《異世界から日本に帰ってきたけど、やっぱりダンジョンにりたい! えっ、18歳未満は止だって? だったらひとまずは、魔法學院に通ってパーティーメンバーを育しようか》14 ステータス
そういえばこの小説のタイトルに「ダンジョン」というフレーズがっておりますが、肝心なダンジョンシーンは一度も登場しておりません。そのうち出てきますので、長い目でお待ちください!
學生食堂での夕食が終わっても鈴は聡史や桜ともっと一緒にいたいとかに考えている。だが子寮の門限は夜の9時となっており、そろそろ戻らなくてはならない時間が近づきつつある。
「それじゃあ、寮に戻るわ」
斷腸の思いで鈴は帰る旨を伝える。そこに桜が…
「鈴ちゃん、今日は再會の記念ですから私たちの部屋に泊まりませんか? 明日香ちゃんも一緒ですわ」
「私たちの部屋? 泊まる? どういうことかしら?」
事が呑み込めない鈴は再び頭の上に???を浮かべている。そこに明日香ちゃんが…
「そうですよ~。鈴さんも一緒に泊まりましょう。とっても素敵なお部屋で、私なんか住み著いてしまうかもしれないですよ~」
明日香ちゃんは本気(マジ)だ。この子は遠慮を知らないうえに、人の好意にはとことん甘える格をしている。このくらいの面の皮の厚さを持っていないと桜の親友など務まるはずがない。
「外泊許可を寮に提出して著替えと明日の授業の用意をしてください。今日は楽しいお泊り會ですわ」
強引に話を進める桜の勢いに押されて鈴は一旦子寮に戻って手続きを済ませると、再び研究棟のエントランスに戻ってくる。通學用のカバンとは別に大きなスポーツバッグを肩から下げている。
「お兄様、鈴ちゃんと一緒に一晩過ごせるなんて、本當に昔を思い出しますわね~」
「そうだな。子供の頃はしょっちゅう互いの家に泊まっていたからな」
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聡史と桜は遠い過去を振り返るかのような表をしている。日本の時間では3年々しか経過していないが、二人には異世界で過ごした3年間がさらに加算されている。10代の人間にとって3年前と6年前では、その間に経過した時間の差は計り知れないくらいに大きなものであった。
「なんだか二人とも凄い昔を語っているような口調ね」
鈴には、二人が大袈裟なようにじている。雙子の本當のを知らないので、これは致し方がない反応であろう。
「それじゃあ、部屋に行こうか」
聡史に促されて、明日香ちゃんを含めた四人が降りてくるエレベーターを待つ。開いたドアに乗り込んでそのまま最上階に到著すると、聡史はカードキーを取り出して部屋のロックを解除。そこにった瞬間…
「な、なによこれ。すごい部屋」
鈴は荷を下げたままで、口を開いて茫然自失の有様。生徒會の役員を務める彼も、こんな部屋が用意されているとは誰からも聞かされていなかった。
ようやく再起した鈴が恐る恐る聡史を振り返る。
「中途で編してきた生徒は特待生に選ばれたという噂を耳にしたんだけど、まさか聡史君と桜ちゃんだったの?」
「ああ、學院長直々に特待生にすると言われている」
ようやく鈴には二人が急に編してきた事に納得がいった模様。海外まで遠征してダンジョンにるからには、相當に凄腕な點を評価されているのであろうと… 聡史のウソによって大幅な誤解があるものの、それは當たらずとも遠からずであった。
このような流れで鈴にとっては驚きの連続だった一日ではあるが、ようやく落ち著いた雰囲気でソファーに腰掛けて聡史や桜と會話をわす。いつの間にか明日香ちゃんまで鈴と仲良くなって、笑い聲が絶えない時間が過ぎていく。そのうち…
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「だいぶ遅くなりましたからお風呂にってきますわ。お兄様、お先に」
桜がバスルームに向かうと、殘った3人は主に學院の諸事について鈴と明日香ちゃんが聡史に教える形で話が進められた。話題の中心は実技実習の現狀が主である。
そのうちに鈴が何か気になるようなことがあるのか、聡史に居住まいを正して問い掛ける。
「聡史君、私のステータスを見てもらいたいんだけど、どうかしら?」
日本國、いや海外の各國を含めてダンジョンが出現した時點で個人のステータス畫面が表示されるようになっていた。自分の能力を一目で確認できるこの畫面は非常に重寶する代わりに、個人データの管理をどうするのかという問題を様々な方面に突き付けることとなっている。
