《凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ〜TIPS€ 俺だけダンジョン攻略のヒントが聞こえるのに難易度がハードモード過ぎる件について〜【書籍化決定 2023年】》汝、只の人なりて

警告 重要な選択ーー

アレタ・アシュフィールドを人に戻しますか?

………

……

「ギャハハハハ!! う、うおえ…… おえ……」

笑いすぎてむせた。

一気にが重たくなる、膝をついて口元を拭う。

左手にが戻りはじめていた。

「あ、ちくしょう、もう終わりか」

TIPS€ 耳男、終了

「おみみ……」

「みみみ」

「みっばっーい」

「おみなら」

「おみみだったよ」

パチパチパチ。

小さなお耳達が、溶けていく。小さなおててで味山に向けて拍手を送りながら。

味山は軽く手をあげてそれに応えた。

「ごほっ、ほんと、悪夢みてえな景だよ。……ありがとな」

いずれ殺すべき宿敵、それの力とかつて始末した大敵、それからけ継いだたった一回の道(人間奇跡)。

それら全てを使い潰し、ついに英雄を地に引きずり下ろした。

「おみみ!」

小さなお耳が味山を指さす。

「いや、味山だ」

小さなお耳、溶けていく奴らに見送られながら味山が進む。

歩く。その度に解けていく。右手の火が揺めき、煙に変わる。左手にが腱が戻っていく。

顔、耳の面が溶け落ちて平均的ニホン人顔に戻る。

耳男が終わる。嵐すら食い盡くしたその探索者道はたしかに役目を果たした。

上を見上げる。

空も決著がついていた。

ホオオオオオオオオオオオオオオ!!

重たい雲、それにが差し込み始める。

空からのはしごが降りてくるように、雲に切れ間が生まれ始める。

「まだだ」

味山只人がそれでも進む。

ふらつき、よろめき、唾を吐き捨てる。が混じっていた。

TIPS€ 警告 アレタ・アシュフィールド攻略報解

"人に戻す"

TIPS€ 警告 アレタ・アシュフィールドを人に戻しますか? 警告 非推奨、警告 非推奨

警告 お前はきっと、それを後悔する。警告 アレタ・アシュフィールドを人に戻しますか?警コくお前はきっとそれを後カイするーーケい谷 危険 キケン 危ケン 負けるぞ、負けるぞ、アレタ・アシュフイールドを人に戻せば負けるぞ アレタ・アシュフィールドをアレフチームに戻すなら人に戻さねばならない、しかしお前は負けるぞ、お前は人ーー

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「うるせえ」

耳をばちりと叩き、雑音を消す。

なんだよ、人に戻すって。的に言え、的に。

ヒントに文句を垂れながらも、味山はなんとなくその方法がわかっていた。

人、人、人。

人とは弱い生きだ。アレタ・アシュフィールドは強すぎる。なら、どうするか。

答えは初めから決まっている。

味山が進む。

が重たい、そこらじゅう痛い。それを引きずる。

雨に濡れ落ちた地面を踏みしめる。

「う、あ……」

「立て、クソボケ。ギタギタにしてやる、お前の強さを全てめちゃくちゃに壊してやる」

「げほ、……あは、あたし、は….… うべ!! げほ! げほ!」

何かを言おうと、そして立ち上がろうとしたアレタが餅をつく。

互いに満創痍、ボロボロだな。味山は何故かし笑えた。

「立てゴラ、人の腹にあんだけ開けたんだ、毆られたくらいではいつくばってんじゃねえ、タコ」

アレタを味山が見下ろす。

「ハア、ハア…… 誰が、タコ、よ!!」

「てめえだよ!!」

起きあがろうとしたアレタの顔面にかますのはサッカーボールキック。

ばち、しかしアレタがそれをけ止める。

「あたし、あたし間違ってない!! どうしてわかってくれないの?!」

びながら、アレタが味山の腳を取る。バランスを崩して味山のが仰向けに倒れた。

「うわらば!!」

「なんで!! なんで!? なんでタダヒトはあたしの邪魔をするのよ! ねえ!」

よろけながら、アレタが味山のにのしかかる。華奢な、それでいて嵐すらする手が味山の首を絞めた。

「が、が?!」

「答えてよ! あたしは、あたしは貴方達のために決めたのに! もう一緒にいられなくても、消えても良かった! あなた達さえ生きて、幸せになってくれたらそれでよかったのに! なんでそのあなた達があたしの邪魔をするの!? どうしてあなたがあたしの敵になってるの!? ねえ、タダヒト!」

