《やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中》11
「いってらっしゃい」
「いってきます」
ハディスから頬に軽い口づけとお弁當のった鞄をひとつけ取って、ジルは石垣の前で待っているジークのところへ駆け出す。
ひよこなのは頭だけになってきたソテーが、コケッと鳴いた。なかなか賢いこのひよこもどきは、見送りにきてくれたらしい。
「ソテーは陛下の畑を食い荒らさないように! カミラは陛下をお願いします」
「はいはい」
「ジーク、街道まで競爭です!」
「いいからさっさと走るぞ」
やる気のない生返事だが、山道を一直線に駆け下りるジルにジークはちゃんとついてくる。
勤務五日目、この山道にもだいぶ慣れてきた。小川は石伝いを飛んで渡り、城門へと続く街道にったところで速度を落とす。
「ジーク、わたしに遠慮せず追い抜いてもいいんですよ」
「そうはいかんだろ。俺はお前の騎士だ。にしても相変わらず元気だな、隊長は」
「だって今日のお晝ご飯は、デザートつきだって!」
街道をくるくる回りながら歩くジルに、ジークが胡な目になった。
「わざわざ危険を冒して竜騎士団の見習いになった理由を忘れてるんじゃないだろうな?」
「覚えてますよ、ちゃんと」
「ならいいが。いいか隊長、目立つなよ。いやもう遅いが、これ以上目立つなよ」
「そういうジークのほうが目立ってるでしょう。この間の新人の訓練試合、一位をとったんですから! わたしなんて準々決勝で負けてしまって、ふがいないです」
それで々落ちこんでいたら、ハディスが収穫した苺でジル専用のジャムを作ると約束してくれた。今から楽しみでしかたない。
「そのナリで十位以にるだけでもおかしいと思ってくれ……そもそもベイルブルグじゃ俺は一度だって勝てたことがないんだ。悔しがるところか?」
「いくら魔力がないからって、新人同士の訓練で負ければショックですよ」
「向上心があるのは結構だが、新人といっても竜騎士団にれただけあって傭兵経験者とかどこぞの騎士団にいたとか、手練れも多い。もちろんひよっこもいるにはいるが、それでも全員が隊長より年上、しかも全員男。隊長は最小年で、紅一點だ」
びっと鼻先に人差し指を突きつけられた。
「いいか。自分の立場を自覚しろ。団長はでも竜騎士団は男社會、しかも見習いだらけとなりゃガキも多い。そろそろ見習いのネジも緩んでくる頃だ。俺も極力注意するが、だってだけで馬鹿な悪戯をしかけてくるやつがいるかもしれん」
「馬鹿な悪戯って?」
「……それは……。カミラに聞いてくれ」
口にするのがはばかれたのだろう。そっと目をそらして逃げたジークに、ジルは笑う。
「大丈夫です、的確に急所を狙います」
「わかった、俺が悪かった。この話はやめだ。忠告のつもりだったが、皇帝に斬られそうな気がしてきた」
「陛下に? ジークはわたしを心配してくれただけでしょう。陛下が怒る理由がないです」
「それでもだ。男はそういうもんなんだって覚えとけ」
話はおしまいとばかりに頭を雑にでられた。ぐちゃぐちゃになってしまったので髪を手で整えながら、城門をふたりでくぐる。
賑わう朝市の景にも慣れてきた。見知った顔もちらほらある。
「ジルちゃん、今日も頑張りなよ。ほら、この間の禮だ。兄さんも」
果屋の店長が、ジルとジークに向けてリンゴを投げてくれた。街の見回りに出たとき、馬車に接事故を起こされもめていたところを助け、店の片づけを手伝ったのだ。そのときからこうして挨拶する程度の間柄になっている。
おう、とジークがさっそくリンゴをかじりながら応じる。
「帰りに買いよるからまけろよ、親父」
「そりゃ、どれだけ立派な竜騎士様になるかによるなァ。今日だろ、竜の洗禮は」
きょとんとしたジルとジークに、店長が笑う。
「なんだ、知らなかったのかい。訓練場に行ってみな、エリンツィア様と竜がきてるよ。ありゃ竜騎士団新人恒例の、竜の洗禮。竜の適試験だ」
【書籍化・コミカライズ】竜神様に見初められまして~虐げられ令嬢は精霊王國にて三食もふもふ溺愛付きの生活を送り幸せになる~
魔法王國フェルミ。 高名な魔法師家系であるエドモンド伯爵家令嬢ソフィアは、六歳の時に魔力判定でゼロを出したことがきっかけで家族から冷遇される日々を送っていた。 唯一の癒しはソフィアにしか見えないフェンリルの『ハナコ』 母にぶたれても、妹に嫌がらせを受けても、ハナコをもふもふすることで心の安寧を保っていた。 そんな彼女が十六歳になったある日。 ソフィアは國家間の交流パーティにて精霊王國の軍務大臣にして竜神アランに問われる。 「そのフェンリルは、君の精霊か?」 「ハナコが見えるのですか?」 「……ハナコ?」 そんなやりとりがきっかけで、何故かアランに求婚されてしまうソフィア。 家族には半ば捨てられる形で、あれよあれよの間にソフィアは精霊王國に嫁ぐことになり……。 