《【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】》高校生ライフ

「さて。そろそろ時間だし、行くとするか」

「學校とはいえ転生杯の參加者が現れる可能はゼロじゃないし、二人とも気をつけて」

「ああ。真冬も何かあったらすぐに連絡してくれよ」

「待って秋人」

玄関に向かおうとした俺を、春香が呼び止める。

「何だ?」

「學校に行く前に、真冬に質問があるの。秋人もそこにいて」

先程までとは打って変わり、真剣な目を真冬に向ける春香。

「これは以前秋人にも聞いたことだけど、真冬は自分の復讐を、どのような形で果たすつもりなの? 沢渡達を……殺すの?」

春香の質問に、真冬は目を見開いた。

「……俺の時も思ったけど、その質問の意図は何だ?」

「本人の覚悟を確かめるためよ。中途半端な覚悟で復讐に臨んでも、きっと殘るのは後悔だけ。だからアタシとしては、明確な覚悟を持って復讐に臨んでほしいの」

「……なるほど」

春香の言うことは一理ある。俺の場合、黒田を殺すという絶対的な覚悟を持って復讐に臨んだ。だから黒田を殺したことは微塵も後悔していない。だが果たして真冬には、沢渡達を殺す覚悟があるのだろうか。

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「どうなの、真冬」

「……私は……」

真冬は口を噤み、俯く。しばらく沈黙が流れた後、春香は小さく息をついた。

「まあいいわ。真冬の覚悟がどうであろうと、アタシ達が真冬の復讐に協力することに変わりはないから。それじゃ行きましょ秋人」

「あ、ああ」

複雑な表の真冬を殘し、俺と春香はアジトを出た。

歩くこと約30分、俺達は陸奧高校に到著した。徒歩で行ける距離にあるのはありがたい。周囲には登校中の生徒達があちこちに見けられ、校門では生徒會らしき者達が挨拶をし、グラウンドでは運部が走り込みをしている。まさしくここは青春が集う場所、高校である。

「ついにアタシも高校生かー! ワクワクが止まらないわ!」

「……春香、ここに來た目的はちゃんと分かってるよな?」

「勿論よ!」

目を星のように輝かせる春香。本當に分かってるのだろうか。

「突然ですが、皆さんに転生を紹介します。どうぞってください」

擔任の先生の合図で、俺は二年A組の教室に足を踏みれた。うわ、皆こっち見てる。だが所詮俺より(中は)十歳も下の連中だ、怖じ気づくことはない。そう自分に言い聞かせながら、俺は壇上に立った。

(B組に超可い転生が來るって噂になってたから、こっちには超イケメンが來るかもと思ったら……)

(なんかパッとしないわね……)

(期待して損した……)

子達の顔を見てるとこんな心の聲が聞こえてくるようだ。悪かったな期待に応えられなくて。おのれ春香め、無駄にハードルが上がったじゃないか。

「では簡単に自己紹介をしてもらおうかしら」

「えー、月坂秋人です。よろしくお願いします」

「……それだけ?」

「はい。簡単にと言われたので」

どうせこのクラスとは數日の付き合いだろうし、丁寧に自己紹介したところで無意味というものだ。

「いやほら、もっと何かあるでしょ? 趣味とか、特技とか」

「趣味は力づくりですかね。特技はないです」

「……わ、分かりました。あそこが月坂君の席です。皆さん、月坂君と仲良くしてあげてくださいね」

生徒達から拍手が贈られる中、俺は先生から指定された席に座った。しかしよく見るとこのクラス、なかなか可い子が多いな。これはJKと合法的にお近づきになれるチャンスなのでは――

「おらぁっ!!」

俺は煩悩を消し去るべく自らの頭を機に激しく打ちつけた。

「月坂君!? どうしたの!?」

「……すみません、額に蚊が止まっていたもので」

額からを流しながら答える。何考えてんだ俺は、ここに來たのは真冬の復讐の為だろうが。決して青春を謳歌する為ではない。俺が目的を見失ってどうする。

ホームルームが終わり、休み時間になった。では早速行を開始しよう。まずやるべきは沢渡達の存在を確認すること。確か三年のクラスは四階だったはず――

「!?」

だが席を立つ前に、クラスの男子達が一斉に俺の周りに群がってきた。

「よう転生、今日からよろしくな!」

「さっきの自己紹介雑すぎんだろ! 張してたのか?」

「いきなり頭突きを披するとかやるなお前! 実は目立ちたがり屋だな?」

「趣味は力づくりとか言ってたけど、何かスポーツやってたのか?」

「LINE換しようぜ!」

なんだこいつら!? めっちゃ話しかけてくるんだけど! 転生って最初の一ヶ月くらいは距離を置かれてなかなかクラスに馴染めないというのが定番じゃないのか!? なんで初っ端からこんなにフレンドリーなんだよ! これじゃ席を離れようにも離れられない……!!

その後の休み時間も男子達による質問攻めは続き、やっと解放されたのは晝休みになってからだった。まさかこれほど興味を持たれるとは予想外だ。だがこれでようやく行を開始できる。

俺は売店でパンとコーヒーを購して晝食を簡単に済ませた後、LINEで春香に次のような文面を送った。

『これから沢渡達を探すから、春香も手伝ってくれ。四階に集合な』

數秒後、春香から返信が來た。

『ごめん! 友達から部活にわれちゃって、今から晝練を見學しに行くところなの! そっちは任せたわ!』

思わずスマホを握り潰しそうになった。なに普通に高校生ライフをエンジョイしてんだあいつ!? 完全に目的忘れてるだろ!

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