泣いていた。

はっきりと、アレタが両眼から涙を零している、疑いようもなかった。

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「ぶ、あ、あ」

首を絞められながら、味山が地面をまさぐって土を握りしめた。

この、クソボケ。

「答えてってば!! ッ?! ああ?!」

アレタの勢が崩れる、味山が地面の土をアレタの顔目掛けて投げつけたのだ。

味山の太い首を絞めていた手が緩んでーー

「首絞めながら返答を求めんなァァァ!!」

TIPS€ 警告 アレタ・アシュフィールドの人間が僅かに戻り始めた

「イッ?!」

ものすごい勢いで頭突きをかます。

アレタの額が割れた。

「もう今の行によお、てめえの人間が全て現れてんだよ!! クソァ!!」

のけぞったアレタを振り払い、そのぐらを摑む。

「う、うう」

「おまえはクソガキだ!! アシュフィールド! よくわかった、よおくわかったぞ。アレタ・アシュフィールド、てめえは年を重ねただけのクソガキだ!」

「え、え?」

「おまえはなあ! 人に話を聞いてしいくせに、人の話を聞こうとはしねえんだ! 人に理解されてしいと願うくせに人を理解しようとはしてねえ! はい、お前の次のセリフは『だって誰もあたしをわかってくれない』と、いう!」

「だってだれもあたしをわかってくれないーー あ」

「わかるかァァァ ボケエエエエエエエ!! こちとら自分のことで一杯なんじゃァァァ!!」

もう1発、振り下ろすように拳を顔面に。

手の皮が剝けて、拳骨が傷んだ。

TIPS 警告 アレタ・アシュフィールドの人間が戻り始めている

「ぐへ!!」

「いいか、よく聞け! だれも自分のことを理解してくれない? それが當たり前だ!! だってそりゃそうだ! アシュフィールド、お前以外の人間はお前じゃないんだ! 理解とか出來るわけねえだろ! 自分のことだって完璧に理解するのが難しい! それが人間なんだからよお!」

もう1発、アレタ・アシュフィールドから英雄を殺すように、拳を振り下ろす。

全力で毆る、頬の辺りを拳がつけ抜けて多分、歯を砕いた。

「げふ!!」

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アレタの口から歯が溢れる。

「いいか、どいつもこいつも勘違いしてやがる! お前だけじゃない、人はな、元々1人なんだ! それが當たり前なんだ! それにいじけて勝手に他人を見下したり、諦めたりしてんじゃねえ! お前が知りもしねえ、お前と違う多くの普通の人間だってみんなそれでも生きてんだ!! 完とは程遠い自分を抱えて! 完璧じゃねえクソみたいな世の中で、それでも!! 生きてんだよ! 寂しくても辛くても、理解されなくても!! でも、みんな頑張って生きてんだ!! アレフチームも同じだ! 舐めんな! クソガキ!!」

「で、でも、みたもの! みたんだもん! あなた達はどれだけ頑張っても報われない! ソフィもグレンも、あなたによく似た人も! あたし見たんだもん! アレフチームのみんなが、みんなが!」

ぐしゃぐしゃに泣きながらアレタがぶ。が渇くような悲痛な聲。

雨が降り続ける、もうその顔は雨やら涙やら鼻水やらでぐしゃぐしゃだ。

重たい雲が味山とアレタの上を渦巻いてーー

「それでも! 俺はここへたどり著いた!!」

「あ」

雲を晴らす、味山只人の言葉。

僅かに空の雲が薄く。

「答えろ、英雄。答えろ、アレタ・アシュフィールド。お前の見た報われないアレフチーム、その景の中にこれはあったか?」

「お前という理不盡のぐら摑んで、お前をギタギタにする俺の姿はあったかよ? なあ?!」

味山が目を走らせてアレタのぐらを摑んでぶ。

の瞳が、揺れた。

「な、なかった…… 」

はっきり、英雄が口にした。

口をぱく、ぱくと。金の瞳に味山の濁った栗の瞳が寫っている。

「なかった。あなた達はみんな、ここで、あたしに、わたしに、負けて…… あれ、あれ?」

「そらみたことかァァ!! このガバガバチャート野郎があああ!!」

「うぇ?!!」

味山がアレタを締め上げ、また膝蹴りをれる。苦悶の聲、人間の聲をアレタがらした。

TIPS€ "英雄"技能 強度低下

TIPS€ "凡人"技能 隠し機能 "大凡なる人々" 発

「てめえのそのガバチャーを俺は信じねえ! クラークを見ろ! グレンを見ろ! アイツらだって何一つお前の言うようなことにはなってねえ!」

「でも、でも」

揺している。嵐を従えていた時にはなかった迷いが今、始めてアレタに生まれている。

味山を言葉を選ぶ。おそらくアレタを取り戻す最後のチャンスだ。

「クラークは、覚えてたぞ、お前のことを」

「え?」

「お前が訳のわからねえの力で消えても、アイツだけは忘れなかった。鼻水垂らして家ん中ぐちゃぐちゃにしてグレンの食玩コレクション々にしながらてめえのことを忘れまいと抗い続けた! これもお前の予想通りか? 狙い通りかよ?!」