「個人のデータを他人に公開するのは問題はないか?」
異世界の冒険者の間には暗黙の了解として「他人のステータスを詮索しない」という掟があった。もちろん本人が了承しているのなら聡史としては吝かではないが、個人報の扱いには慎重にならざるを得ない。
「聡史君だからこそ信用しているのよ。私のステータスを見て、何か気づいた點や今後能力をばしていく方向というのかな… とにかく學院長に認められている聡史君から意見を聞きたいの」
「そういう事なら気づいた點を指摘しよう。確かに鈴の能力を知っておいたほうが今後の魔法練習の効率が良くなるかもしれない」
「そうよ、そうなのよ! 聡史君は私の先生なんだからステータスくらい把握してもらわないとダメよね」
ここぞとばかりに鈴が喰い付いている。すでに鈴の脳では聡史との魔法練習は最低でも半年は確実に予約済みであった。
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「それじゃあステータス畫面を開くわ。ステータス、オープン」
鈴の正面に明なスクリーンのような畫面が浮かび上がる。これが正真正銘のステータス畫面。
「あの~、私も見ていいんでしょうか?」
明日香ちゃんがバツの悪そうな顔で鈴の顔を窺う。いくら遠慮をしない格とはいっても、さすがにそこまで厚かましくはなかった。
「ええ、どうぞ。一緒に見てもらって、何か気づいた點があったら指摘してもらいたいの」
「そ、それでは遠慮なく見せてもらいますよ~」
許可が出た以上は遠慮しない明日香ちゃんに戻っている。興味深そうに鈴のステータス畫面に見る。
そこに表示されているのは、以下のような容。
【西川 鈴】 16歳
職業 ……
レベル 3
力 36
魔力 187
敏捷 24
神力 67
知力 89
所持スキル 火屬魔法 魔力ブーストレベル1 魔力回復レベル1 式解析レベル4
「こんなじなんだけど、どうかしら?」
鈴は自信なさげに聡史と明日香ちゃんを互に見つめる。その反応は…
「鈴さんはすごいですよ~。さすがはAクラスです」
明日香ちゃんは真顔で心している。この子がここまで真剣な表になるのは、甘~いデザートを目の前にした瞬間だけと言い切れる。
「うん、これはどう見ても魔法系をばしていくのが正解だろうな」
聡史の想を聞いて鈴はやや安心した表だが、何かもうひとつ引っ掛かる點があるよう。
「聡史君、ありがとう。自分の考えと一致したから、ちょっと安心したわ。ただね…」
「ただ?」
「私が一番気にしているのは、職業の欄に何も記載されていない點なのよ。一番大事な項目のような気がするんだけど…」
「ああ、その點は気にしないで大丈夫だぞ。俺もレベル20を超えてからようやく職業が明示されたからな」
「そうなの。聡史君に聞いて本當に良かった~」
鈴は今にも聡史に飛び付かんばかりの勢いだが、明日香ちゃんの手前ギリギリで心のブレーキを掛けている。危うく崖を飛び越えそうになったが、急ブレーキで30センチ手前で停止した。仮にこの場に明日香ちゃんがいなかったら、鈴は何も考えずに聡史のに飛び込んでいただろう。
「最初から表示されない場合はもしかしたらレア職業なのかもしれないな。俺や桜もかなりレアだし」
「やっぱりそうよねぇ~。聡史君と桜ちゃんは勇者を差し置いての特待生だし」
「勇者… そんな人間がいるのか?」
「ええ、Aクラスにいるわ。あまり関りは持ちたくないけど… それよりも聡史君、あなたのステータスも見せてもらえないかな? 特待生のステータスなんて、すご~~~~く興味があるのよ」
「わ、私も、お兄さんのステータスに興味がありますよ~」
なぜか明日香ちゃんも乗っかってくる。好奇心旺盛なので、こんな機會は絶対に見逃せないというキラッキラの目でお願いポーズをとっている。
「俺のステータスだと… ちょっと待ってくれ」
聡史は悩ましげな表で、ステータス畫面を鈴と明日香ちゃんから見えないようにコッソリと開く。その容は…
【楢崎 聡史】 16歳 男
職業 異世界に覇を唱えし者
稱號 神に向けられし刃 星告の殲滅者
レベル 376
力 99999
魔力 99999
敏捷 99999
神力 99999
知力 100
所持スキル 記載不能
ダンジョン記録 踏破レベル6
自らのステータス畫面を見つつ苦笑する聡史。こんなカンストだらけのステータスを見せても悪い冗談だと一笑に付されるであろう。彼はステータス畫面の一番下にある畫面初期化の欄をクリックする。すると異世界に渡った當時の畫面が現れる。
