《凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ〜TIPS€ 俺だけダンジョン攻略のヒントが聞こえるのに難易度がハードモード過ぎる件について〜【書籍化決定 2023年】》ライアン・フロディの日記 その1

僕の名前はライアン・フロディ。

バベル島での生活が始まったことを記念に生まれて初めて日記を書き始めてみた。いつかこれを読み返した時にこのことを懐かしく思える日が來ることを願っている。

日記というのはどのように書いていくものなんだろう。同僚のモンタナに聞いてみると、いつもの息子を諭すかのような聲で奴は俺にこう言った。

ライアン、日記に書き方なんてものはない。お前が思ったことをただそのままに、のまま、起こったことを事実そのまま書き綴るだけでいい。それが大事なんだ。

知った風な事を言う奴だ。だが、良い研究者というのは他人からの助言に耳を傾ける奴のことを意味する。モンタナの言う通りにしてみたいと思う。

研究者、そう、俺は研究者だ。あるいは科學者といってもいい。MITの理學部を卒業後、そのままマクガヴァン脳科學研究所にり、分子神経學を専攻としている。

今回、合衆國の総力を挙げて計畫されたこのオペレーションに參加出來るのは栄だ。現代ダンジョン、バベルの大。史上最大の神、科學者にとってのブラックボックス。初めてバベルの存在を知った時は今まで學んできた事全て、読んできた本の全てを燃やし盡くしてしまいたいと思ったのを今でも覚えている。

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それほどまでに、この場所はクレイジーでエキサイティングで、何よりもクールだ。先人が文字通りの滲む努力で、爪を剝がしながら一枚一枚剝がしてきた神のヴェール、科學とは常に未知への挑戦だった。

ようやく科學がこの世界の神、そのほとんどを明らかに出來る、そう思っていた矢先に

これが現れた。

翻訳。バベル現象。まずこれから意味が分からない。どうやったら、一何をどうすれば言語の齟齬をチャラに出來る? 脳のどの部分にどのような質がどのように反応すれば、ニホン人とアメリカ人が言語齟齬なしに意思疎通出來るというんだ?

バベルの大とはよく言ったものだ。まさに、かの神話。神を恐れず、全ての世界の言葉が統一されていた時代、その再現じゃないか。

それと何よりクールなのは、あれだ! モンスター! クリーチャー! 怪種!! ワオ!! 最高だ! 生學の歴史に泥どころかクソとキャンディを混ぜて塗りたくったようなあの生命! 不思議なのは地上に住む生と形がよく似ているものも多いことだ。形が似ているということはつまり、生命の樹形図の中のどこかで怪種と地上の生きが混じっていたタイミングもあるということじゃないのか? まあ、これを書き始めると貴重なオフを全て使い果たしても足りないから、この辺で。

あー、結局自分が何を書いているのか分からなくなってきたな。もしこれを読んでるのが合衆國の検閲員や、ぼく自じゃないのなら適當に読み飛ばしてくれ。

というか、俺の日記を読んでいるのが俺以外という狀況はあまり良くないな。

おい、君! キミだよ、キミ! この長ったらしいくだらない文章をここまで読んでいる奇特なキミだ!

なんで俺の日記を勝手に読んでいる?! …… なんてね。そんな奴がいるわけない。いるわけはないが、そうだな、世の中にはあらゆることが起こりうる。もしかしたらこの日記を俺以外の誰かが読んでいることも十分あるわけだ。なら、ここまで読んでくれたキミに謝を。そうだな、こうしよう架空の読者がいるというなら日記を続けることができるかもしれない。

そうだ、これは良いアイデアだ。

よし、名前も知らないキミ。俺はライアン・フロディ。このオペレーション、あー、オペレーション"レベル・アップ"の研究メンバーだ。

これからオペレーションの期間、日記を続けようと思う。気が向いたら、そうだな、ロクにやることがない日や、お気にりのWEB小説の更新がない日、ソーシャルゲームのイベントがない時や、退屈な通勤通學の日。

暇な時に、気が向いたら俺の日記を読んでくれよ。キミという読者がいるんなら続きが書けそうだ。

退屈はさせない、何せあのアレタ・アシュフィールドに関わるオペレーションだ。

人類の進化に彼はもうリーチをかけている。よし、そう考えたらなんとなくテンションが上がってきたぞ。

まずはストーム・ルーラーの部エネルギーの反応の変遷とアレタ・アシュフィールドの関係から始めていこう。

じゃあ、読者のキミ。そろそろ仕事の時間だ。次の日記でまた會える日を楽しみにしてるよ。

ライアン・フロディ。オーバー。

一度こういうの、やってみたかったんだ。

読んで頂きありがとうございます!宜しければ是非ブクマして続きをご覧下さい!

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