《【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】》の風呂問題

「いやあ、料理できる組とできない組で綺麗に二分化されちゃったな。なあ真冬」

「……いつか私も料理に挑戦してみようかな」

「真冬が料理? やめといた方がいいと思うぞ、真冬ってなんかゲテモノ料理とか作っちゃいそうなタイプだろうしいだだだだだ!!」

真冬が俺の膝を思いっきり抓ってきた。

「う、噓です冗談です!! 真冬さんの手料理楽しみにしてます!!」

「……よろしい」

まあ真冬が作ってくれた料理ならどんなに不味かろうと完食できる自信はある。ちなみに俺は料理に挑戦する気はゼロなのであしからず。

「あっ。秋人さん、ほっぺにご飯粒がついてますよ」

「え? どのへんに?」

「ここです……あっ」

正面に座っていた千夏がを乗り出し、至近距離で千夏の指が俺の頬にれる。千夏はすぐに指を引っ込めた。

「す、すみません。つい……」

「いや、別にいいけど……」

その様子を春香がニヤニヤしながら見ていた。

「……何だよ春香」

「なんだか付き合いたてのカップルみたいだなーと思って。昨日のデートも良い雰囲気だったし、いっそのこと付き合っちゃえば?」

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「ななな何言ってるんですか春香さん!! わ、私はともかく、秋人さんの気持ちもちゃんと考えないと――」

その時、メキッという大きな音がした。真冬がスプーンをへし折る音だった。

「ど、どうした真冬?」

「……自分でもよく分からない。何故か急にのあたりがモヤモヤして、気付いたら手に凄い力がってた」

不思議そうに自分の右手を見つめる真冬。すると春香が呆れ顔で溜息をついた。

「真冬って頭は良いけど、中は案外お子様よね」

「……春香にだけは言われたくないんだけど」

「どうかしらねー。アタシにすら分かることが分からないようじゃ、真冬の方がお子様ってことになるんじゃない?」

「…………」

真冬は無言でフォークでイチゴを突き刺し、それを口に運んだ。

「あー!! アタシが楽しみにとっといたデザートのイチゴ!! 何すんのよ真冬!!」

「イチゴ程度で怒るなんて、やっぱり春香はお子様」

「人の食べを橫取りする方がお子様でしょ!!」

「おい二人とも喧嘩すんな!」

「……ふふっ」

小さく笑う千夏。それを見てキョトンとする真冬と春香。

「あっ、すみません。決して面白くて笑ったわけじゃないです。今まで家ではずっと一人だったので、こうして皆でご飯を食べたり、ワイワイ騒いだりするのが、なんかいいなと思って……」

千夏の言葉が俺の心に染みる。真冬と春香も自然に言い爭いをやめた。

「ちょっと言い過ぎたわ。ごめん真冬」

「私もごめん。はい、イチゴ」

真冬が自分のイチゴを春香の皿に乗せる。これにて一件落著。しかし晩ご飯の後、またしても事件は起きた。

「秋人、もうってる?」

俺が一人で風呂にっていた時のこと。場の方から春香の聲がした。

「ああ、いるぞ」

「んじゃ、アタシもろっと」

「え!? ちょっと待ってください!!」

ドアの向こうで慌ただしい足音と千夏の大聲が響く。千夏が場に來たのか? なにやら取りしてるじだが……。

「どうしたの千夏ちゃん?」

「どうしたのじゃありません!! まさか春香さん、これから秋人さんとお風呂にるつもりなんですか!?」

あ、しまった。今となってはすっかり気にしなくなっていたが、男が一緒の風呂にるのは普通はとんでもないことだ。慣れって怖い。

「そうだけど、何か問題ある?」

「問題大ありです!! だ、だってお風呂ってことは、お二人ともってことですよね!?」

「お風呂なんだから當然でしょ?」

「當然って……!!」

「千夏ちゃんも変わってるわよねー。男子とお風呂にるくらいでそんなに慌てなくてもいいじゃない」

「変わってるのは春香さんの方です!! お、お付き合いもしていない男が、一緒にお風呂なんて……!!」

正しいのは明らかに千夏の方だが、男としては春香の方を応援せざるを得ない。

「二人とも、どうしたの?」

この騒ぎを聞きつけたらしく、今度は真冬の聲がした。なんかさっきから落ち著いて湯船に浸かれないんだけど。

「聞いてください真冬さん、春香さんが秋人さんとお風呂にろうとしてるんです!! 真冬さんもおかしいと思いますよね!?」

「…………」

一瞬、沈黙が流れる。

「真冬さん? え? もしかして真冬さんも、秋人さんとお風呂にったことが……?」

「……ごめん。用事を思い出した」

逃げたな真冬。

「そんな、真冬さんまで……!? あれ、もしかしておかしいのは私の方……?」

安心しろ千夏。君は何もおかしくない。

「ようやく気付いたみたいね千夏ちゃん。とっくに私も真冬も、秋人とはを見せ合えるほどの関係を築き上げてるのよ!」

「ううっ……!! わ、私だって、秋人さんにを見られたんですから!!」

そこ張り合うとこ!?

「その程度じゃ、まだまだね。お互いに全てをさらけ出してこそ、真の仲間と呼べるようになるのよ!」

「……分かりました。私も一緒にります!!」

「よく言った千夏ちゃん!」

「ストオオオオオオオオオオオオオオオップ!! 冷靜になれ千夏!!」

堪らず俺は場に向かってんだ。千夏が仲間になったことで、ますますアジトが賑やかになりそうだなと俺は思った。

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