《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》11 鬼畜降臨

魔法學院には、多種多様な學生が集っている。

魔法の才能に目覚めて、その能力を社會に生かしたいと考える者、卒業後は冒険者としてダンジョンにって一獲千金を目指す者、自分の技をとことん極めたいと考える者などが、大多數の學生の実態だといえる。

だが中には、自らの能力を生かして社會でのし上がる手段にしようと考えたり、時には力に溺れて能力を誤った方向に用いてしまう者いないわけではない。

人間社會には様々な思が渦巻いているのと同様に、學院にも淺はかな考えや人には明かせない真っ暗な野を心の奧底にめている一部の學生が存在するのも事実である。またそのような一部の學生に影響をけて、反社會的な行為に手を染める學生が全くいないとはいえなかった。

仮に魔法學院の在校生や卒業生が何らかの犯罪に手を染めたとしたら、警察組織が彼らを拘束するには大きな困難を伴う。近年は警察組織にスカウトされて特殊能力を生かして犯罪を取り締まる側に回っている卒業生も目に付くようになってはいるが、全の數としては未だに足りていない実態が報告されている。

このような事から、學院での學生の暴力行為や反社會的行為に対して學院側は常に厳しい態度で臨んでいる。的に何らかの問題行には、戒告、謹慎、停學、退學等の処分が下される。

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當然自らの能力を正しい方向に使用するのを目的としたをコントロールして自らの神をよりましい方向に高めていく教育も実施されてはいる。だがそのような學院側の努力にも拘わらず、撥ねっ返りの生徒が時折現れるのを全て防げるわけではなかった。

このような學院の狀況下のおいて學生が中心となって自主的に校での暴力行為や不法行為を未然に防ごうという目的で、生徒會の下部組織として風紀委員會が設置されている。

風紀委員會は各學年から推薦された學業績と人格が優秀な生徒で構されており、校のパトロールを実施したり、テレビモニターによって校則に違反する行為が発生していないか監視の目をらせている。

この日の放課後、風紀委員會の監視モニタールームから急の報告が委員長に齎された。

「委員長、第3訓練場で生徒同士のめ事が発生しています。どうやら1年AクラスとEクラスの生徒のようです」

「パトロール中の委員を演習場に急行させろ。私は生徒會に報告してくる」

こうして、風紀委員長を務める南條(なんじょう)樹(みき)は廊下の並びにある生徒會室に向かうのだった。

◇◇◇◇◇

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生徒會室では…

現在の生徒會は6月に全校生徒の投票によって新たな執行部が発足したばかりで、生徒會長を務める2年生の種田(たねだ)篤紀(あつき)を中心として一新されたメンバーで業務にあたっている。

「安田さん、各部活への予算配分計畫はまとまりましたか?」

「會長、あと10分で完させますから、もうしばらく待ってください」

パソコンのキーボードを叩きながら、會計擔當の1年生である安田(やすだ)真紀(まき)が顔も上げずに答えている。生徒會の業務は多岐に渡っており、多忙でコーヒーを飲む暇もないブラック組織なのだ。

「失禮する」

そこへ、風紀委員長が姿を現す。

「會長、第3訓練場で1年生同士の騒ぎが発生している。すでに風紀委員を現場に向かわせているが、生徒會からも応援を派遣してもらいたい」

実はこの風紀委員長の申し出は彼の個人的な都合で実行されていた。當該する生徒の人數が多いと事聴取の人數も比例して増えていく。人數分だけ報告書を提出するのはそれなりに手間と時間が掛かるのだ。だが生徒會のメンバーが同席していれば、報告書を作する手間を生徒會に丸投げできるという打算が働いた結果であった。

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「忙しいときに困ったもんだな。やむを得ないから副會長、風紀委員長と現場に急行してもらえるか?」

「はい、わかりました」

こうして風紀委員長は生徒會副會長を伴って第3訓練場へ向かう。

一方第3訓練場では…

「おい聡史、一お前は何がどうなっているんだ? Aクラスの生徒12人を相手にして10秒も掛かっていないじゃないか。俺の目がおかしくなったのか?」

「んん? これでも大怪我をさせないように思いっきり力を抜いていたんだぞ。死んでも構わないんだったら全員ひとまとめにして一瞬で片付けるからな」

聡史の剣捌きを驚愕の目で見ていた頼朝がようやく再起を果たして聡史のそばに近づいてくる。対して聡史は「この程度は普通だろう」と至極平常運転。調不良でアークデーモンには苦戦したものの、こうして萬全な狀態であったらこの男はやはり化けであった。

それよりも聡史には気になることがある。

「ところでこいつらどうする? 自主練を始めたいのにこんな場所でいていたら邪魔だよな」

「こんな狀況で自主練もクソもないだろうがぁぁ」

聡史によって腕を強かに木刀で打たれたAクラスの生徒たちはまだ立ち上がれずに地面に転がったままでいている。聡史はそんな彼らを顎で指して頼朝に意見を求める態度。

対して頼朝はAクラスの生徒をいとも簡単に叩きのめした聡史に驚愕するとともに、この期に及んでまだ自主練を続けようというその神経についつい大聲も已む無しか。というよりもこの狀況に関する戸いが気持ちの大半を占めており、その先まで考えを巡らすなど不可能なよう。