「うそ、うそ……よ。アムネジア・シンドロームに? あなたが教えたんじゃないの? あなたが耳の力でーー」

「アイツは俺とは違う、真っ向正面からお前の下らねえ企みに抗っていた。鼻水垂らして涙流して、それでもお前の名前を部屋中に刻んでいた。お前を忘れたくないってな」

アレタのから力が抜け始める。目が、明らかに泳ぎ始めていた。

「もう、わからない…… でも、あたしはあなた達の幸せを」

それでもまだモゴモゴとアレタが続ける。

味山がぐらを摑む力を強めた。酔い、疲れ、怒り、その他もろもろのが味山のただでさえないIQを更に乏しくさせていく。

「だったらまずはホウレンソウを徹底しろや!! てめえがいない時點で俺(達)の幸せとは程遠いんじゃ、このボケ!!」

肝心な部分が抜けている言葉を味山がび始めた。

「………え? 今なんて?」

アレタが、なぜか、顔を赤くした。味山はもちろん気づかない。

「聞こえなかったのか?! 何度でも言ってやる!!」

もう止まらない。

「俺(達)にはお前が必要なんだよ!! 英雄でも嵐の裁定者でも52番目の星でもない!! お前だ! (クラークは特に) お前がいないと生きていけないんだ! 忘れることなんか出來なかった!(クラークが) 」

「え? え?」

アレタがどんどん目を丸くしている。さっきまで嵐に曬されて溫をじさせないほど白かったが、紅し始めて。

「だから戻ってこい、俺(達)ん所に!! お前のことが理解できなくても意味わかんなくても(クラークは)お前と一緒に居たいんだよ…… それだけじゃダメなのかよ…… クソ……」

「あたし、あたしが必要…… でも、あたしが、なんとかしないと、あたしには使命があるの…… だって、あたしはアレタ・アシュフィールド……」

目のが移り変わり始めている。金が揺らいでいた。

「……お前にずっと言ってやりたいことがあった、いつも思ってた。チームを組んだ時も、クソ大統領の時と探索者表彰會ん時も、そして今も、ずっとお前に言いたいことがあった」

それはずっと。味山が証明してきた事実。

その才故に、己がそれであるとその瞬間まで理解出來なかった鬼の末。

その生まれ故に、己がそれであるとその瞬間まで信じることの出來なかった桃の娘。

そしてその存在故に、ここにもまた1人。己がそれであると。あまりにも當たり前で、しかし誰も彼達に言ってあげることの出來なかった言葉。

味山只人が、誰でもない、只の人がその言葉を英雄に、アレタ・アシュフィールドに屆けた。

「お前は人だ、アシュフィールド」

汝、只の人なりて。

「只の人なんだ。寂しがり屋で思い込み強くていじっぱりで不用でワガママで自己中で自己犠牲の自己満ヤローだ。欠點だらけの、只の人間なんだよ。だから、もういいだろ」

誰も、星に伝えることの出來なかった言葉。ようやく、ようやくそれを味山只人が星に屆けた。

英雄のから力が抜けた。

ぱく、ぱく、と何かを言いたそうにアレタが口を開く。

それは言葉になっていない。

味山を見ている。その目、金の眼が味山を映す。

「帰ろう、アシュフィールド。クラークにぶん毆られろ。謝れ。許してもらえないとは思うけどそれでもお前は謝らないといけねえんだ」

「……い、い、いまさら、いまさら戻れるわけ、ないじゃない。あたしが、あなた達になにをしたのか。わかってないわけないじゃない!! あたし、あなた達に、アレフチームを、一度終わらせようとしてーー」

