《ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~人ヴァイオリニストの橫顔、その翳が隠す衝撃の真実》再配送をご希の方は1を

一人で留守番する羽目になった周は、しばらくは勉強していたが、だんだん集中力が続かなくなってきた。

解らないところは和泉に頼もう。

そういえば、とダメ元でネットに接続してみる。名古屋シティフィルのコンサートチケットはしかし、既に完売となっていた。

ところで、父の友人は元気だろうか?

出演者一覧をチェックすると、いくらか知らない顔に変わっていた。

特にバイオリニストは去年までとはガラリとれ換わっている。

父の友人は確か、ピアノを擔當していたはずだ。彼が今年も出演するのを確認した後、周は深い溜め息をついた。

義姉さん達、何時に帰ってくるのかな……?

1人でいるのが意外に寂しいと気付いてしまうと、居ても立ってもいられなくなってしまった。

そうだ! と、隣の部屋を訪ねてみたが応答がない。

どうしようかな……周が攜帯電話をいじっていると、銀行ATMの名が目にとまった。

もしかして捕まるかな?

周はしドキドキしながら、駿河の攜帯番號を鳴らした。

わりと長い間呼び出し音が鳴り、つながらないかとあきらめかけたとき、

『駿河です』と、聲が聞こえた。

平坦で抑揚のない喋り方は電話を通すといっそう無機質に聞こえる。

このまま「再配送をご希の方は1を、訂正する方は3を……」とでも始まりそうだ。

『もしもし?』

「あの、俺だけど……」

無言。続けていいのか周も悩んだ。

ややあってようやく、

『……用件は?』イラっと來た。

「用がなきゃ電話しちゃいけないのかよ?!」

『……そういう法律はない。もしかして暇なのか?』

「ああそうだよ! 暇だから、今からそっちに行ってやる!! 文句あるか?!」

傍で床に寢そべっていたメイが驚いてを起こす。

『いいだろう』

あ、今日休みだったんだ?

『ただし、條件がある』

「……條件?」

『貓を一緒に連れて來い』

つーか、なんでいちいち命令口調なんだ?!

「待ってろよ? すぐに行くからな!!」

周は通話ボタンを切って、ゲージを取りに行った。

いつものことながらプリンは大人しくすんなりとカゴにってくれる。

なのにメイと來たら、カゴを見るとすなわち病院だと考えるらしく、必死に逃げ回る。

「もういいや、お前は留守番な」

周はプリンだけをカゴにれて玄関に出た。

駿河の自宅の場所は知っている。自転車にって周は彼の部屋を目指した。

「……よく來たな」

どうも歓迎されているというより、ビビらずによく出向いたな、という意味にしか聞こえないのはなぜだろう。

いつもスーツにネクタイの姿しか知らない周は、シャツにジーパンと言う格好の駿河を初めて見た。

「ほら。連れて來てやったぜ? 一匹だけどな」

周はプリンのったカゴを手渡す。

駿河が微笑んだような気がした。

中にれ、と言われるまま靴をぐ。

あれは夏休み中だったが、彼が怪我をして院した時、著替えや何かを取りにこの部屋へやって來たことがある。あの時は雑然とした部屋だったが、今日はすっきりしている。

プリンはカゴから出してもらうと、クンクンと辺りの匂いを嗅ぎ回っている。

「これ。義姉さんが焼いたケーキ。ありがたく食えよ?」

周は冷蔵庫にあったチーズケーキを持ってきた。

最近、時間ができた義姉はお菓子を作るのにはまっている。

「なぜ、僕なんだ?」

コンロにヤカンをかけて駿河は唐突に言った。

プリンは彼の足元に駆け寄った。

    人が読んでいる<ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~美人ヴァイオリニストの橫顔、その陰翳が隠す衝撃の真実>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください