《【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】》復讐の刃

俺が春香に目を奪われていると、春香が俺にウインクをしてきた。その可さに俺のハートは撃ち抜かれ……じゃない、こんな時に何を魅ってるんだ俺は。だいたい春香の役目は生徒を校舎裏に立ちらせないようにすることだろ。アタシに任せてとか言いながら一何をやって――

「……そういうことか」

俺は察した。大勢の生徒が春香達のライブに注目している今、校舎裏に行こうとする者はまずいないだろう。春香の狙いはこれだったのか。先程のウインクは、今のに校舎裏に向かえという合図だったのだろう。まさか春香の奴、ここまで計算してアイドル部に部を……!? いや絶対違うな。

ともかく春香が生徒達の注目を集めてくれているに、作戦を進めよう。俺は校舎裏に向かいながら、真冬に電話をかけた。

やがて俺は校舎裏に著いた。まだ夕方だが、薄暗くった空気が漂っている。沢渡達はまだ來ていないようだ。

俺はその場で屈み、地面をそっとでる。ここで真冬が命を落としたと思うと、いたたまれない気持ちになった。

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間もなくここで、真冬の復讐が果たされる。俺の役目は、その手助けをすること。最終的に手を下すのは真冬でなければ意味がない。

そして校舎裏で待機すること數分。ついに沢渡と、その取り巻き二人が姿を現した。これから何が起きるとも知らずに。

「お待たせ、正義のヒーロー様。逃げずにちゃんと來たことは褒めてやんよ」

「お前達こそ、猿のくせによく二足歩行で來られたな。心」

俺のあからさまな挑発に、沢渡はビキビキと青筋を立てる。

「今すぐその減らず口を潰してやろうか……!!」

これ見よがしに金屬バットを構える沢渡達。さあ、ここからが本番だ。

「まあそう慌てるなよ。さすがに一対三は分が悪いと思って、実は助っ人を呼んでおいたんだ。まずはその紹介からさせてくれ」

「助っ人……?」

「おっ。ちょうど來たみたいだな」

背後から聞こえる足音に、沢渡達は振り返る。

「なっ……!?」

その人を見て、沢渡達は驚愕の反応を見せた。當然だろう、そこにいたのは二年前に死んだはずの、東雲真冬本人なのだから。

憎しみが宿った目で、三人を睨みつける真冬。あんな真冬は初めて見る。俺まで萎してしまいそうだ。そして沢渡達が直している隙に、俺は【潛伏】を発して地中に潛った。

「なんであいつが……自殺したはずだよな……!?」

「まさか……幽霊……!?」

「狼狽えんな!!」

揺する取り巻き二人を、大聲で叱責する沢渡。

「幽霊だかゾンビだか知らねーが、所詮真冬は真冬だろ。ビビることはねーよ」

早くも沢渡はこの狀況をれていた。普通ならもっと取りしてもよさそうなものだが、思ったより肝が據わっているのか、それとも単に馬鹿なだけなのか。

「久し振り真冬ちゃん! また會えて本當に嬉しい! で? アタシらに何か用?」

わざとらしい笑顔を見せる沢渡に、真冬は一歩一歩、近づいていく。

「私は今日……貴方達に復讐する為にここへ來た……。私を死に追いやった報いをけてもらう……!!」

「ハッ、復讐? なんかアタシらが殺したみたいに言うのやめてくれる? テメーが勝手に死んだんだろ、アタシらのせいにすんじゃねーよ」

俺の怒りが発しそうになる。お前らが殺したも同然だろうが……!!

「ま、それでも復讐したいなら勝手にすれば? 遊び相手くらいにはなってやんよ」

真冬はポケットからナイフを取り出し、沢渡達との距離を詰めていく。しかし相手は三人、真冬単獨では不利だ。だからこそ俺がいる。

「おー怖っ。それじゃアタシも遠慮なく――痛っ!?」

沢渡が金屬バットを構えた瞬間、地中に潛っていた俺は沢渡の足を摑み、派手に転倒させた。

「ちょっ、何今の……!?」

この隙に真冬が駆け走り、地面に倒れた沢渡に馬乗りになった。

「沢渡!? なに突然転んで――ぎゃっ!?」

「うわっ!?」

続けて俺は他二人の片足をそれぞれ摑み、同じように転倒させた。どうだ、地中からでは回避のしようがないだろう。

「な、何が起きてんの!?」

「ひっ!! なんか地面から手が生えてない!?」

おっとバレたか。だがこれで真冬を止められる者はいなくなった。真冬は沢渡に馬乗りになったまま、ナイフを振り上げる。

「貴方達さえ……貴達さえいなければ……!!」

「待って待って待って!! マジで殺す気なの!? 有り得ないって!!」

迫真の聲を上げる沢渡。さあやれ、真冬!

腕を振り下ろす真冬。だが――ナイフが沢渡のに到達する寸前、真冬は腕をピタリと止めた。

「うっ……ぐっ……」

苦しげな表で、を震わせる真冬。やがて真冬は、手に持っていたナイフを地面に落とした。真冬、やっぱり――

「ぷっ。あははは! あはははははははははは!!」

沢渡は高らかに笑いながら、真冬を突き飛ばした。

「そーだよなあ!! テメーに人を殺すほどの度があったらアタシらにイジメられてなかったよなあ!! なーにが復讐だ、笑わせんな!!」

勝ち誇ったように沢渡が言い放つ。俺はすぐさま地中から飛び出して倒れた真冬のもとに駆けつけ、両手で真冬の肩を抱き寄せた。

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