自罰。

アレタは人だ。それは間違いない。そして人というのはそう簡単に変わるものでもない。

味山の言葉1つでアレタが改心して分かり良くなるようなら苦労しない。

アレタをみて、味山の悪い癖が首をもたげた。

「……あーもう、めんどくせえ」

面倒くさくなってきた。もう簡単に連れて帰るか。

「え?」

酔いにより本質を剝き出しにした味山が本気でアレタの顔面をもう一度毆ろうとして

どろり。

地面が溶けた。

「あ?」

TIPS€ 條件達

オペレーション・スターデストロイヤー継続

ソフィ・M・クラーク、グレン・ウォーカー、ハートマン、生存

「っ!! クラー」

「や、り、過ぎだァアアアアアアアアアジイイヤマアアアアアアア!!」

「ノボリベツッ?!」

溶けた地面から昇竜拳の構えで現れたのは、みるからにボロボロのソフィ・M・クラーク。味山の顎を掌底で見事に捉えた。

「え、え?! そ、ソフィ……? なの?」

突然の登場に、アレタが目を丸くする。

「はあ、はあ、ふ、ふふふふ、ははははははは!! 功! 功だ!! ワタシはたどり著いた! あ!? やばい、アジヤマ、大丈夫かい?!」

餅ついて吹き飛んだ味山にソフィが駆け寄る。

味山が頷きながらソフィに手を振る。信じていた、必ず追いついてくると。

割と本気でそう信じ込んでいた味山にあまり驚きはなかった。

「いってええ、……おお、クラーク、待ってたぜ。あー、悪い、完全に酔ってた。……やったのか?」

それを確認する。言葉はない、でもそれで伝わる。

「ああ、叩きのめしてきたとも。まあ、怪狩りと忌々しいがルーン、ケルト十字の2人に助けられてしまったけどね」

「あいつらが? まじかよ」

聞き覚えのある名稱、思わず味山は口を綻ばせる。

「ああ、人は、人を助け、助けられる関係にある。まさか、アイツらから學ぶことがあるとはね。まあ、それはキミからもだが。まあ殘念ながら、最後はあるニホン人に邪魔されてね。決著はつかなかったよ」

「あるニホン人?」

「まったく忌々しい。人の因縁をなんだと思ってるんだろうね。そういうの全て無視して、アリサがいい奴だから助けるだのなんだの。厄介な善(・)人(・)、(・)い(・)や(・)狂(・)人(・)だ(・)ね(・)、(・)あ(・)れ(・)も(・)。また一緒にいた黒髪のニホン人のも厄介のなんの。なんだい、アレは。キミんとこの國では探索者でもないのにテレキネシスじみたものをぽんぽん使えるのかい? さすがは神の國だよ、恐れる」

早口でクラークが続ける。かなりイラついているらしい。

「てか、クラーク。お前も沈殿現象から抜け出せるのかよ」

「……ふん、キミと同じさ。あいにく、キミのようないい耳は持っていないけどね。……じき、グレンも追いつく」

「そーかよ、耳、ねえ」

味山が苦笑いしつつ頷き、目線でアレタを示した。

ソフィが息を吸い、吐く。心の準備にはちょうどいい時間だったろう。味山がその場に座り込み、聲を出した。

「……ある程度、話聞かせる程度にはギタギタにした。あとは頼むわ。お前の友達だろ」

「……ああ、そうだね」

「そ、ソフィ…… どうやって、あなた、どうして」

パッ、ン。

「…………え?」

「歯を食いしばれ、アレタ・アシュフィールド」

ビンタの瞬間、ソフィが拳を握りしめた。

「ンっ!?」

グーでいったな、アイツ。あー、鼻。いてーぞ、もう折れてるんだから。

味山は他人事のようにぼんやり。

ソフィがアレタを毆る姿を眺めた。

「ああ、鼻が折れているのか。後で治そう。さあ、立て、アレタ。ワタシを見ろ、アレタ」

「そ、ソフィ」

鼻を抑え、アレタが聲をあげる。

ソフィがアレタの肩に手を置いて、額を當てた。味山のように額を割りにいく頭突きではなく親が子どもにあてがうように優しく。

「ワタシは辿り著いたぞ、アレタ。ワタシはここにいる。アジヤマ、そしてグレン、他の人間の力を借りてキミに辿り著いた。ワタシは世界が嫌いだった、いいや、世界に住む人間が嫌いだった」

ソフィの赤い目が、アレタの金の眼を映す。その聲は暗く、味山でさえ背筋がし怖気るような威圧を持っていた。

「でも、そうじゃないと。人に頼ってもいい、人に救われてもいい、そう教えてくれたのはキミじゃないか、アレタ」

ふっと、ソフィの聲が和らいだ。

「あ」

アレタの目のが、今度こそはっきり変わる。

、人ならざる眼が揺れて、瞳孔が開き、閉じる。

絵のが水に溶けて変わるように、その眼のが蒼く、青く、碧く。

「ワタシはもうすでにキミに救われているんだ。だから、頼むよ、戻ってきてくれ」

「ソフィ…… ソフィ」

靜かに、アレタをソフィが抱きしめた。

いつのまにか、雲は晴れている。溫かな日差しがソフィとアレタを照らしていた。

なんか俺と言ってること同じなのに、雰囲気全然違うなあ。

味山が鼻くそをほじりながら呑気に考えた。奧の方にあるそれはが混じり、べりべりと剝がれていく。

「だが、それはそれとしてこのバカアレタァァ!! どれだけ心配したと思っているんだ!! だいたい委員會の連中との取引なんてうまくいくわけないだろうが! ワタシもグレンも、そしてアジヤマも普通に死にかけたんだぞ!」

