《家から逃げ出したい私が、うっかり憧れの大魔法使い様を買ってしまったら》出會いと呼ぶにはお末な 1
「お前さあ、バッカじゃねえの?」
「…………?」
突然、そんなとんでもない言葉が聞こえてきて、戸ったわたしはつい辺りを見回す。けれどこの部屋に居るのはやはり、わたしと目の前の年の二人だけ。
呆然とするわたしを鼻で笑うと、彼は続けた。
「俺が今すぐお前を殺してここにある金目のもの盜んで、このまま逃げるとか考えないわけ? あんな大金払って」
「ころ……?」
「さっすが金持ち貴族のお嬢様だな。頭の中はお花畑かよ」
目の前の年はどかりとソファに背を預けると、長の割に長い足を組み、肘をついた。
何故彼は、こんなにも偉そうなのだろうか。あまりのことに驚きすぎているわたしは、言葉に詰まってしまう。
……わたしは今、出會って數時間の、それも大金を叩いて買った年によって罵られていた。訳がわからない。
一、どうしてこんなことになってしまったのか。
そもそもの原因は二日前に遡る。
◇◇◇
わたし、ジゼルは12歳の時にハートフィールド伯爵家に引き取られた。
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平民であり踴り子だった母は絶世のと呼ばれていて、そんな母に一目惚れしたハートフィールド伯爵が必死に口説き、その結果出來たのがわたしだった。
けれどわたしが産まれてからと言うもの、伯爵は姿を現すことがなくなり、母は一人で必死にわたしを育ててくれた。本當に、薄で最低な男だと思う。
そんな母も、流行病であっという間に死んでしまい、一人殘されたわたしは、貧民街で暮らし始めたけれど。
その數日後、伯爵は突然わたしの目の前に現れ、養子として引き取ると言い出したのだ。
「気持ち悪い、平民の売のが流れているなんて」
義母からは毎日のようにそんな言葉を浴びせられ、妹には冷たい視線を向けられる日々。些細な嫌がらせは後を絶たない。びっくりするほど、わたしは歓迎されていなかった。
かと言って、父もわたしと進んで會話をしようともしなければ、助け舟を出してくれることもない。
なぜ、わたしはこの家に引き取られたのだろう。そう思いながら二年が経った、二日前の晩のことだった。
「ああ、本當にあの子の顔を見るだけで吐き気がするわ」
「仕方ないだろう、サマンサがロドニー様に嫁ぐよりはマシだ。あの子が居なくなれば困る」
「……確かにそうだけれど」
なかなか寢付けず、何か飲もうとキッチンへと向かう途中で、お父様の書斎から聞こえてきたのはそんな會話で。
そして、ようやく全てに納得がいった。
何故音信不通だった父が、今更になってわたしを突然引き取ったのか。何故あんなにもプライドが高くわたしを嫌いしている義母が、引き取ることを許したのか。
義母と妹は毎日のように嫌がらせをしながらも、どうして絶対にわたしを追い出そうとはしなかったのか。
──すべて、義妹の代わりにするためだったのだ。
ロドニー様には、數回會ったことがある。確かわたしよりも40は歳上の大金持ちの侯爵で、いつもじっとこっちを見ては「フヒヒィ」「可いネェ、順調においしそうに育っているネェ」などと言っていて、気持ちが悪いと思っていた。
どうやらわたしは、このままだとあの侯爵に嫁がされてしまうらしい。冷や汗が止まらない。
「あの子の18歳の誕生日まで、あとたった4年なんだ。我慢しなさい。とにかく、に傷は付けるなよ」
「はあ、わかったわ」
やがて足音がこちらへ近づいてくることに気が付いたわたしは、慌ててその場を離れると、キッチンには向かわずにそのまま自室へと戻りベッドに潛り込んだ。
「…………ど、どうしよう」
寶であるボロボロの「やさしい大魔法使い」という絵本をぎゅっと抱きしめながら、わたしは一人、必死に頭を回転させていた。
たった數日だけだったけれど、貧民街での生活は本當に本當に辛いもので。おいしい食事と溫かくらかいベッドがあるだけで、義母や妹からの多の嫌がらせや悪口なんて、いくらでも耐えられると思っていたけれど。
流石にあの侯爵だけは無理だ。死んだ方がマシだけれど、やっぱり死にたくもない。どうにかしなければ。
かと言って、わたしがここを出ていく場所などない。母方の親戚など知らなければ、まともに仕事をしたことだってない子供なのだ。雇ってくれる場所なんてないだろう。
──そして悩みに悩んだわたしは、決めたのだ。
あの変態侯爵に嫁がされる18歳の誕生日までに、必死に出來る限りの準備をして、この家から逃げ出すことを。
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