《【書籍化】追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。》第1話:婚約破棄
ξ˚⊿˚)ξこんにちはー。
10萬字くらいの語の予定です(注:20萬字を超えました)。
今6萬字くらいストックあるから完結まで毎日更新できる……予定。
今日明日は4話ずつ投稿します!
7、8時と15、16時です。
「ヴィルヘルミーナ・ウッラ・ペリクネン!」
わたくしの名を呼ぶ聲が王城の広間に響きます。魔石による燈りを煌びやかに反させるシャンデリアの下、その聲をあげたのはこの國の王太子殿下のもの。
「お前との婚約をここで破棄する!
お前がイーナ・マデトヤ男爵令嬢にした悪行の數々、もはや許し難い!
斯様な者を王家にれる訳には行かぬ。余、エリアス・シピ・パトリカイネンはここにヴィルヘルミーナとの婚約を破棄し、婚約者の罪を贖罪すべく、イーナを新たに婚約者とする!」
その言葉に広間が一度騒めき、そして続く展開を聞きらさぬよう、水を打ったように靜かになります。
わたくしを斷罪するエリアス王太子殿下、たった今までわたくしの婚約者だった人。
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彼の隣には王太子殿下からいただいたのであろう彼の瞳のと同じラピスラズリのドレスを纏った、桃の髪の。狀況を分かっているのかいないのかふわふわとした微笑みを今も浮かべています。
ええ、良い見せでしょうね。
わたくしはパチリと広げていた孔雀羽の扇を閉じて淑の禮(カーテシー)をとりました。
「王國の暁たる尊き方、エリアス王太子殿下にご挨拶申し上げます。直答の許可をいただけましょうか」
「ふん、慇懃無禮な事だ。許可しよう」
わたくしは殿下の許可を得て、ゆっくりと立ち上がって言葉を発します。
「婚約解消について承りました。ただ、一方的に破棄するとのご発言、理由をお伺いしても宜しいでしょうか?」
「とぼけるな、ヴィルヘルミーナ。お前がイーナにした蠻行の數々、申し開きできると思っているのか!」
わたくしはゆるりと首を傾げ、ほうとため息をつきます。
まだ正式な婚約者であろうはずもないをファーストネームで呼ぶ王太子殿下。
……ああ、愚かですわ。
「婚約者に近づくを排除するのは當然のことでは?」
「下位の家格の令嬢なら何をしても良いというのか!」
「わたくし、くだらない嫌がらせなどはしておりませんの」
「取り巻きどもにやらせたのだろう!」
わたくしは扇を開くと口元を隠して笑ってみせます。
「ほほほ、何を仰るのかしら」
「何がおかしい!」
「そんなものを命じるはずがないでしょう。上位者が不快に思っているのにそれに対して忖度し、自発的に彼たちがかないのであればそれこそ怠慢というもの」
「なっ……ではなぜ止めなかった!」
「異なことを仰いますわ。わたくしは殿下にもそこのマデトヤ令嬢にも口頭や書面で幾度も忠告させていただきました。婚約者でない男が過度に親しくしてはならないと。もちろん覚えてらっしゃいますよね?」
エリアス殿下は渋い顔をし、マデトヤ男爵令嬢はびくりと桃の頭を震わせました。
「は、はい」
「でもあなた方はそれをけれなかった。殿下にいたってはわたくしの言葉を聞きれようともしなかった。あなたたちがやめないのになぜわたくしがその嫌がらせとやらを諫めねばならないのでしょうか?」
エリアス殿下に隠れるように立っていたマデトヤ男爵令嬢が頭をぴょこんと下げます。
「申し訳ありません! ……でもエリアス様を好きになってしまったんです!」
パチリ、と扇を閉じて彼を指し示します。
「口だけの謝罪は結構。もはや此処に及んでわたくしが過去をとやかく言っても仕方ありませんが、取り急ぎその無様な禮節《マナー》をなんとかなさい」
「イーナに謝罪せよヴィルヘルミーナ!」
「わたくし、口など嫌いですの。殿下とて彼の禮節が足りていないことくらいお分かりになるでしょう?」
まあそういう自然なところに惹かれたのでしょうが、將來の王妃がそれでは國が立ち行かぬことくらい分かるでしょうに。
「そんなものはこれから學ばせれば良い! だがお前は為してはならぬことをした!」
「彼を殺そうとしたことですか?」
その言葉を言おうとしていたのであろう殿下が鼻白み、マデトヤ男爵令嬢の顔が青褪めます。
広間が騒めきました。
「え、殺す……?」
「あたりまえです、何度忠告しても聞かないなら殺した方が後腐れないでしょう? そなたでは王妃は務まりませんよ」
殿下が有能であり、その地位が盤石であれば彼とごっこされていても良かったでしょうけど。
「高慢なめ」
「高慢? わたくしは分に相応しい振る舞いをしているだけですわ」
そう告げるとエリアス殿下はニヤリと笑われます。
「ではそうでない分へと落ちるがいい。
王太子命令だ、ヴィルヘルミーナ。お前は平民にでも嫁ぐが良い!」
王太子という地位は當然の事ながら政治に関わる立場です。わたくしもその手伝いをしてきましたしね。
陛下ご夫妻は隣國での式典にご出席されるために不在。それ故に殿下に権力は與えられている。とは言え……。
「そのような橫暴が許されるとお思いで?」
「陛下の代行は余だ」
殿下が手を上げると近衛兵がわたくしに近寄り、手をばしてきました。暴にわたしを跪かせられ、床に押さえつけられます。
広間にいる令嬢たちから悲鳴が上がる。わたくしは何も言わず、エリアス殿下を睨みつけました。
「人を殺そうとした者を投獄することもなく慈悲を與えると言うのだ。よもや文句はあるまいな?」
文句しかないわ。だけどわたくしはもはや話す気も起きなくなっていました。
この愚にどんな言葉を投げかけても無駄。
「そう言えば今度の勲章の授與式で、どこぞの平民の研究者が功績を上げて勲章を與えられるという話があったな。お前をその褒としてやるとしようか!
元《・》公爵家の令嬢を妻とできるとあらば泣いて喜ぶだろうよ!」
そんなはずはないでしょうに。
だが殿下はそれを分かって言っている。つまり、生意気な平民を困らせ、そしてさらにわたくしを貶めようとしている。
「追って沙汰を申し付ける! 自宅で謹慎せよ!」
連載開始そうそうにあれなんですが、実は今日から院します(死
想欄は開放しておきますが、お返事はできません。
でもこっそり読んでますから、想はお待ちしております!
あと院しちゃう関係でお祝いのコメントする暇がないのでここで。
豆田麥さん、
『さないといわれましても~元魔王の伯爵令嬢は生真面目軍人に餌付けをされて幸せになる』
https://ncode.syosetu.com/n3507ho/
書籍化おめでとうございます!
投稿される前から下読みしてたのですが、その段階でこれは書籍化するって伝えてたほど素晴らしい作品です!
おめです!
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