またもう1発。腰のったいいビンタだ。

「へぶら!!」

ソフィが割といい音を立てながらアレタにビンタし続ける。

「おお、流石クラーク。やるときはやるな」

あの溫度差で毆られたら痛いそうだな、味山は鼻くそをほじるのをやめない。奧ので固まったやつ、あともうしで取れそうなそれをーー

どろり。

「お、來たか」

また近くの地面が溶けた。味山はすぐに笑った。溶けた地面からやかましいエンジン音、それとアメリカ合衆國國家のイントロが響いていたからだ。

『ハハハハハハハハハハハハ!! ディス・イズ・アメリカ!! ついにアメリカ合衆國の威はダンジョンさえも制覇したぞ!! あ、だめだ、もう。休止モードに移行』

「うおえ、きぼぢわる…… せ、せんせー、置いていかないでー…… あ、もう無理、おぼろろろろろ」

溶けた地面から飛び出したのはこれまたボロボロの裝甲車、一部ボディが剝がれ落ち、部の構造が剝き出しになっている。焦げた跡もたくさん殘っている。

そして、ドアから飛び出てきた見慣れた丈夫、グレン・ウォーカー。瞬間にキラキラを吐き始めた。

よほど乗り心地がアレだったのだろう。

「ハートマン、グレン!! うわ、汚い。お前ら、……おせーんだよ」

「うぼろろろ、……よお、タダ、助けにきたぜ」

キラキラを拭いながらサムズアップするグレン、味山も笑って同じように返す。

「おう。そうだ、グレン、俺よりもほら、あそこ。お前の上司が俺の上司を永遠に毆り続けてるからそろそろ止めてやってくれ」

味山がひたすらビンタを繰り返し続けるソフィを指差す。

「え?! うわ、せんせ、ストップ! ストップ! 毆り過ぎだって! うわ、この人すげえ顔腫れてる」

「ま、前が見えない………」

「グレン、そいつがアシュフィールド。記憶、戻りそうか?」

「うーん、いまいち。でも、あれっすね。信じるっすよ、タダやセンセの言ってたことを。この人もアレフチームの一員ってことを」

「へえ、クラークが言ってたからか?」

「いや、センセ見てたらわかるっすよ。ほら、あんなにさ、センセが楽しそうで幸せなんすもん、あの顔見れただけで今回の苦労も全部、チャラっすよ」

「そーか」

「そーっす。……あ、ありゃいかん、センセもバカになってる。あの人そろそろ顔破裂するわ」

「アイツ思ったより容赦ねえな、おーい。クラーク、殺すなよー。俺が絶妙な力加減でギタギタにしたんだからよー」

「うう、ぐす、よかった、よかったよう、アレタが消えてない、ううううう……」

緒がぐちゃぐちゃになってるらしいソフィが、ビンタしつつ涙を流しアレタの無事を喜ぶ。

「ソフィ…… あなた…… どうして、どうしてここまで…… あなたが覚えているんなら、あたし、あなたに許されないことをしたのに、なんヴエ!?」

ばちん。腫れまくった顔、再びソフィのビンタがアレタの顔を捉えた。

「まだ、まだ、わからないのかい? 好きだからだよ! ワタシだけじゃない! アジヤマもだ! キミのことが好きなんだ! クソワガママのドン引きメンタルの自己犠牲自己満ヤローでもキミのことが好きだから! だからこうしてキミを取り戻しに來たんだ! 完璧な世界なんていらない! キミがいないのなら何も意味はないんだ!」

「あたしが、いないと…… でも、あたし、あたしは、ソフィ、貴達が死ぬところを見たの!! ソフィが狂って、グレンも狂って、タダヒトによく似たひとたちもみんな負けて!! みんなが不幸せになるの! 嫌なの! アレフチームのみんなには幸せになってしかった! 報われてほしかった! だから!! あたしがなんとかしなきゃって! だから!」