「三食もご飯を食べていいんですか?」 「精霊國の皆さん、みんなもふもふ……幸せです……」 「アラン様と結婚できて、本當によかったです」 強制的に働かされ続け、愛も優しさも知らなかった不器用な少女は、精霊王國の人たちに溫かく見守られ、アランに溺愛され、幸せになっていく。 一方のフェルミ王國は、ソフィアが無自覚に國にもたらしていた恩恵が絶たれ崩壊への道を辿っていて……。 「君をあっさり手放すなぞ、エドモンド家は判斷を誤ったな。君の本當の力がどれだけ凄まじいものか、知らなかったのだろう」 「私の、本當の力……?」 これは、虐げられ続けた令嬢が精霊國の竜神様に溺愛され、三食しっかり食べてもふもふを堪能し、無自覚に持っていた能力を認められて幸せになっていく話。 ※もふもふ度&ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。
8 135異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる
ある日、天草 優真は異世界に召喚された。そして彼には秘密があった。それは殺し屋であったこと....... これは殺し屋だった主人公が自重せずに自由に生きる物語である。 この小説を読んでくださった方、感想をコメントに書いてくれたら嬉しいです。お気に入り登録よろしくお願いします。 作品を修正する度に、お知らせ【修正中〜話】から、ご報告させて頂きます。 一作品目『異世界に召喚された殺し屋は自由に生きる』 二作品目『水魔法は最弱!?いえ使うのは液體魔法です』 三作品目『現代社會にモンスターが湧いた件〜生き殘るために強くなります』 Twitterフォローも 宜しくお願い致しますm(*_ _)m SR45333500
8 78極寒の地で拠點作り
「まあ、何とかなるでしょ!」 が口癖の少女、冬木柚葉。 少々行き當たりばったりな性格の彼女は、ある日親友であり幼馴染の九條琴音からとあるVRMMOに誘われた。 ゲームはあまりやらない彼女だったが他ならぬ親友の頼みだから、と持ち前の何とかなるでしょ精神で共にプレイすることを決めたのだが……
8 182創造のスキルとともに異世界へ
事故で死んだ江藤雄一は神の元へ。 神がひとつだけ力をくれると言うので、俺は創造の力をもらい異世界へ行った。その先で雄一はスキルを駆使して異世界最強に。
8 130自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十數年酷使した體はいつのまにか最強になっていたようです〜
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。 その一員であるケイド。 スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。 戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。 それでも彼はこのパーティでやって來ていた。 彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。 ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。 途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。 だが、彼自身が気付いていない能力があった。 ずっと荷物持ちやパシリをして來たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。 その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。 自分は戦闘もできる。 もう荷物持ちだけではないのだと。 見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。 むしろもう自分を卑下する必要もない。 我慢しなくていいのだ。 ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。 ※小説家になろう様。アルファポリス様でも連載中
8 186光と壁と
高校體育教師の小川恵子と、東大卒でありながら冴えない著物の仕立て屋として活動する結城裕康の戀愛、結婚生活を描く。著任した高校になじめず、ノイローゼとなった恵子は靜養のため、茨城県の結城市にやってくる。偶然行った展示會で、裕康と出會い、彼の経歴に感激してしまって強引に結婚し、、、。 自己犠牲者とそれを理解できない女性との衝突を読んでいただけたら幸いです。 老荘思想とか、仏法の影響も強いお話。 とりあえず長いだけが取り柄のお話ですが、読んでみてください。
8 172