《愚者のフライングダンジョン》8-3 ニート、裏面挑戦!
本殿ホタルの範囲破壊線の照は6時間が経過しても全く衰えを見せない。
これがもし地球表面で行われていたら環境が変わる。それほど強力なの嵐を延々と続けている。臺風を消滅させるほどではないが、臺風を起こしたり程範囲を全てガラス化させるくらいのことはやっている。
そんなの嵐の下で坐禪を組んだままのニートがいた。
放線をけすぎてもはやこの世で最も清潔な地球人だ。にはもう細菌ひとつ存在しない。
人は皆産まれたときから微生と共存する。例えまわりに同種の友がいなくても共同がそばにいるのだ。
だがニートは完全に孤獨だ。おそらく世界一清潔で世界一孤獨な地球人は彼が最初で最後だろう。
イメージされるのは魔力袋一點に集中した融合だ。6時間もかけた最長の融合。それがなにを意味するのか。
ニートは一応地球人。地球人は戦いの中で長する。
【戦闘再開】
ニートのターン。ジャンプでは屆かない距離にいる本殿ホタルを倒すには遠距離攻撃しか方法がない。糸を出してもすぐに溶ける。宮殿は傷つけられない質で出來ているため、手を壁に刺して登っていけない。翼で飛んでいけたらいいが降り注ぐがそれをさせない。
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それなのにニートの遠距離攻撃は本殿ホタルに劣る。一応試しに破壊線を撃ってみたものの、すぐに打ち消されてしまった。
諦めかけたその時、ひらめいたのが自の耐火。坐禪を組んだニートは魔力袋の存在に気づき、超巨大ホタルの魔石の融合先を一點に集中した。
そして今、融合を終えたニートが立ち上がる。
本殿ホタルの破壊線をけすぎてニートのは紫に輝く。その輝きを上書きするようにニートの発が濃い紫の輝きを放ち始めた。
濃い紫のニートの全はだんだんと深く暗く黒くなっていく。
その変化に伴って、足下から黃金の床が見えてきた。ニートが黒くなるにつれて黃金の宮殿から紫のが失われていく。
本殿ホタルのターン。ニートの生存をセンサーで知する本殿ホタル。ニートが滅ぶまで破壊線の出力を最大で照し続ける。
破壊線はセンサーと同様に知の役割もある。最大で照すれば宮殿の狀況を把握するのは容易い。
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それなのに徐々にセンサーの知範囲が狹まり始めた。
違和はあれども対策はできず、これ以上の必殺技はない。本殿ホタルの攻撃方法は巨を活かしただけの落下攻撃か範囲破壊線のみ。
ここまで來た侵者に対して落下攻撃は嫌がらせにしかならない最終手段。
したがって破壊線が本殿ホタルの基本技であり必殺技。それで充分だった。
ニートのターン。ニートのはだんだんと深い紫から黒くなる。そして景は暗くなる。
黒紫のオーラを纏ったニートのもとに破壊線のが吸い込まれていく。
黒紫狀態のニートはを吸い込むことで多幸を得ていた。じっくりと・熱エネルギーを取り込み続けること一ヶ月──。
アホか。長すぎる。呑気に日浴をしている場合か。世間がどうなっているかも知らないで。
ただ気持ちは分からなくもない。本殿ホタルが出すエネルギーは地上ではじられない。晴天時に黒紫狀態で日浴をしても、水素弾を至近距離で発させても、今ほどの放線は浴びられず多幸は得られない。
最終的には本殿ホタルとニートの間が一本の破壊線で繋がった。本殿ホタルから直接をけ取っている。
勝負あり。本殿ホタルにニートを崩す手段はない。しかし黒紫のオーラを纏うニートは本殿ホタルの所まで飛んでいける。この判定を下したのが一ヶ月前のことだった。判定を下してから一ヶ月もを食い続けている。
この勝利確定の延長戦はいつまで続くのだろうか。遅延に次ぐ遅延で本殿ホタルのスタミナ切れを狙っているのだろうか。
もしもスタミナ切れを狙うつもりならそれは非現実的だ。いや、エネルギー保存の法則からしてみればそれもひとつの正解だが。
ただし現在この世はファンタジー。神の手が加わった本殿ホタルはエネルギー切れを起こさない。本殿ホタルも魔力袋に似た魔力自回復を持っている。その完度は100點満點。とはいえ、この私の使者と考えることが同じとは呆れた新人だ。
飽きのニートがここまで続けてでも味わいたい多幸とはどういうものなのか。
それを端的に例えれば死の覚だ。一生に一度、死にゆく最後の瞬間に與えられる快がニートをここまで縛り付けていた。
死の直前は恐怖に溢れているが、死の瞬間は快なのだ。臨死験では味わえない。本當の死にしかない剎那の快。
ニートはその快に酔いしれていた。誰もが一生に一度で満足する快を満足できずに味わい続けている。
だがし味わいすぎた。もうちょっとしい、もうちょっとしいと求めすぎたせいで本殿ホタルのエネルギーを全て吸い盡くしてしまった。本殿ホタルを完全無敵にしないあたり、新人は神として及第點というところだろう。
天井で踏ん張っていた本殿ホタルが力を無くして落ちてくる。
「あへ? はえ? ほあ……ほおい」
気持ち良くなりすぎて言葉を忘れたのかな。
「ほっしゃあああああああ!」
