《ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~人ヴァイオリニストの橫顔、その翳が隠す衝撃の真実》なんか、面倒くさいことが起きそう。

この頃、知らない番號から頻繁に電話がかかってくる。

聡介は基本的に登録していない番號には出ないようにしている。

しかしその番號は、朝から晩まで定期的に何度かかけてきている。

そのことと今朝、周から聞いた話がどうもひっかかっていた。

和泉を訪ねてくるに心當たりはない。

聡介は基本的に息子と否応なく毎日顔を合わせているし、行も把握している。

理解しづらい言が多いあの男も、意外に異関係にはいたって真面目だ。

その気になればの一人や二人、簡単に引っかけられるだろうに。

彼のファンを公言する婦警や事務員の達だってなくはない。

もしかして、そう言うの一人だろうか。

何しろここは個人報の集まった場所だ。同じ職場の警察の自宅住所を突き止めるのは簡単だろう。

就業時間開始まではまだし時間がある。和泉はどこに寄り道をしているのか、先に出たはずなのにまだ姿を見せない。

お茶どうぞ、と結が湯呑みを目の前に置いてくれた。

Advertisement

「……なぁ、うさこ」

「はい?」

は和泉と仲が良いのか悪いのか、いまいち把握しかねる。

「お前、彰彥をどう思う?」

「変な人です」即答。「ついでに言うと、腹黒くて基本うざったくて、気にらない相手への攻撃がハンパなくて、それから……」

「わかった、もういい……」

はしかし、まだ言い足りない様子だ。

「でも、和泉さんって外面だけは立派じゃないですか? だから、私の同期の警でも狙ってる人多いんですよね……だから時々、合コンのセッティングしてくれとか頼まれたりするんです」

「お、いいなそれ! 俺達も參加するから企畫してくれよ」と、友永が口を挾んだ。

「……俺達って、誰と誰ですか?」

「決まってんだろ。俺と日下部……」

「既婚者と子持ちは対象外ですよ、普通。だいたい友永さん、お父さんが若いと合コンしていたなんて、あの年の息子が知ったら嘆きますよ?」

友永は黙ってしまった。

「それで、その……的に何人ぐらいそういう警がいるんだ?」

「私の把握している限り、通課に一人と、生安課に二人、鑑識課にも一人います」

「その中に、長160センチ前後でセミロングはいるか?」

は不思議そうな顔をした。

「該當がありすぎて絞り込めません」

「そうか、すまない。忘れてくれ」

そこへ和泉がやってきた。

「おはようございます……」

何があったのかひどく不機嫌そうな顔をしている。

がお茶を持って行くと、一気に飲み干してどん、と湯呑みを機に叩きつけた。

部下達の視線が一斉に聡介に集まる。

なんか、面倒なことが起きそうな予がする。

「これから會議だから、後は頼む」

これは噓ではない。毎週火曜日の朝は定例會議がある。

こう言う時は放っておけばいいのだ。

誰かが何らかの被害に遭うかもしれないが、そこは後でフォローしておくことにしよう。

※※※※※※※※※※※※※※※※

朝早くに和泉は淺井梅子を訪ねた。年配者だから朝は早いだろう。

今日は手ぶらだが仕方ない。

ドアを控え目にノックして何度か聲をかけたが、応答がない。

あまり時間もないので、留守なわけはないだろうと思ったが、出直すか……そう思った時。

「わしはつぶあんよりこしあんが好きじゃ。あと、チョコと抹茶な」

引き戸の向こうから聲が聞こえた。

「あと、にひき堂よりはやみだ屋じゃ」

「……」

「何者か知らんが、もうちぃと準備してくることじゃ」

和泉はで毒づいた。

とてもではないが口にはできない、下品な罵りの単語で。

いっそ石を投げ込んでやろうかと、しゃがみ込んで大きめの石を拾う。

が、さすがにやめておいた。

仕方ないので職場に向かうことにする。

腹を立てながら和泉がフェリー乗り場に向かっていると、道の途中で昨日、奈々子と會った喫茶店にいた外國人と、日本人男の二人が話しているのを見かけた。

二人とも外國語を話しているため、容はわからないが、かなり雰囲気は険悪だった。

どちらかと言えば、日本人男が外國人男を問い詰めており、相手はそれをのらりくらりとかわしているようにも見えた。

仮にあれが傷害事件に発展するなり、殺人事件に発展したところで、所轄の廿日市南署が片付けるだろう。

和泉は見なかったことにして、フェリー乗り場へと急ぐ。

本土行きのフェリーが到著した。

まだ朝の早い時間、降りてくるのはほとんどが宮島で働く通勤客である。

その中に和泉は思いがけず、よく知った顔を見つけた。

「……咲さん?」

「和泉さん……!」

「どうしたんです?」

咲は困ったような顔をして、それから微笑んで見せた。

「たまには実家に帰って顔を見せないと」

それだけだろうか?

奈々子から聞いた話のこともあって、和泉は素直にそれを信じたりはできない。

「和泉さんこそ、どうしてこんなところに?」

「まぁ、僕もいろいろありまして」

互いに本當のことは言わないまま、それぞれ違う道を急いだ。

広島といえば『チチヤス』……!!

    人が読んでいる<ファザコン中年刑事とシスコン男子高校生の愉快な非日常:5~海をまたぐ結婚詐欺師!厳島神社が結ぶ、をんな達のえにし~美人ヴァイオリニストの橫顔、その陰翳が隠す衝撃の真実>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください