《愚者のフライングダンジョン》7-3 ニート、VSラスボス戦

パチパチパチ、と焚き火が燃える音がする。

ラスボスエリアの中央にキャンプ地ができていた。

焚き火の近くには糸とラスボスの死骸でDIYされた家や食が並ぶ。

ニートは鎌と糸で作られたハンモックの上でラスボスのを食べていた。ラスボスのは有害質で構されるため、長期間放置しても腐らずに食べられる。

エリアの隅には固くて食えない廃棄部分のゴミの山ができている。ラスボスの可食部はついに魔石だけになった。

細かいことをいえばすべて捨てるべき猛毒なのだが、一ヶ月近い期間をかけて食べ切った。

そのおかげかニートの長は3メートルを超え、格は巨大化したボディビルダーのようだ。しかしそれは全て見せかけの脂肪である。

ニートはキャンプ期間中、必要以上のエネルギーを蓄えすぎていた。

最初は腹に脂肪が溜まっていたのだが、新王との共同生活中に會得した脂肪の分散を行うことでスタイルをマッチョに変えた。

ラスボスの可食部はそれはそれはとんでもなく多かった。長い腳で立っていたとはいえ、4階建て闘技場と同じくらいの高さを誇っていたのだ。重量はおよそ5萬トン。

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ほぼ甲殻で可食部はなかったものの、量にして500トンは食べている。

簡単に例えると人が一生で食べる量が約50トン。ニートは1ヶ月でその10倍の量を食べた。

それだけの量を食って長3メートルで済んでいるのはの魔力袋のおかげだ。

魔力袋が余剰エネルギーを圧して貯蔵することでニートは永続的に食べ続けられた。

魔力袋のエネルギーはに磁場を発生させるほど圧されており、重力を発生させる核ができている。

仮にニートが重計に乗ると表示は100キロとなるが、核を合わせた実際の數値は50トンを超えている。

ニートが今の姿を気にっているから3メートル100キロの型を保てているだけで、気分次第では魔力袋が元の型に戻してしまうだろう。

現在ニートは魔力袋の使い道を知らないため一度元の型に戻ったら、再びマッチョになるのに大量の食事が必要になる。

ニートはついに最後のデザート、ラスボスの魔石にかぶりついた。

「ひゃー! うっめーなこれ! 俺が一番好きなあれだ! しょっぱいライチの味だ! うっめー! でっけーライチだ!」

ラスボスの魔石はこれまでで一番の特大サイズ。直徑2メートルのボールだ。

を猛毒でべちゃべちゃにしながらに取り込んでいく。これまでに融合されてきた魔石たちが喜んでいるのか、早速融合が始まった。

食事の最中にも皮し、中斷して一度皮をいだが、皮の予兆が立て続けに始まった。それがめんどくさくじたのか皮を後回しにして食事を再開した。

約2.5トンある魔石をあっという間に食べ終わり、十二単のようになった皮をぎ捨てた。

中から出てきたのは元の長165センチ程度のニート。しかし型は広い肩幅で逆三角形のゴリマッチョだ。

よっぽど高長マッチョな自分に酔っていたのか、低長を補うコンプレックスの筋が出來上がっていた。ダークマター製の不滅の筋だ。

外見は筋が盛り上がっただけで以前と同じだ。

ただし中が完全に別。全ダークマターでこの宇宙の素材を用いた科學では破壊不能な生へと変貌していた。もう解剖は諦めたほうがいい、放線検査くらいにとどめるしかない。

人間卒業おめでとう。もし外に出られたらニートのために新しい法律が作られることだろう。

さあ、ついにラスボスエリアの先へ行く時が來た。

ニートは次のエリアにワープ機能があると考えて、悔いのないようにラスボスを食べ切ったのだ。キャンプを楽しみながらの食事だったからとても長かった。

「よーし! やり殘した事はないね! 行くぞ!」

次のエリアへのり口は頑丈な糸で塞がれている。り口の縁に溶解を噴すると糸が溶けた。

糸は外側だけでなく奧の方までびっしりと詰まっており、糸の塊を切り出して闘技場に捨てる運搬作業を往復する羽目になった。

簡単には先へ行かせてくれないようだ。

まっすぐな道なら破壊線で時短できたかもしれないが、上下左右に曲がりくねった坂道がそれを許さなかった。

飽きのニートには反復作業が苦痛だった。ストレスで死にそうだったが、帰りたい気持ちがそれを上回ってニートをかした。

何度も切り出しと運搬の作業を繰り返し、ついに糸の通路を抜けた。

「よっしゃあ! 抜けたぞお!」

曲がりくねった坂道は先に続いている。糸の通路はラスボスの仕業だったようだ。

「ラスボスめー! 真面目な格しやがって! 頑張りすぎなんじゃ!」

ニートの力は有り余っている。休憩の必要もじず先へ進んだ。

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