落ちてきた本殿ホタルを尾で分斷した。ガラスが割れる音と共に本殿ホタルは床に散らばり、魔石を殘して灰となった。
「みちゅ〜……」
黒紫の火ダルマと化したニートが魔石にれると一瞬にして魔石が消えた。
「みちゅ団子があ……味しい」
どうやらあの一瞬で魔石を吸収してしまったようだ。しっかり味わっている。
この〖黒紫のオーラ〗はもはや神技だな。
「すぅ……すううううううう!」
掃除機のように本殿に散らばった本殿ホタルの破片をぐんぐん吸い取る。
その勢いで本殿を出て回廊をぐるりと一周歩き回り、ほかの超巨大ホタルの死骸も掃除して帰ってきた。
真っ暗闇となった宮殿の中で黒紫のがさらなる闇をもたらしている。これではしい黃金が臺無しだ。
ニートは〖黒紫のオーラ〗を解除して、元のオークルのに戻った。そして全を発させて観を照らす照明となる。
結局、ニートは魔力を一切使わずに本殿ホタルを倒してしまった。
エネルギーを吸収する技が魔力を使わないとは驚きだ。魔力を使って魔力を吸収する魔法はコチラの世界にもあるが、吸収した質やエネルギーを魔力に変換して魔力の上限を強制的に引き上げる魔法は存在しない。
これはもうレベルアップの特技だ。こんな特技は開発されてはいけない。やはりニートは特殊で面白い。
まるでバグの塊だ。いや、デバッガーか。
【戦闘終了】
る彼は一直線に本殿の奧へ進む。來た時にはなかった神鏡が臺座に置かれていた。
「なんだこりゃ。お寶かと思ったら。なんか書いてるな」
書いてある言葉をニートは読み上げた。この私には見えないので助かる。
『親なる天道兄へ。
あなたとふたりで初めて潛った思い出の迷宮をここに再現しました。
あなたは蟲嫌いのウチを先頭にして反応を楽しんでいましたね。あの時の気持ちは何兆年経っても忘れません。
けれども迷宮の核を壊した喜びをあなたと分かち合ったとき、初めてあなたの優しさに気づきました。
あの日からずっとあせないあなたへの気持ちをじてもらいたくて、思い出の迷宮に一途なと複雑な心を添えて贈ります。あなたが育つ予定のこの場所に。
たとえあなたに屆かなくても、吾が君のせいでずっと伝えられなかった本當の気持ちをあなたの故郷に置いておきます。
あなたの園田蓮華より。
最大のを込めて。
追
怪たちの頭にウチ特製の魔石ができるようにしました。
魔石はあなたをもっとしくしてくれるでしょう。』
「ラブレターかい。なんかドキドキするわ。うわー、ごめんなあ。なんかみちゃって」
『いいよいいよ。そんなことより裏面攻略おめでとう! 助かったぞ! ケーちゃんがいてくれて本當に助かった!』
「誰だ!」
【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~
舊タイトル:「え? 僕の部下がなにかやっちゃいました?」ハズレギフトだと実家を追放されたので、自由に辺境開拓していたら……伝説の村が出來ていた~父上、あなたが尻尾を巻いて逃げ帰った“剣聖”はただの村人ですよ? 【簡単なあらすじ】『ハズレギフト持ちと追放された少年が、”これは修行なんだ!”と勘違いして、最強ギフトで父の妨害を返り討ちにしながら領地を発展させていくお話』 【丁寧なあらすじ】 「メルキス、お前のようなハズレギフト持ちは我が一族に不要だ!」 15歳になると誰もが”ギフト”を授かる世界。 ロードベルグ伯爵家の長男であるメルキスは、神童と呼ばれていた。 しかし、メルキスが授かったのは【根源魔法】という誰も聞いたことのないギフト。 「よくもハズレギフトを授かりよって! お前は追放だ! 辺境の村の領地をくれてやるから、そこに引きこもっておれ」 こうしてメルキスは辺境の村へと追放された。 そして、そこで國の第4王女が強力なモンスターに襲われている場面に遭遇。 覚悟を決めてモンスターに立ち向かったとき、メルキスは【根源魔法】の真の力に覚醒する。【根源魔法】は、見たことのある魔法を、威力を爆発的に上げつつコピーすることができる最強のギフトだった。 【根源魔法】の力で、メルキスはモンスターを跡形もなく消し飛ばす。 「偉大な父上が、僕の【根源魔法】の力を見抜けなかったのはおかしい……そうか、父上は僕を1人前にするために僕を追放したんだ。これは試練なんだ!」 こうしてメルキスの勘違い領地経営が始まった。 一方、ロードベルグ伯爵家では「伯爵家が王家に気に入られていたのは、第四王女がメルキスに惚れていたから」という衝撃の事実が明らかになる。 「メルキスを連れ戻せなければ取りつぶす」と宣告された伯爵家は、メルキスの村を潰してメルキスを連れ戻そうと、様々な魔法を扱う刺客や超強力なモンスターを送り込む。 だが、「これも父上からの試練なんだな」と勘違いしたメルキスは片っ端から刺客を返り討ちにし、魔法をコピー。そして、その力で村をさらに発展させていくのだった。 こうしてロードベルグ伯爵家は破滅の道を、メルキスは栄光の道を歩んでいく……。 ※この作品は他サイト様でも掲載しております
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