《【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】》春香の覚悟
「ええ。一何の目的があって乙木先生を殺したのかは分からない。だけど一つだけ確かなのは、そいつが転生杯の參加者だということ」
「何……!? どうしてそれが――」
「どうしてそれが分かったか、でしょ? アタシが直接、その現場を目撃したからよ」
語気を強めながら、春香は言葉を続ける。
「あの時のことはハッキリ覚えてる。皆が寢靜まった夜、アタシがトイレに行こうと一人で廊下を歩いてたら、ある部屋から凄く冷たい空気が流れてきたの。なんだろと思って覗いてみたら――部屋中が〝氷〟で埋め盡くされていた」
「氷……?」
「ええ。その中心には一人の男が立っていて、乙木先生はその男に鋭利な氷で刺し殺されていた。そんなことができるのは、転生杯の參加者をおいて他にいないでしょ?」
「……その男の顔は見た?」
真冬が尋ねると、春香は力なく首を橫に振った。
「男は仮面を付けてたから、殘念だけど顔は見てない。右腕の痣も袖に隠れて見えなかった。秋人が追ってる真犯人みたいに、ご丁寧に痣の數字でも殘してくれてたら手掛かりになったんだけどね」
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まあ普通はわざわざ自分から手掛かりを殘すような真似はしないだろう。分かっているのは、そいつが氷系のスキルの所持者ということくらいか。
「そしてその男は姿を消す直前、アタシに近づいてこう言ったの。『いつか真実が分かる時が來る。その時どうするかは、お前次第だ』ってね」
「……どういう意味だ?」
「そんなのアタシが聞きたいわよ。だけどその男が乙木先生を殺したのは紛れもない事実。アタシはそいつを絶対に許さない……!!」
怒りに震える春香。その男への憎しみが痛いほど伝わってくる。
「ここからは余談になるけど、乙木先生が亡くなって間もなく施設は閉鎖。アタシは親元に戻されたの。だけど子育てが嫌で施設に押し付けるような人だったから、育児放棄されて最期は衰弱死。ほんと酷い母親だったわ」
壯絶な最期だが、春香は何とも思ってないようにサラッと話した。
「母親のことは恨んでいないのか?」
「んー、全く恨んでないってわけじゃないけど、復讐したいってほどじゃないわね。何だかんだ言って、アタシを生んでくれた人だし。それに死ぬ前のアタシはとっくに生きる気力を失ってたから、完全に母親のせいとも言い切れないのよ」
そう言って、春香は拳を強く握りしめる。
「だけど乙木先生を殺して、アタシから幸せな日々を奪ったあいつだけは許さない。アタシが復讐すべき人間は、その男ただ一人よ」
春香も俺と同じく、転生杯の參加者の中に復讐の相手がいる。俺の時とはだいぶ狀況が違うので、同一人という線はないだろう。
「そんなにその男が憎いのなら尚更、一刻も早く復讐したいんじゃないか? 後回しとか言ってる場合じゃないだろ」
「そう言いたくなるのも分かるわ。でもなんというか、アタシが復讐を遂げた時、何か大切なものを失うような……そんな予がするの」
「大切なもの?」
「ええ。アタシがアタシじゃなくなるような、とても大切なもの……。そうなったらもう、きっと元には戻れない。だから今のに、やりたいことをやっておこうと思って」
その発言の意味はよく分からなかったが、今は復讐が最優先ではないらしい。俺としても即刻復讐を強要するつもりはないし、別に構わないのだが。春香も言っていたことだが、復讐の相手が転生杯の參加者なら、勝ち続けていればいずれ相見えることになるだろう。
「春香、その男の特徴を教えて。アタシの方でも調べてみるから」
「ありがと真冬。でも大した特徴はなかったのよね。年齢は十代後半から二十代前半。黒の短髪で、長170前後、型は痩せ型。こんなところかしら」
「……なんか俺のことを言われてるみたいだな」
「確かに秋人と特徴が一致してる。実は秋人が犯人だったりして」
「んなわけあるか! そもそも四年前なら俺はこの世に存在しないっての!」
タチの悪い冗談だが、おかげで暗くなっていた空気がしだけ和らいだ。
「これでアタシの話は終わり。はあ、なんだか変に疲れちゃった。こんなことなら、やっぱり真冬のスキルに頼ればよかったかも」
「……疲れてるところ申し訳ないけど、最後に一つ、春香に聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
「春香は自分の復讐を、どのような形で果たすつもりなんだ? その男を殺すのか?」
俺の問いに、苦笑いを浮かべる春香。
「何よそれ。仕返しのつもり?」
「ま、そんなところだ」
春香は以前、これと全く同じ問いで俺と真冬の覚悟を試した。ならば春香の覚悟も確かめなければ不公平というものだろう。
「それでアタシが迷いを見せるような反応を期待していたのなら、殘念ね。アタシの覚悟は最初から決まっているわ」
春香は冷酷な表を浮かべ、こう言った。
「殺すわ、迷いなく。そして自分がしたことを必ず後悔させる。その為にアタシは、この転生杯に參加したのだから」
思わず俺は震いをした。正直、春香の覚悟を甘く見ていた。もしかしたら俺よりも強い復讐心を抱いているのかもしれない。
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