《ウイルター 英雄列伝 英雄の座と神代巫》72.敗北、それから
「臣先生、バトルは……?」
応援する人のいない闘技場は、熱戦の後の寂しい空気に包まれている。
義毅(よしき)はその床に煙草を押しつけると、のぞみを見た。
「神崎、お前の負けだ」
変えることのできない事実を聞いて、のぞみは大きく深呼吸した。の痛みや傷は、し楽になっていた。気を失ったあと、ヒーラーから急治療をけたおかげだ。
「そうですか、森島さんは?」
まだ起き上がれないのぞみが、首だけで辺りを見回す。海や砂原、柱などでできていたステージは、元通り何もない闘競場に戻っており、観覧席にはもう誰もいなかった。のぞみは改めて、試合がすでに終わったことをじた。
「森島はもう帰った。バトルが終わってからもう三時間が過ぎたぜ。お前のハウスメイトたちも會いにきた。今晩の夕ご飯の準備はしなくて良いから、ゆっくりしてって伝言だ」
せっかく応援に來てくれたハウスメイトたちに、負けた自分がどんな顔で會えるというのか、申し訳ない気分だった。
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「ミナリちゃんとイリアスちゃんが會いにきたんですか?」
「藍(ラン)やメリルもけっこう心配してるぜ。奴ら、良いダチじゃねぇか?」
「はい……ヘルミナ先生は?」
「彼も闘競(バトル)の最後まで見てたぜ」
「なのに私、負けてしまったんですね……」
ヘルミナをはじめ、フミンモントルから多くの心苗(コディセミット)たちがわざわざ応援に來てくれていた。フミンモントルで優等生だったのぞみが闘競に負ける姿を見せたことで、きっと彼らはがっかりしただろう。のぞみは憂鬱な気持ちになる。
のぞみの表に翳りが差したのを見て、義毅は爽快な口調で言う。
「ヘルミナちゃんは、お前のバトルに誇りをじているはずだぜ。お前が森島のためにやったこと、みんな見てたからな。バトルには負けたが、森島に向き合う姿勢は大きな功績なんじゃないか?」
「私は余計なことをしただけかもしれません。近い未來、彼を含め五人の命が失われるという予言は、避けられるでしょうか?」
「お前はできることをやった。あとは森島次第だぜ」
のぞみは起きあがると、義毅に向き合った。
「でも、自分の強さだけを求めて、他人の命をどうでもいいと考えていること、それが原因になるのではないでしょうか?」
「その予言がたとえ現実になるとしても、乗り越えられるかは森島の問題だ。お前はもう十分、自分にできることをやったさ。それより、お前自が向き合うべき課題がほかにあるんじゃないか?」
のぞみは、蛍(ほたる)のことばかり考えて、自分のことが疎かになっていたことを思い出す。
「そうですね……私はまだ門派が決まっていません。このバトルで負けてしまったので、『朧影(ろうかげ)流』にれるという話もなくなったかもしれません……」
義毅は虛空を見つめる。
「その話は諦めた方がいいぜ。イーコロは完璧な結果主義だからな。森島に負けた時點でそのチャンスはなくなっただろう。それに、もしっても、お前とは考え方がすれ違ってたかもしれないぜ」
義毅がはっきりと言わなくても、のぞみには伝わった。いざ本當の戦いを前にしても、自らの勝機を捨て、相手にけを売ってしまうのであれば、それは仕事の場では不安要素となり、依頼主にリスクを負わせることになる。のぞみは両手で膝を抱え、顔を曇らせて思案する。
「そうですか……。私、ずっと同じところで立ち止まっていますよね……」
「門派に門して、誰かの弟子になって一から鍛えることも、自主修行を重ねて獨自の戦を探ることも、どちらも同じくらい正しいんだ。それよりも神崎、お前はもっと基礎をにつけろ」
のぞみは鬱々と考えながら、「はい……」と小さな聲で応じる。
「神崎。お前がどれほどの決心で転校してきたか知らないが、俺の教え子になった以上は、昨日の自分の枠を破壊しつづける覚悟を持てよ」
そう言って笑う義毅の爽快な目のを見て、のぞみはし元気を取り戻す。
「はい、やってみせます」
夕日もほとんど沈んだ宵の空を眺めながら、のぞみは白い息を吐く。この一週間、自分の実力不足を痛した。蛍との試合にも敗北したのぞみだが、心の炎はまだ赤々と燃えていた。またこれから努力を積み重ねよう。そう、決意を新たにした。
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