【楢崎 聡史】 15歳 男
職業 魔法剣士
レベル 32
力 412
魔力 356
敏捷 321
神力 127
知力 50
所持スキル 強化レベル5 剣レベル7 無詠唱魔法技能レベル3 神速レベル3 神足レベル3 気配察知レベル3 暗視レベル3 全屬初級魔法レベル5
(まあ、これなら許容範囲だろう)
相変わらずの苦笑いを浮かべながら聡史は鈴と明日香ちゃんにステータスを開示する。
「こんなじだ」
その畫面を見た瞬間…
「ふざけ過ぎでしょうがぁぁ」
「馬鹿げていますよ~」
鈴と明日香ちゃんの全力のツッコミがリビングに響き渡る。両者とも聲帯の限界を超えて、腹の底から湧き起こる魂の篭ったツッコミであった。
二人のび聲が収まったちょうどその時、風呂を終えた桜がリビングに戻ってくる。
「お待たせしました。とってもサッパリしましたわ」
「桜ちゃん、その恰好は…」
鈴がギョッとした顔で桜に注意をする。桜は何も著ないバスタオル一枚に巻き付けた姿で、平然と風呂から出てきている。
「鈴ちゃん、私のこの姿は魅力的ですか?」
「そういう問題じゃないでしょう。私と明日香ちゃんだけならまだしも、この場には聡史君もいるんだし」
「お兄様、何か問題があるでしょうか?」
「別に何もないな」
聡史は桜のバスタオル姿に対して、まるっきり興味を示していない。逆に桜も聡史に見られている恥ずかしさなど一切じていない。二人とも赤ん坊の頃から一緒に育ってきたので、この年になっても互いに恥心もないし、恥ずかしいから隠そうという気持ちさえ起こらなかった。
「聡史君と桜ちゃんは、もっとデリカシーをに著けるべきでしょう」
「鈴ちゃん、私はバスタオル以外はに著けていませんわ」
「そういう問題じゃないでしょうがぁぁ。デリカシーを持ちなさいと言っているのよ」
鈴のツッコミが明日香ちゃんに大ウケしている。どうやらツボだったようで、腹を抑えながらヒーヒーいでいる。そんな明日香ちゃんを橫目に聡史は…
「デリカシーと言われてもなぁ… 桜じゃなくて、鈴が同じ格好で出てきても特に何もじないぞ」
「じなさいよ。聡史君、むしろそこは、ちょっとでもじようよ。どうかお願いだから」
なぜか最後には、聡史に懇願している鈴の姿がある。
「ええ、だって鈴とは小學校の5年生まで一緒に風呂にっていたし、今更なぁ…」
「小學校5年生と比較するなぁぁ。いくらなんでも私は大幅に長しているんだからぁぁ」
鈴にも絶対に譲れない意地とプライドがあるよう。
「そうだったのか。ようやくわかったぞ。俺が桜に何もじないのは、きっと桜の長が足りないんだ」
「お兄様、いい度ですわね。その勇気は認めて差し上げますから今から表に出ましょう。完なきまでに殺して差し上げますわ」
「ほう、完なき殺し方というのを一度でいいから見てみたいな」
白で黒髪の桜だが、唯一の欠點は凹凸がほとんど確認できない殘念ボディー。と同時に、地上最悪の悪魔を召喚する特大の地雷でもある。聡史は思いっきり地雷を踏み抜いていた。
一即発の雰囲気が室を満たす。
この雙子の場合兄妹喧嘩は並大抵では終わらない。異世界では二人のケンカに巻き込まれて街ひとつがきれいサッパリ更地となっていた。その原因は桜におかずを奪われた聡史が珍しくキレたことに端を発する。おかず一つでたやすく周囲に悲劇を招く兄妹なのだ。
その雰囲気はあたかも學院崩壊の序章が始まったが如くに、聡史と桜のからは終末を予させる恐怖の鼓が鳴り響いている。
だがこの危機に際して颯爽と勇者登場。
「桜ちゃん、大丈夫ですよ~。まだ十分長の余地が殘されていますから、今後に期待しましょう。 私も応援しますよ~」
「あら、明日香ちゃんがそう言うのでしたらこの場は信じてみましょうか。お兄様は命拾いしましたわね」
桜は明日香ちゃんの発言でひとまずは矛を収める。あまりに危険な空気に満ちて呼吸すらままならなかった鈴は、ひと際大きな息を吐き出している。
それにしてもさすがは親友の明日香ちゃん。桜の取り扱いマニュアルを隅から隅まで知しているらしい。
兎にも角にも、桜が自分の寢室に引っ込んで髪を乾かしてからパジャマを著て姿を現す。わずかな時間でその機嫌はすっかり直っていた。
「皆さんで何をお話ししていたんですか?」
「桜ちゃん、今ステータスを見せ合っていたんですよ~。桜ちゃんのステータスも見せてください」
「いいですわ。ステータス、オープン」
【楢崎 桜】 16歳 かな?