だがこのような場面で桜ほどではないが、聡史も中々空気を読もうとはしない。頼朝の返答がさも意外でしょうがないという表でコブシを握り締めて反論をかます。

「ええええ、クラスメートとかしながら親睦を深めようと思っていたんだから、このまま続けようぜ。こいつらは今すぐに退かすから」

「これ以上親睦したくねえぇぇ」

頼朝の魂のびが演習場に響く。他のクラスメートも未だに遠巻きにしている様子からして、どうやら頼朝と意見が一致しているよう。

だが聡史はそこそこ気が短い。もちろん妹である桜に比べたら永遠とも呼べるくらいの時間事を待つことができるのだが、それは比較の対象がおかしいだけ。おっとりとした口調ではあるが、桜は一瞬たりとも我慢しない格の持ち主であるのは言うまでもない。條件反的に目の前のオイシイ話に飛び付くのが桜の人生哲學であった。

話は逸れたが、聡史は地面に転がっているAクラスの生徒の一人の元へ近付いていくと爪先で脇腹を小突く。

「おい、これ以上痛い目に遭いたくなかったら壁に沿って一列で正座してろ。俺たちの自主練を見學する権利を與えてやるぞ」

「鬼畜だぁ! この場に鬼畜がいるぅ」

頼朝のび聲を背景にしながらAクラスの生徒たちの行は極めて迅速であった。ジンジン痺れている腕の痛みなどどこにもなかったかのように全力ダッシュで壁際に一列になって無言で正座をする。彼らは、たった一度の立ち合いで魂までこそぎ聡史にへし折られていた。それほど圧倒的な力の差を眼前に突き付けられた結果が壁に沿って一列に正座する現在の姿と相っている。

「まあいいだろう。これが正しい敗者の在り方だと覚えておくんだぞ」

頼朝の言葉通りに正真正銘の鬼畜が魔法學院でその片鱗を顕わにした瞬間であった。だが世の中にはさらに上があることを頼朝らはまだ知らない。

もしこの場に桜がいたならば、ちょっと前まで地面に転がっていたのはくことも聲を出すことも葉わない死か、もしくは運よく命を取り留めた意識不明の重者だった可能が高い。鬼畜兄妹の中でもまだそれなりに常識を弁えている聡史が相手だったのは、Aクラスの生徒たちにとっては不幸中の幸いであろう。

とはいえ妹のに隠れて目立たないが、聡史も大概な格をしている。さもないとあの厳しい世界で生き抜くなど到底不可能であった。もっとも異世界の住人全が大概な格の者ばかりだったから聡史や桜はそれが當然だと思い込んでいるだけだと、この場は二人を最大限好意的に見ておきたい。外國生活が長すぎて日本社會に中々馴染まない人がいるのと同じようなものだと考えたい。そう思い込みたい。是非ともそうあってほしい。お願いだからそうあってくれ!

「よーし、掃除が終わったから改めて自主練を開始するぞ」

「もう俺、聡史には絶対に逆らわないから…」

頼朝も正座をしている気の毒な生徒同様に魂がへし折られている模様。いや彼だけではなくてこの場に居合わせたEクラスの生徒全員、ポッキリと心の中の大切なを折られている。彼らは否応なく聡史に従うしかこの場を無事に切り抜ける道はないとじている。さもないと次に酷い目に遭って正座させられるのは自分たちのような気がするという、ある種の強迫観念に取り憑かれているのかもしれない。そのくらい頼朝たちからしてみればあり得ない出來事をこのわずか數分のうちに経験してしまった。

ちょうどその時、第3訓練場にってくる人影が…

「全員その場をくな。風紀委員だ」

演習場にに駆け足でってきたのは腕章を腕に巻いた男子生徒5名であった。彼らはモニタールームからこの場に急行せよと指示をけた風紀委員のメンバーに相違ない。

「頼朝、こいつらは何者だ?」

「頼むから大人しく言うことを聞いてくれ。風紀委員に逆らうと重い罰則が科せられるから」

「まあ、いいか。早く自主練を開始したいけど一応話を聞いておこう」

聡史が同意した様子に明らかに頼朝がホッとした表を浮かべていると同時に、この場に一瞬の沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは聡史たちでも5人の風紀委員でもなかった。

「全員ご苦労だった。今からこの場で発生した闘騒ぎに関する事を聴取する」

遅れて訓練場にってきた風紀委員長の聲が響く。

だが聡史の目はこの聲の主には一切向けられていない。彼の目が吸い寄せられるように風紀委員長の後ろにいる生徒會副會長へと注がれる。

鈴…」

その呟きともとれる聡史の小さな聲を聞き取った者は誰もいなかった。

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