悲痛な聲、アレタが顔を腫らしそれでもぶ。その剣幕にソフィの振りかぶっていた手が止まった。

TIPS€ 警告 選択の時だ

ヒント。

ああ、分かってる。後回しにしてきたこと。目を逸らしてきたこと。

その全てにケリをつける時がきた。

腰のベルト、耐熱ホルダーにっているお菓子の包み紙を破る。

ハニーバー、しっとりしていて、それでいてパサパサしているそのバータイプのお菓子を齧る。

甘い蜂の香り、甘味が染みる。包み紙をポケットに押し込んでそれから。

味山は真っ直ぐ。アレタを見た。

口を開いた。

「誰だよ、アシュフィールド」

「え?」

言ってしまった。

「お前に、そんなもん見せたのは誰だ。お前にそれを教えたのは誰だ?」

始めてしまった。

「タダ?」

「クラーク、グレン、警戒しろ。まだいる。アシュフィールドのそれはもうビョーキだ。そいつは病人だよ、タチの悪いビョーキに目をつけられちまってる」

はあった。

「なにを、言ってるんだ? アジヤマ。何かまたヒントを聞いたのかい?」

予兆も、あった。

「タ、タダヒト、何を言ってるの? あたしは……」

ヒントから得た斷片的な報、そして味山を何度か襲ったニセモノのアシュフィールドの存在。

「アイビー・レアフィールド」

TIPS€ アレタ・アシュフィールドは混ざっている。

「アシュフィールド、お前の様子がおかしいタイミングがいくつかあった。お前は今なにかと混ざりかけている。答えろ、お前はここで何をしようとしていた? 的に全部、お前の口から答えろ」

ずっと、妙だと思っていた。何故、急にアシュフィールドはこんな風になった?

「あ、アジヤマ?」

予兆はあった。きっかけもきっとあった。

「クラーク、おかしいと思わねえか? そもそもだ。アシュフィールドのビョーキ、これはなんだ?」

TIPS€ 警告 現有戦力では対抗手段無し

「アシュフィールド、お前は何を抱えていた? お前は何を1人で解決しようとしていた。お前は俺たちに何を隠していた?」

だがそれはきっと、深い。

アレタ・アシュフィールドを英雄たらしめんとしていたものが存在する。

アレタ・アシュフィールドの決定、選択を後押ししていたものがいる。

「あ、あたし…… は?」

「俺たちは探索者だ。いい加減、思わせぶりな謎や、仕掛けはなしにしよう。全てここでケリをつける、ビョーキのもとはここで殺す」

ここしかない。もうそれを始末できるのは今しかない。何故かそうじた。

TIPS€ 警告 重要な選択

れるな。れろ、れるな、れろ。

それには勝てない、それには負ける、ずっと負けてきた。

しかしそれを殺さなければアレタ・アシュフィールドはまたいずれ消える。

TIPS€ 條件開示

プランA

アレタ・アシュフィールドとアレフチームと共に地上への帰還を目指す。このまま何もれずに。

プランB

アレタ・アシュフィールドの真実を話さずに、それにれないまま、時を待つ。

「いつものだ。いつだって選択は3つあった。クソ耳、聞かせろ。俺だけに聞こえるヒントを」

味山は迷わない。耳男の時と同じ、3つめの道を探す。

TIPS€

條件達

"52番目の星"との接を生き延びる 公文書館である本を読み、メッセージをけ取る、レア・アルトマンとの接を果たす、遠山鳴人と出會わない、遠山鳴人が消失している、オペレーション・スターデストロイヤーを開始する。アレタチームを全員生存させる。

TIPS€ プランC "オペレーション・スターデストロイヤー"

"52番目の星"と対決し、アレタ・アシュフィールドを救い出す

はあった。

「わからねえ、未知、不明、それは恐怖だ。それ全部ここで殺そう」

アレタ・アシュフィールドはこのままではまた消える。

本人の意思関係なく、アレタはその星に囚われている。

「ヒントだ。俺にだけ聞こえるクソヒントがずっと言ってる。それにれるな、それにれろ。お前が選べと。従おう、俺は自分で決める。アレタ・アシュフィールドをお前に辿り著いた。俺たちアレフチームはお前に、たどり著いたんだ。なら」

味山が包み紙を、右の手のひらで燃やす。

そして、顔をパンパンに腫らしたアレタをみて、言い放つ。

宣戦布告の宣言を。

「最後は、俺たちが、お前を助ける」

その言葉をきっと、彼たちは許さないだろうから。

「なにそれ」

が現れた。

アレタに、似た金髪の

白いワンピースを著た、無表

「は?」

グレンが目を剝く。

「え?!」

ソフィがきを止める。

『バカな!! 熱源探知、電磁探知、全てに異常はなかった?!」

ハートマンがく。

「……あ、なん、で」

アレタが、呟き

「出るもんが出たな、ビョーキのモト」

味山だけが兇暴に、笑う。

「ニセフィールド、いいや、違うか。アイビー・レアフィールド、いや、これも違うんだろうな、そうだ、お前の名前は」

指を刺す。

突如現れた、その亡霊の名前を。

「52番目の星」

TIPS€ お前はきっと、それには勝てない。

の、蒼の目がこちらを眺めていた。

空。

ストーム・ルーラーが変化していく。

「なにそれ、そんなの知らない。そんな展開、わたし知らない。なにそれ」

「な、なんだい、この…… あ、アレタ?」

「ソフィ、わたしの名前を忘れたの? あんなに大好きって言ってくれてたのに」

「は? な、なんだ、これ、なんで……」

「センセ、そのアレタ、さん? のそばに。下がって」

「ああ、グレン。あなたはいつでも、どの貴方でもブレないわ。くす、ここまで貴方が生きてるのは珍しいから。し、驚いちゃった」

「な、なんすか、この人…… なんか、変だ、俺、なんで……」

グレンもソフィと同じ。

何故か、2人とも泣いていた。そのをみた瞬間、2人の目から明な涙がずっと流れている。

「気にしなくていい、グレン、クラーク。それとまともに話すのはやめろ」

「なにそれ」

「黙れ、しゃべるな。ビョーキの元が。お前だろ。アシュフィールドにいらんもん見せたり、混ざったり余計なことしていたのは」

TIPS€ 警告 警告 警告 警告 警告 警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告52番目の星警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告警告

