《やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中》43
夢を見ていた気がする。優しい未來の話だ。
だが現実は薄暗い檻の中、重罪人を護送する強固な魔をかけられた馬車の中だった。音も何も聞こえない。視界も痛覚も遮斷されている。常人では數日と持たず廃人になる、鉄箱の移結界だ。
だがのに竜神という神を飼っているハディスは、意識を保っていられる。
(帝都まであとしだな……)
自分が囚われた場所と移時間を計算して、弾き出す。どこへ向かっているかなど考えるまでもない。偽帝の処刑場は帝都に決まっている。
まだ魔力も力も、ジルを助けようとしたときの半分にも屆かない。処刑がすぐさま執り行われた場合、逃げるのがせいぜいだろうか。
(……いやそれも、あの神のがいた場合……)
「ハディス、起きているか」
魔がし和らぐ気配がした。檻を隠していた馬車の幕が持ちあげられる。ひたすら力の回復に努めていたハディスは、目をあける。
「――食事をとってないのか。を壊すぞ」
「今から処刑する人間に、食べろと?」
気遣うような聲をあげたエリンツィアが、はたかれたように黙った。食事をすすめようとした手を止め、の前で握りしめる。
「……そうだな、すまない……だが、私もヴィッセルと一緒にゲオルグ叔父上を説得するつもりだ。せめてどこかで、お前が普通の人間として暮らせるように……」
「僕は竜帝だ。お前たちがどんなに否定しようとも」
見據えたエリンツィアは、震えているように見えた。わかっているのだろう。
ハディスの護送に竜を使わない時點で、誰が竜帝なのか、わかっているのだ。
「どうしてジルは、お前を殺すななどと言ったんだろうな」
答えを期待しないひとりごとだったが、エリンツィアが目をそらしたまま苦笑い気味に答えた。
「それは、お前が可哀想だからだよ。……姉に裏切られて姉を殺すお前が、あんまりにも、可哀想だからだ」
「別に僕は、可哀想じゃない。そもそもお前を姉などと思ったこともない」
「……許されると思ってない。だが……私はせめて、ジルに殺されるべきなんだろうな」
「命乞いか」
「お前の姉でいられなかったことへの贖罪だ」
泣き笑いのような笑顔に噓がない気がして、ふと疑問がわいた。気にも留めていなかったことが、泡のように。
「……どうして裏切ったんだ、姉上」
ハディスの呼びかけに驚いたようにエリンツィアがまばたく。泣き出しそうな顔だった。
「……お前は、悪くないんだ。なにひとつ。悪いのは、私達だ。お前は、悪くない」
「……」
「すまない。不出來な姉で、本當に、すまない……」
姉でないと言ったり、姉だと言ったり、なんだか面倒だ。それでも聞きたい気がした。
たとえ口だけで終わってしまうとしても、間違いなく自分を弟として慈しもうとしたこのひとが、裏切ったその理由を聞かねばならない気がした。
「――敵襲! エリンツィア殿下、敵襲です!」
「どこからだ!?」
「竜、竜です! リステアード殿下が……っそれと、黒竜が向かってきます!」
目を見開いたのはエリンツィアだけではない。ハディスもだ。の中でハディスと同じように眠っていたラーヴェが応じる。
『黒竜、紫目だ。現存する竜の中では最高位の竜。――認められたな、嬢ちゃん』
當然だ、とハディスは笑う。彼は竜妃。
自分に選ばれ、竜神ラーヴェに祝福をけた竜帝の花嫁なのだから。
【二章開始】騎士好き聖女は今日も幸せ【書籍化・コミカライズ決定】
【第二章開始!】 ※タイトル変更しました。舊タイトル「真の聖女らしい義妹をいじめたという罪で婚約破棄されて辺境の地に追放された騎士好き聖女は、憧れだった騎士団の寮で働けて今日も幸せ。」 私ではなく、義理の妹が真の聖女であるらしい。 そんな妹をいじめたとして、私は王子に婚約破棄され、魔物が猛威を振るう辺境の地を守る第一騎士団の寮で働くことになった。 ……なんて素晴らしいのかしら! 今まで誰にも言えなかったのだけど、実は私、男らしく鍛えられた騎士が大好きなの! 王子はひょろひょろで全然魅力的じゃなかったし、継母にも虐げられているし、この地に未練はまったくない! 喜んで行きます、辺境の地!第一騎士団の寮! 今日もご飯が美味しいし、騎士様は優しくて格好よくて素敵だし、私は幸せ。 だけど不思議。私が來てから、魔物が大人しくなったらしい。 それに私が作った料理を食べたら皆元気になるみたい。 ……復讐ですか?必要ありませんよ。 だって私は今とっても幸せなのだから! 騎士が大好きなのに騎士団長からの好意になかなか気づかない幸せなのほほん聖女と、勘違いしながらも一途にヒロインを想う騎士団長のラブコメ。 ※設定ゆるめ。軽い気持ちでお読みください。 ※ヒロインは騎士が好きすぎて興奮しすぎたりちょっと変態ちっくなところがあります。苦手な方はご注意ください!あたたかい目で見守ってくれると嬉しいです。 ◆5/6日間総合、5/9~12週間総合、6/1~4月間ジャンル別1位になれました!ありがとうございます!(*´˘`*) ◆皆様の応援のおかげで書籍化・コミカライズが決定しました!本當にありがとうございます!
8 119【書籍化】解雇された寫本係は、記憶したスクロールで魔術師を凌駕する ~ユニークスキル〈セーブアンドロード〉~【web版】
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