職業 覇者を凌駕せし者
稱號 神に向けられし刃 天啓の殺者
レベル 623
力 99999
魔力 99999
敏捷 99999
神力 99999
知力 100
所持スキル 記載不能
ダンジョン記録 踏破レベル11
兄のような配慮は無縁の桜。生の本の、誰が見てもとんでもなくヤバ~いステータスをいとも簡単にご開帳あそばされる。
淺慮これに極まれりであるが、桜はむしろ自慢げなドヤ顔をキメている。
「おかしいわね? 私の目がどうかしているのかしら?」
「桜ちゃんは、蕓が細かいですよ~。ステータス畫面で笑いを取ろうなんて、その手には乗りません」
鈴と明日香ちゃんは、ズラリと並ぶ冗談のような數値を全く信用していないらしい。これ幸いとばかりに聡史も二人に乗っかる。
「桜、冗談は別の機會にしような。もうそのステータスは引っ込めろ」
聡史は盛んに目で合図を送るが、桜には一向に伝わらない。
「なんですかお兄様? その汚いウインクは?」
「生ゴミのように汚いウインクだとぉぉ。いいから今すぐ引っ込めろぉぉ」
「いえ、生ゴミとは言っていませんわ。はあ~、せっかく一般公開したのに信用されませんでした」
桜がステータスを引っ込めると注目は俄然明日香ちゃんへと移る。
「明日香ちゃん、私がステータスを公開したのですから、ここは親友として是非見せてくださいませ」
「まったく桜ちゃんはズルいですよ~。あんな偽のステータスを見せるなんて。まあいいでしょう。そこまで皆さんがご希するなら、これが私のステータスですぅぅ!」
バーーーン!
と、明日香ちゃんは自分の口で効果音を奏でた。
【二宮 明日香】 16歳
職業 魔法になりたいっ!
レベル 2
力 24
魔力 25
敏捷 17
神力 14
知力 32
所持スキル 魔法になりたい気持ち
「なんだかホッとしてくるわ」
「オチには相応しい數値ですわね」
この學院1年Eクラスの生徒として考えても相當に心許ない數字が並ぶ。しかもよくよく見るとツッコミどころ満載のステータスではないだろうか?
明日香ちゃん以外の三人が何か言いたそうな表であるが、その中で桜がそのツッコミ役を買って出る。親友としての思い遣りのなせる業であろう。
「明日香ちゃんは、中學の頃から魔法になるのが夢でしたわね」
「はい、桜ちゃんが言う通りですよ~」
「でも、この職業は魔法ではない何か別のものではないでしょうか?」
「きっと見習い的な立場なんですよ~」
「楽観的でいいですわ。それでこの変なスキルは役に立つんですか?」
「神的な問題かなと」
「今夜のオチ以外の何でもないでしょうがぁぁ」
桜の絶で、本日のステータス開示はお開きとなる。
その後順番に浴して全員がサッパリする頃には、日付が変わりそうな時間まで夜は更けていく。
聡史と桜は自分の寢室に、鈴と明日香ちゃんは空いている予備の部屋にってそのまま一夜を過ごすのだった。
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