敵、報、公開

全ての敗北した52番目の星の集合

"彼達"

はじまりの"彼"の犠牲者。あらゆる歴史、世界中52番目の星の役割を全うした彼達はしかしみな、悲劇の中に沈んだ。

あるものは英雄としての使命を全うし、世界の敵となった仲間を討ち、そのあと世界に殺された。

あるものは英雄としての使命を全うし、世界に挑み、"彼"に滅ぼされた

あるものはその道の果て、己の孤獨に気付き、暖かいもの全てを自分で捨ててしまった絶に自死した。

犠牲者に過ぎなかった彼たちはしかし、永劫の繰り返しの中ついにいつしか自意識を取り戻していた。

後悔、嫉妬、そして回帰。

もう戻らない何かを求めるその姿は"彼"と同じもの。しかし、途中で目的と手段がすり替わり愉しむことを覚えた"彼"とは違い、"彼達"はたのしめなかった。

なんで自分は1人なのか、なんで自分は誰にも救ってもらえなかったのか。なんで自分の隣にあなたはいないのか。

なんでお前だけ喪っていないのか。

後悔、嫉妬、回帰。それが彼達の全てである。

もう、彼達が何をしたいのか、それを全て理解している存在はいない。多くの群、あらゆる52番目の星がいくつくれの果ての集合

お前がたどり著けなければアレタ・アシュフィールドもまた"彼達"の一員になれ果てただろう。それがいいか悪いかは別として

「いいわけねえだろ。んなもん」

切り捨てる。そのヒントを。

「あは、聞いたのね。"耳"、いい部位ね」

「あの病室んときのアレもお前か」

「病室、ああ、ええ。不思議な覚だけど、わたしよ。アイビーね、きっと。彼は気が荒いから。ああ、今のわたしはライネ。まあ誰が表に出るかはその時の調子によるんだけどね」

「気悪いな」

目の前のが心底気持ち悪い。目の前にいるのは1人、しかしこれは違う。

1人の中にたくさんがいる。これは個ではなく群。

人間の形をした何かの群れだ。

システム、英雄というシステムのれの果て。

「ふふ、怖がらないでよ。さっきまではアイビーが表だったけど、わたしはアイビーほどあなたのこと嫌いじゃないわ」

「そうか、ならそのまま消えてくれないか? アシュフィールドはもう、お前達とは違う」

「だ。だめ、タダヒト、その子達を刺激したら…… う、なんで、あなた達がタダヒトにも見えて…….」

「ああ、わたし。今回はね、なかなかみんな肝を冷やしたわ。あなた予想以上に凄かったもの。もし、邪魔がらなければ全てわたしたちみんな、あなたになっていたかもしれないわ。でも、もう、それもない」

「あなたはもう完しない。あなたはもう"彼"に、あのに挑む資格はない。その道は斷たれた、あなたはーー」

「おい」

「あら」

「話が長え。シンプルに行こう。お前を始末すればアシュフィールドのビョーキもしはマシになんだろ。かっこつけの英雄病までは完治しなくてもよー、とち狂って俺らの前から勝手に消えることはなくなるよな」

「タダヒト…… なんで。あたし、あたしは」

「アシュフィールド、クラークのツラ見ろ、グレンのツラ見ろ。お前のなんでの答えはそこにあんだろ。全部終わって、まだお前がなんやかんや喚くならまたぶちのめしてやる」

「アジヤマ、ワタシを置いてアレタのポイントを稼ぐんじゃないよ」

「今のどこにポイント要素があんだよ。……クラーク、我らがリーダー。俺らの最終目標がアレだ。オペレーション・スターデストロイヤー、ちょーどいいじゃねーか」

「…….え? リーダー? え?」

「何が、え? だよ。お前まだアレフチームのリーダーのつもりか。図々しすぎるわ。お前はしばらく雑用係だ、雑用係」

「ふむ、そうだね。アレタはしばらく我々の炊事當番だ。ほとぼりが収まるまではダンジョンでサバイバル生活だし…… 軍屬時代を思い出して張り切ってもらうとしよう、……アジヤマ、シンプルに行こうか。アレは敵かい?」

