《【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】》支配人再び

秋人と春香が浴を終え、真冬が一人で湯船に浸かっていた時のこと。コンコンと浴室のドアを叩く音がした。

「真冬さん、私も一緒にっていいですか?」

「……ん」

「失禮します。わあ、凄く広いですね!」

千夏が真冬の隣りに座る。つい千夏のかなに目がいく真冬。

「はぁ。春香といい、千夏といい……」

「どうしました?」

「……何でもない」

小さく舌打ちをする真冬であった。

「さっきはビックリしました。秋人さんと春香さん、結局一緒にお風呂にっちゃいましたし……。毎日なんですか?」

「ん。私も最初の頃は止めてたけど、何度言っても聞かないから諦めた」

「あはは……。でも、なんだかし羨ましいです」

「えっ、どこが?」

「だって春香さん、を見せられるくらい秋人さんに心を許してるってことですよね。そういう関係、なんかいいなあって……」

「春香の場合はちょっと違う気がする。春香は実年齢が六歳だから、単に恥心が芽生えてないだけだと思う」

Advertisement

「えっ!? 春香さんって六歳なんですか?」

初めて知った事実に、千夏は驚きの聲を上げる。

「……秋人から聞いてなかった?」

「仮転生の際に16歳のに補正されるというのは聞きましたが、まさか春香さんが六歳だとは……。あ、だから晩ご飯の時、春香さんにお子様と言われて怒ったんですね」

「……そういうこと。ちなみに知っての通り私は16歳の時に死んだから、プラスマイナスゼロ」

「真冬さん、二年前と全く変わってませんしね。當時は同級生でしたけど、今は私が二歳年上ってことになりますね」

「……ん」

「なんだか、不思議な覚です。またこうして真冬さんと話せる日が來るとは思っていなかったので」

「まあ、私達はそんなに仲が良かったわけじゃないけど」

「あはは……それ言います?」

そして短い沈黙の後、千夏が真剣な表で口を開いた。

「真冬さんって、秋人さんのこと好きなんですか?」

「ブーッ!?」

普段は冷靜沈著な真冬も、これには噴き出すしかなかった。

「ゲホッ、ゴホッ。な、なんで突然、そんなこと……!?」

の勘というか、そんな雰囲気がしたので」

「別に好きってわけじゃ……!! いや好きか嫌いかでいったら、まあ、嫌いではないけど……!!」

明らかに揺した様子の真冬を見て、千夏は確信を得た。

「私、今まで何をやるにも自信が持てなくて、ずっと自分の気持ちを押し殺して生きてきました。だけど秋人さんと出會って、思ったんです。この気持ちを押し殺したくない。もっと自分に自信を持とうって。だから……」

千夏は立ち上がり、真冬の方を真っ直ぐ見る。

「真冬さんには、負けません!!」

力強く宣言する千夏。一方の真冬にも、無自覚ながら千夏への対抗心のようなものが生まれつつあった。

「……千夏、丸見え」

「……ごめんなさい」

恥ずかしそうに再び湯船に浸かる千夏であった。

ふと目を開けると、俺は〝ある空間〟の中にいた。この場所には見覚えがある。明るいのか暗いのか、暑いの寒いのか分からない、この奇妙な覚。そう、ここは俺が仮転生する前に四年もの虛無の時間を過ごしていた、この世とあの世の狹間だ。

何故俺は、こんな所に? 確か千夏が俺達のアジトに住むことが決まって、その日の夜にいつも通り自分の部屋で眠りについたはず。だが今、ここにいるということは……。

まさか俺、転生杯に落してこの空間に戻された!? 何者かに寢首を掻かれて死んだ、とか……!? 冗談じゃないぞ、俺にはまだやり殘したことが――

「違いますよ」

聞き覚えのある聲と共に、目の前の空間が揺らめく。その中から仮面を付けたの子が現れた。

「あんたは……!!」

「お久し振りです。月坂秋人さん」

そう。俺達參加者にスキルを與え、仮転生させた張本人――転生杯の支配人だ。

「貴方が眠っている間に、貴方の意識だけをこの空間に呼び寄せました。貴方にとっては夢を見ているような覚だと思います。ですから落したわけではありませんので、どうぞご安心を」

なんだよ、驚かせやがって。しかし相変わらずやることがデタラメだ。

「どうしてそんな真似を?」

「ちょっと貴方とお喋りがしたくて」

「……は?」

そんな理由で呼び出したのかよ。まったくはた迷な話だ。

「お喋りしたいのはいいが、なんで俺なんだよ」

「貴方には個人的に注目してるんですよ。長きに渡り開催されてきた転生杯の中で、貴方は唯一無二の事例ですからね」

「……どういう意味だ?」

「さて、どういう意味でしょう」

じれったいな。どうせまともに答える気もなさそうだし、聞き流しておこう。

「それはさておき。貴方が仮転生して半月ほど経ちましたが、どうですか? 転生杯に參加してみた想は」

「想像以上に過酷で、毎日生きた心地がしないな。おかげで二度も死にかけたよ」

「正直ですね。やめたいなら今すぐやめさせることもできますが、どうします?」

「やめる=死、だろ? 冗談じゃない。俺を陥れた真犯人に復讐し、転生権を手にするまで、絶対に死ぬわけにはいかない」

「でしょうね。貴方ならそう答えると思ってました」

だいたい勝手に俺を參加者に選んでおいて、やめたいならやめていいとかどの口が言うんだか。しかしまあ、黒田に復讐することができたのはこの子のおかげでもあるし、一応謝はしている。

うーん、4月中に20000ptはさすがに厳しかったみたいですね……。

    人が読んでいる<【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください