンが味山へと話す。

「ああ、こいつだ。探索者を5名、上級探索者を2名を狩り殺した化け。そして俺の手斧をぶっ壊したクソは」

殘りの道を整理する。解用の探索ナイフが一振り。ハバネロボールが2つ、虎の子の閃手榴弾が1つ。そして、の中に眠るあ(・)の(・)化(・)け(・)(・)の力。

「うー、効く。あー、だいぶ楽になって來た。ヨッシ、タダ、コイツ殺しましょ」

「おう、化けが。人間様の財布を痛めつけた事を後悔させてやる」

「ビョオオオオオオオオオオオオ」

人間と化けが互いに相対する。生きるために殺すために、わらない両者が戦う。

びき、びき。

トリモチの拘束が悲鳴をあげた。

「ビョオオオオオオオオオオオオオオオオアオアオオ!! アアアアアアアアアアアアアアアア!!」

解放、追い詰められを流し、生命の危機を迎えた大鷲が遂に人間の策を破る。

人の及ばぬ領域、空への切符。大鷲の翼が広がる。

景だけ見れば、神々しささえじる。過去人間はその鷲の偉容に神を見たことがある。

だが、ここにその威にひれ伏すような人間はいなかった。

その翼がくたびに風が起こる。砂煙から目を守りながら味山はそれでも笑った。

「上等だ、化け。絶対にお前をカネに変えてやる。死ぬのはお前だ」

本気になった化け、酔っ払った凡人。

生きるための、カネを稼ぐための殺し合いが、始まるーー

TIPS€ アレフチーム、到著

「あ、やっときた」

味山が何かに気付いた。同時に殺意がしぼむ。

剎那の後、空を切る音ともに

「ビ、ビアアアアアア?!!」

化けの悲鳴、一際大きい。

その翼には、黒りする槍が數本、いつのまにか突き立っていた。後ずさりしながら悲鳴をあげる化けを見上げて味山は笑った。

その槍を味山は知っている。

「えっ!! 投げ槍! つー事は! よっしゃあ! 勝ち確ー!」

グレンもその槍に気づく。それは探索者ならば、いやこの時代に生きる者ならば誰しもが知っている人の武

味山とグレンの仲間、上司。

現代ダンジョンの生まれたこの時代にされ、選ばれた存在。

探索者の到達點、組合だけでなくその功績から遂に國からも特別な指定をけた存在。

指定探索者。世界にまだ50人といない特別たち。

その中でも最も輝かしいを放つ、現代の英雄。

槍の飛んできた方向を味山が確認する。

人がいた。

石の煌めきをそのままけで輝くセミロングの金髪、蒼い海を閉じ込めたような碧眼。

イタズラげに歪む不敵な笑顔。

2021年、その國の星條旗に星が1つ追加された。プエルトリコ自治區と呼ばれていたその地域は、新たなる州として合衆された。

2026年、世界から嵐が消えた。嵐を征した1人の人間は合衆國の新たなる星として星條旗にそのを連ねた。

その功績、世界から嵐を消し去った偉業から合衆國の存在しえない52番目の星として記録された唯一の人間。

「アハッ、ソフィはまだ來てないのね。競爭は私の勝ちみたい」

この場にそぐわないリラックスした聲、當然だろう。きっとこのにはこの狀況は晝下がりのティータイムとさして変わらない。

「ハァイ、タダヒト、まだ生きてる?」

あの日と同じように。待ち合わせに集まるような気軽さで。

「ああ、なんとか生きてる」

味山は同じく手を振る。

「そう、良かったわ。じゃあタダヒト、仕事の時間ね。援護はよろしくね」

「了解、アシュフィールド」

英雄が、凡人の元へ到著した。

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