《【書籍化・コミカライズ】竜神様に見初められまして~げられ令嬢は霊王國にて三食もふもふ溺付きの生活を送り幸せになる~》第43話 適検査
ソフィアに尾を存分に堪能されて、何やらぐったりした様子のモーリスが気を取り直して言う。
「まず初めに、適を見てみましょう」
「適?」
「ええ、霊魔法と言っても、それぞれの屬に対する向き不向きがございます」
モーリスが五本のうち四本の指を立てる。
「霊には四種類います。火の霊、水の霊、風の霊、地の霊……それぞれ特も相も違うので、まずは自分がどの霊と相が良いのか調べる必要があるのです」
「なるほど。魔法で言う四大魔法と同じね」
「話が早くて助かります」
「それで、どうやって適を調べるの?」
「“お告げの水晶”を使えば簡単です、クラリス」
「はい、ただいま」
どこからともなくクラリスが、正方形型の木箱を持ってやって來る。
中には片手で持てるほどの水晶が四種類がっていた。
「わあ……綺麗」
傷も汚れもない、に照らされて輝く四種類の水晶は
赤、水、白、茶とが違っていて、それぞれ火、水、風、地に対応しているのだと直的にわかった。
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「高いですので、決して落とさないように」
「わ、わかったわ……」
そう言われると落として壊してしまう未來しか浮かばなくなって、ソフィアはつい一歩後ずさってしまう。
「適はこれらの水晶を用いて行います。水晶に手を當てて、霊力を流し込んでみてください。適の有無によって、水晶の輝きが強くなったり弱くなったりします」
「つまり、適があったら強くって、無かったら弱くるってこと?」
「適が無かったらることすらない、というじです」
「なるほど、わかりやすいわ」
ふむふむとしきりに頷くソフィアを見て、モーリスはアランの言葉を思い起こす。
──ソフィアは莫大な霊力を持っていて、霊魔法に関してはとんでもない才能を持っている。
(とても、そうは見えませんが……)
正直なところ、この時點でのモーリスはソフィアの力を楽観視していた。
アランがソフィアに指をつけている時の接し方(砂糖吐くかと思った)を見た限り、我が上司は婚約者に非常に甘いと判斷せざるを得ない。
そこそこの力はあるかもしれないが、過大評価をしているのは間違いないとモーリスは確信していた。
(まあ、お手並み拝見といきましょうか)
眼鏡を持ち上げて、モーリスは提案する。
「こちらの適検査は、指を外してやりましょうか」
「えっ、大丈夫なのですか?」
「むしろ抑制されている狀態では、うまく適が測れない場合がございます。行うのは霊力を水晶に流し込むイメージだけで、基本的に水晶が霊力を吸収してくれるので暴走することもないかと」
「なるほど」
納得したソフィアが指を外すと、クラリスがそばにやってきて言う。
「お預かりします、ソフィア様」
「ありがとう、クラリス。でも、大丈夫。この指は、持っておきたいの」
大事そうに指をに抱えるソフィアに、クラリスは微笑ましいものを見たように口元を緩めて。
「そうですか……かしこまりました」
頭を下げて引き下がった。
ごほんと咳払いをして、モーリスは言う。
「では最初に、火からいってみましょうか」
箱から赤……火の水晶を取り出し、モーリスが両手で持つ。
「こうして持っておくので、手を當ててください」
「わ、わかったわ」
おずおずと水晶に掌を當てるソフィア。
「火の水晶に手を當てて、自分の中の霊力を流し込むイメージで」
「霊力を……流し込むイメージ」
ぎゅっと目を瞑って紡がれたその言葉は、微かに震えいていた。
正直、張していた。
(らなかったらどうしよう……)
昨日、初めて霊魔法を使ったじ、水の霊とは心を通わせられたから……流石に一つも適がないという結果にはならないだろうけど。
ソフィアのネガティブな思考が、適がない=役に立たないという等式をシャカシャカチーンと作り出していた。
故にソフィアは必死で、自分の中にある霊力を流し込むイメージに全集中を注いだ。
そんなソフィアの襟を察したモーリスが、小さく息をついて言葉を並べる。
「適がある霊魔法は基本的には一つ、才能がある者で二つ、類稀なる才能があって三つ、と言ったところなのでまあ、最初はらないのは當然です。心配しなくてもだいじょう……」
ピカピカピカーーーーーーン!!!!!!
「…………は?」
モーリスの素っ頓狂な聲が、こぼれた。
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