《【書籍化・コミカライズ】竜神様に見初められまして~げられ令嬢は霊王國にて三食もふもふ溺付きの生活を送り幸せになる~》第47話 こわい

アランの背に乗って屋敷に帰宅後。

「はふう……」

大浴場。

肩までお湯にしっかりと浸かって、ソフィアは息をついた。

「やっぱり癖になるわ……」

浴という習慣も今日で三日目。

最初はおっかなびっくりだったけど、もうすっかりお風呂の虜になっていた。

じんわりと熱いお湯が全を包み込んで、疲れがとろとろと浄化されていくような覚。

特に今日は一日中、外で霊魔法の練習に明け暮れていたからか、今宵の浴はとびきり心地よくじた。

「もっと、頑張らないと……」

今日、一日を振り返って思う。

自分には四大屬全てに適がありかつ、土の霊の力を桁外れに保有しているらしい。

モーリス曰く、歴史に名を殘せるレベルの才能を持っている、と。

未だに実が湧かないが、実際に自分が創り出した滝のような水や巨大な土塊を目の前にしたら、流石に認めざるを得ない。

この國において自分は多分、それなりに役に立つ存在なのだろうと。

その事実はソフィアにとってもちろん嬉しくはあったが……同時に、怖さもあった。

今までずっと“魔力ゼロの無能”と言われ続けてきて、誰にも期待をされなかった。

それが急に、反転した。

天才だ、とんでもない才能だと上向きな言葉をかけられた上に、何か大きな期待をされるようになった。

この國において今後、自分がどのような役割を擔う事になるのかはわからない。

自分の勇気が無くて、まだ聞けていない。

だけど間違いなく、今まで自分がフェルミの実家でこなしてきたような、家事や事務作業とは比べにならない仕事が與えられるだろう。

「…………う」

改めて自覚すると、胃袋の底から何かが込み上げてきそうになって慌てて口に手を押さえる。

深呼吸をして、なんとか落ち著かせた。

……正直、重責だった。

妹のマリンのように、子供の頃から期待を一けたならまだしも、ソフィアは一度期待されていた狀態から地獄のどん底へと叩き落とされている。

だから今の、再び期待されている狀態は恐怖でもあった。

また失されたら?

期待外れだと言われたら?

エルメルの人たちは皆優しくて、フェルミで遭ったような事態にはならないとわかっていても……そうは言い切れないという恐怖がある。

……考えていても仕方がない、それはわかっていた。

今自分にできることは、失されないよう、期待外れだと言われないよう、一分一秒たりとも無駄にせず全力を盡くすだけ。

それだけだった。

もうあんな……痛くて辛くて悲しい思いをするのは、嫌だから……。

「あら……」

ふと、視界の端から小さなが飛んできた。

きらきらとの粒子を尾に、小さな羽で舞う手のひらサイズのの子

澄んだ水の髪にドレス。

一昨日、この大浴場で會った水妖ちゃんだった。

以前と同じように両掌を広げてみせると、妖ちゃんが降り立つ。

「こんにちは」

ソフィアが微笑んで言うと、妖ちゃんはソフィアを気遣わしげに見上げた。

「心配してくれるの?」

尋ねると、妖ちゃんはきらきらと舞いながらソフィアの顔の前までやってきて、小さな手でぽんぽんと頭をでてくれた。

「ふふ……ありがとう」

先程まで穏やかではなかったソフィアの表に笑みが溢れる。

ソフィアがお風呂を上がるまで、水妖ちゃんはずっとそばにいてくれていた。

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