《やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中》21
外が騒がしいと、他人事のように彼は思っていた。
(どうでもいい。人生、終わった……皇帝陛下が無能だったばっかりに)
どうも皇帝陛下のつれてきた子どもの手引きで賊がりこみ、あろうことか軍港を占拠されてしまった。侯爵家の令嬢も人質になったらしい。これはもう、鋭と噂されるベイル侯爵の私軍が出てくる。
北方師団の大失態だ。
助けがくる、という希はあまりもてなかった。軍港の占拠に加え、侯爵家の令嬢が死にでもしたら、北方師団の責任になる。そうなれば死ぬのは下っ端の自分達だ。
北方師団は帝國軍だ。學もなく技能もない、ただ若さと力だけが自慢の自分ができる仕事のなかで、一番給料がよかった。家族に多く仕送りができたら、それでよかった。こんな不名譽な死に方をするのは、ただ運がなかっただけだろう。
いや、本當は不自然に思っているけれど――どうしてここにいるのは、平民からの志願組だけなのだろう。いつもお前らとは違うのだとお高くとまっていた貴族連中は、どこへいったのだろう。
でもそれも、知ることはないのだろう。そういうことは、ある。
もし生き殘っても、できるのは呪われた皇帝陛下めと罵倒するくらいだ。
そう思っていたから、聖堂の天井があいたとき、目を疑った。
ましてそこから例の偵だというが飛び降りてきたときには、聲も出なかった。
「おま、どこからっ――!?」
中を見回っていた敵のふたりのうちひとりが、壁にぶん投げられて気絶する。
それをぽかんと見ていたら、とつぜん後頭部をつかまれてを折り曲げられた。その上を、もうひとりの見回りの剣がはしる。助けられたのだ、と気づいたときには、その見回りも腹部に蹴りをれられて膝から崩れ落ちていた。
「助けにきました」
それはこんな狀況だからこそ、腹の底から救われる言葉だった。
ぶちっと音がして、紙のように縄が引きちぎられた。小さな手を差しべられ、ようやく自由になった上半を起こす。
まだ子どもだった。
けれど凜とした眼差しが、薄暗い聖堂の中で強く自分を貫く。
「今から四人、聖堂にってきます。そのうちひとりは、ベイル侯爵家のスフィア様です」
「た……助け出したのか?」
「はい」
「でも、君は……確か偵だと」
「ジル・サーヴェルと言います。皇帝陛下の命によりあなた方を助けにきました」
今まででいちばん、大きくざわめきが広がった。
「まさか、皇帝陛下が?」
「あの呪われた皇帝が、人を、しかも平民の俺達を助けるなんて、そんな馬鹿な……」
「いいですか。この騒ぎはベイル侯爵の自作自演による襲撃です。北方師団を貶め、皇帝陛下の地盤を突き崩すための罠です。スフィア様はそうとは知らず駒にされました。わたしは先ほど誰かが言ったように、偵疑をかけられています」
ですが、と決して大きくはないがよく通る聲で、彼は語気を強めた。
「このような卑劣な真似、斷じて許されることではない! いや、許してはならない!」
それはの聲ではない。
上に立ち、導く者の聲だった。
「ける者はスフィア様を聖堂に保護次第、バリケードを作れ! 負傷兵、貴君らの傷は名譽の負傷だ、恥じることはない! 全員、帝國のため、皇帝陛下の為に戦っていることを忘れるな! 軍港は我らの手で取り戻すぞ――総員、戦闘準備!」
背筋を正し、形ばかりで覚えた敬禮を、皆が返す。
だがそれは、初めて北方師団が敵に立ち向かうという姿勢を見せた瞬間だった。
【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われた少女の手を取り、天才魔術師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔術師に溺愛される)
***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
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