《【書籍化&】冤罪で死刑にされた男は【略奪】のスキルを得て蘇り復讐を謳歌する【コミカライズ決定】》ごめんなさい

「俺を騙したのか……ふざけやがって……!!」

石神は校舎の屋上に目を向ける。二日前に雪風と遭遇したのは屋上だった。なら屋上に行けば雪風が姿を現すかもしれない。そう考えた石神は、校舎に戻って屋上までの階段を上る。

「雪風ぇ!!」

屋上のドアを蹴り飛ばす石神。やはりそこに雪風の姿はなかった。だが――

「なっ……!?」

衝撃の景に、石神は大きく目を見開いた。

「……千夏。俺はもう大丈夫だから、千夏も休んでいいんだぞ? 昨日からずっと俺の傍にいるんだろ?」

俺が目覚めた後も、千夏はベットの傍でジッと俺のことを見守っていた。なんだか院患者にでもなった気分だ。

「私なら平気です。保健室の先生は育館の臨時保健室の方にいますし、秋人さんが回復するまで、ここに居させてください。あっ、もし迷でしたらすぐに離れますけど」

「いや全然迷じゃないっていうかむしろ嬉しいんだけど、なんか悪いなと思って」

「私が好きでやってることなので、気にしないでください。何かしてほしいことがあったら遠慮なく私に言ってくださいね」

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「……ありがとな千夏」

贅沢を言うならリンゴでも剝いてもらって「あーん」してくれたりすると最高なのだが、今はリンゴ一個も手にらない狀況だ。

「そういえば、昨日起きたことは真冬さんにも報告しておきました。真冬さん、凄く心配してましたよ」

「……そうか」

思えばここ數日、真冬と連絡を取ってないな。久々に真冬の聲を聞きたいし、連絡してみるか。俺は枕元に置いてあった攜帯を手に取った。

「うおっ!?」

攜帯の畫面を見た瞬間、俺は聲を上げた。真冬からの著信履歴が下の方までズラリと並んでいたからだ。どうやら相當心配させてしまったようだ。そしてちょうど真冬から電話が掛かってきた。

『秋人!! 大怪我したんでしょ!? 大丈夫!?』

電話に出るや否や真冬の大聲が響き、つい攜帯を耳から離してしまう。

「ああ。春香に治してもらったから、もう何ともない。心配かけて悪かった」

『そう。よかった……』

真冬の安堵が伝わってくる。しかし真冬がここまで取りすなんて珍しい。どんな顔でんだのか見てみたいものだ。

『そっちの現在の狀況は千夏達からだいたい聞いてる。まだ雪風の居場所は分かってないんでしょ?』

「……ああ」

俺は布団を強く握りしめる。本當に不甲斐ないばかりだ。

『あれから私も々と考えてみたんだけど……。もしかしたら私達は、大きな見落としをしているのかもしれない』

「見落とし……?」

『ん。あくまで私の仮説だけど――』

そこで真冬の聲が途切れた。あれ、どうしたんだ突然……。

「げっ!」

攜帯の畫面が真っ暗になっていた。電源もらない。くそ、ここにきてバッテリー切れかよ。この七日間全く充電できなかったから仕方ないが……。

「秋人さん、どうしました?」

「すまん千夏、攜帯を貸してくれないか? たった今俺の攜帯がお亡くなりになった」

「すみません、私の攜帯もついさっき充電が切れてしまって……」

まじか。真冬が何を伝えようとしてたのか気になってしょうがない。もしかしたら雪風の居場所を摑む大きなヒントになったかもしれないというのに。あと真冬の連絡先を知ってるのは春香だけか。春香の攜帯は生きてるといいが……。

「そういや春香はどこ行った?」

「秋人さんの意識が戻ったので、他の生徒さん達を呼んでくると言ってました」

「……は? なんでそんなこと――」

その時、廊下の方からドタバタと足音が聞こえてきたかと思えば、大勢の生徒が保健室にってきた。

「月坂が目覚めたんだって!?」

「あっ、いたぞ!!」

「月坂ぁ……!!」

ベッドに橫たわる俺のもとに、生徒達が一斉に押し寄せてくる。まさかこいつら、まだ諦めてなかったのか!? もう分かっただろ、俺が瀕死になったところで氷の牢獄からは出られないって! ここじゃ逃げ場もない――

「「「「「ごめんなさい!!」」」」」

全員が深々と頭を下げた。彼らの思いがけない行に、俺はポカンと口を開ける。

「俺達、月坂を瀕死にすればここから出られるって噂を聞いて……」

「それを鵜呑みにして、月坂に酷いことをしちまった……」

「今思うと私達、どうかしてた。本當にごめんなさい」

再三頭を下げる生徒達。ここまで真っ直ぐ謝られると、逆にこっちが申し訳ない気持ちになってしまう。こんな時なんて言えばいいのやら。

「と、とりあえず顔を上げて……」

「そうそう。悪いことをしたら、ちゃんとごめんなさいしないとね」

生徒達の間から春香が出てきた。春香の奴、わざわざ謝罪させる為に生徒達を俺のもとに連れてきたのか。春香らしい行だな。

「まっ、みんな反省してるみたいだし、秋人もあまり怒らないであげて」

「あ、ああ……」

そもそも怒ってないんだけどな。こんな狀況で誰もが神的にかなり追い詰められていただろうし、異常な行に出ても責められはしない。

「つーかこの噂って、誰が最初に広めたんだ……?」

「私、石神から聞いた……」

「あっ、俺も。まさかあいつの仕業か……?」

生徒達がザワつく。どうやら皆も石神が犯人だと気付き始めたらしい。

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