《【書籍化・コミカライズ】竜神様に見初められまして~げられ令嬢は霊王國にて三食もふもふ溺付きの生活を送り幸せになる~》第25話 嬉しい嬉しい、朝ごはん

「いいですか、ソフィア様。基本的に當家では朝晝夜の一日三食が基本です」

「な、なんと豪勢な……」

「……普通では?」

三食もご飯を食べられるなんて!

と目を輝かせるソフィアとは対照的に、怪訝な表をするクラリス。

「そういえば、私以外の家族や使用人の皆は二食か三食だったわ……」

自分の食事に関してはもはや一日一食が當たり前すぎてすっかり意識の外だった。

昨日の夕食といい、今後は味しいご飯が一日に三度も味わえると思うと、それだけでこの家に嫁いできてよかったと心底思い……。

そっと、頭に優しい

不意にクラリスが、ソフィアの頭をなでなでした。

「……クラリス?」

「あ……大変失禮しました、つい」

パッと手を離したクラリスの瞳には、捨てられた子貓に向けるような、憐憫のが浮かんでいた。

ソフィアが何も言わなければ、そのまま抱き締めんばかりの勢いだった。

床に膝をついたクラリスがソフィアを見上げて。

ソフィアの手にそっと自分の両手を重ねてから、クラリスは言う。

「これからはどうぞ、お腹いっぱい食べてくださいね……」

「う、うん……ありがとう?」

なんだか盛大に同されているような……気のせいだろうか。

ソフィアは、自分を可哀想だと思っていない。

魔力の高さ低さが地位や己の存在価値に匹敵するフェルミにずっといたから、ソフィア自、自分の境遇は自業自得だと思っていた。

魔力ゼロで生まれてきた自分が全て悪いのだ、という風に。

だがそんな常識はここエルメルには存在しない。

クラリスにしてみれば、こんな年端も行かないが一日に一食しかご飯を食べさせてもらえなかっただなんて……とが痛くなるのも無理はない。

人族よりかは野生に近い、獣人族のが疼く

の痩せ細ったが象徴として目の前にあるのも相まって、クラリスはソフィアに対し母貓のような強い庇護を抱いていた。

「私に出來ることがありましたら、なんでも仰ってください」

改まってクラリスが言う。

「じゃ、じゃあ、お耳をってもいい?」

「ぶれませんね……」

苦笑しつつ、クラリスはソフィアに自分の耳を差し出すのであった。

至福の耳もふタイムの後、何やら気合のった手つきでテーブルに朝食を並べるクラリス。

朝から貓耳をもふれてご満悅なソフィアがその様子を眺めている。

黃金のトーストに、とろとろそうなスクランブルエッグ、ほかほかと湯気立つスープ、それに……。

「あ、キャベツ……」

馴染み深い食材がたっぷりったサラダに思わず呟く。

「アラン様から、必ずキャベツのサラダを持っていくようにとお達しをけまして」

「アラン様が?」

思い出す。

──野菜の中では、何が好きなのだ?

──強いていうなら……キャベツ?

昨晩の、ほんの些細なやりとりを覚えてくれてたのだろう。

些細だけども、ちゃんと自分を見てくれているような気がしてがきゅうっと嬉しい聲を上げる。

「ふふっ……」

クラリスがそばにいるのも構わず、だらしなくにやけてしまうソフィアであった。

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