「ラスボスだ。アレを始末すりゃ、アシュフィールドのビョーキもしはまともになる」

「そうかい。なら、理由はもうそれだけでいいね。グレン、すまないがしごとの時間だ」

「へいへい、よくわかんないっすけど、了解っす。あの人見てたら泣けるのは、これ、逆にやばすぎて笑えますね」

言葉の數はいらない。ソフィが、グレンが、味山を信じて敵を認識する。

「クラーク、お前隠し球なんかあるか?」

「あるに決まってるだろう。教とアリサをぶちのめした切り札だ。キミもきっと驚くぞう」

「俺も、俺もあるっすよ。タダの耳男にも負けねーやばいのが!」

「アレと比較すんのにはしゃがれると反応に困るな。じゃあ、まあ、いけるか」

知らず。

味山、ソフィ、グレン。

アレフチームが並び立つ。背後に、アレタを庇うように。

「ま、待って、みんな、いけない、その子はダメ…… あたしじゃないと! お願い、やめて! その子達は危険すぎるの!」

「ふふ、ひどい言い方ね、もうわたしじゃないあなた。初めて墮ちた星、ああ、し羨ましいな。あなたはもうわたしにならなくても良さそうなんだから」

「待って、待って! お願い! 待って! あたしが、あたしが行く! だから、お願い! 彼らに手を出すのはやめて! お願い!」

背後でアレタがび始める。

半狂、初めて聞く怯えたような聲。

「くすくす、どうしたの? そんなに焦らなくてもいいいじゃない。まだ、私たちは彼らに何もしていないわ。……そんなに喪うのが怖いの?」

「待って、お願い、彼らは、関係ない! あたしとあなた達の関係に彼らは関係ないでしょ! だから、やめて! お願い!」

アレフチームを完全に無視して、アレタとが奇妙な會話を続ける。

味山が言葉を開こうとしてーー

「ダメに決まってるじゃない。許さない。あなただけ幸せになるなんて。何も失わないハッピーエンドなんて認めないわ。アレタ・アシュフィールド」

「ッ?! お願い、逃げて!! タ(・)ダ(・)ヒ(・)ト(・)!(・)」

「あ? なんで、俺だけ名指しーー あ?」

アレタを見て、振り返る。

そのあと、味山只人がそのを見た。

見て、しまった。

ぷちゅ。

顔の上半分。鼻の上からへんなおとがした。

「あ?」

それから、目がおかしい。遠近が摑めない。右側がやけに赤くて、暗くて。

「は?」

暗闇。急に訪れた暗闇。右目が、見えない。意味が分からなーー

「ダメじゃない、そんな簡単にこっちを見たら。ダメよ。あなた日本人なんでしょう? バチが當たるわ」

「は?」

どこか、楽しそうなの聲だけが聞こえた。

「知ってるわ、私。気軽にそれを見たらあなた達はダメなんでしょう? 神様を見たら、目が潰れるんでしょ? 日本人」

TIPS€ "日本人"技能に被特攻を確認

TIPS€ 警告 敵、テキ、テキテキ

敵"権能"発を確認

"汝、ーー"

全ての"人間"、"凡人"、"信心"、"カス"などのマイナス技能、または普通の存在、選ばれざる存在への絶対優位権を得る

「あなた、何か勘違いしてるよね?」

の言葉、味山只人の膝が崩れた。

「あなたの周りには特別な存在が多かった。その中であなたはさまざまなトラブルに巻き込まれて、それを乗り越えた。あなたはあなたのまま、試練を乗り越え続けた。それで勘違いしちゃったのよね」

「凡人探索者、あなたは勘違いしていた。それは決して良いことではないの。それは決してを張ることではないの。それは決して特別な者に並べるようなことではないの。それは決して誇るべきことではないの」

が、萎していく。

「そして貴方の勘違いは運命の神の権能から逃れたことで確信になってしまった。宿命を持たないことを、その存在であることを、あなたは自分の強みだと勘違いしてしまったのね。だから、ここまで來てしまった。その存在のままで、だよね、"凡人探索者"」

気付けば、味山は暗闇の中で、首を垂れてはいつくばり、その聲を聞いていた。

「"凡人であること"、まさか、あなたそれが特別なこととでも思ってたの?」

が、笑った。花が咲くように。

ぷちゅ。

殘りの左目が潰れた。

「汝、只の人なりて」

もう、何も見えなくなった。

"汝、只の人なりて、すなわち無力で無価値で無意味な者なりて

しかしてーー

    人が読んでいる<凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ〜TIPS€ 俺だけダンジョン攻略のヒントが聞こえるのに難易度がハードモード過ぎる件について〜【書籍化決定 2023年】>
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