《【書籍化】追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。》第83話:暗躍
夜、俺はペリクネン公領に向けて馬車を走らせる。
今日のギルド長とペルトラ夫妻の話を伝えるために。
彼らが持ってきたこれは畫期的すぎる話だ。それは貴族社會の世をす。俺たちギルドが王侯貴族へと広げた販路が全て覆されるような所業だ。
ギルド長は熱に浮かされていたが、そんなものが通るはずはない。
ガタン。と馬車が大きく揺れた。夜を劈く悲鳴のような馬の嘶き。
「どうした!」
者に聲をかけるが応えはない。者臺へと繋がる小窓を開けると、ぬるりと生暖かいが顔にかかった。
再びガタンと馬車が揺れて停まった。扉を開けると街路燈に照らされ、自分の手が紅に染まっているのが見える。
「うわあああぁぁ!」
者臺を見れば男の首がなく、ゆっくりと倒れていくところだった。
「王都商業ギルド特許部部長、サラソヤだな」
慘劇に似つかわしくない、冷靜な聲が響く。
街路燈の下に立つのは金の刺繍の魔師のローブを纏う男、シルクハットをとってわになったのは銀の長髪、片眼鏡に妖眼……!
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「ひょ、“氷炎の大魔師”! なぜここが!?」
彼が右手をこちらに向ける。
「〈弾《ブリット》〉」
右腳に衝撃。
「ぐあっ」
「靴の裏を見たまえ」
足首のあたりがズボンごと凍りついている。パキリ、と足首から先が痛みも出もなく落ちた。
短詠唱でこの速度と威力……!
現実がなく聲も出ない。思わず拾った足のった靴、その土踏まずには小さな石が付著していた。いや、それは街路燈の燈りを反して輝いた。
「魔石……?」
「それを探知式でどこにいるのか探っているのだ。今日の話をけて、普段と全然違う場所に移するような奴がいないか。そう、君のようにペリクネン公のタウンハウスに近付くものとかな」
「こ、こちらに移しただけでそんな!」
「〈刃《ブレイド》〉」
彼の右手の先の空間が燈りを反して硝子の様に煌めいた。氷の刃。それは音もなくび、俺の腹を刺した。
それは痛みもなくスーツを、シャツを貫いて腹を貫く。氷が、広がっていく。
「そこに我が社の特許を隠し持ってか。特許の権利者を護るべき立場の長には相応しくないな」
彼の端正な顔に酷薄な笑みが浮かぶ。
俺の心臓が氷に包まれていく。
「我らが無慈悲な王(ハーシュ・ミストレス)は不実を決して許しはしない」
そして意識は暗転した。
「どういうことだこれは!」
タウンハウスの執務室にて父がぶ。
「商業ギルドまでもが魔石の取引を止めるだと!」
そう言って手にしていた紙を投げ捨てた。
……へえ。なるほど、それは父が荒れるのも分かる。去年のシクラトロン社との取引のように一社の取引とは違う。無數に存在する中小の商會や會社とは商業ギルドを通じて魔石の取引を行っているので、ペリクネン領の魔石産出量の5割は商業ギルド経由だからだ。
僕は絨毯の上に落ちた手紙を拾い上げた。
「失禮します」
ふむ……これは。
「別に取引を完全に停止しようという訳ではないのですね。今の価格では取引はけないと」
去年から今年にかけて父は魔石の価格を公定価格で許される上限にまで吊り上げている。これは本來ならダンジョンの崩落など、産出量が極めて減し、なおかつ再び産出制を整えるのに資金の注が必要な場合の値にだ。
父の橫暴が許されているのは公爵という地位と、國魔石の大半がペリクネン領に由來するからだ。
「問題はこの価格なら取引するという額だ!」
「今、ペリクネン領で扱っている価格のおよそ半額、本來の公定基準価格の8割ですか……現在の公定価格の下限に近い値ですね」
この値の下限というのは、どちらかというと未な商人や冒険者などが商売で不當に安く買い叩かれないための値という意味合いが強い。
つまり本來はこの価格で魔石が売買されることのない値。
なるほど、商業ギルドも思い切った手を打つ。
この額はペリクネン公領と取引を停止しても問題ないという意図を明確に示してきたことになる。
「どうしますか?」
「急ぎ王に謁見し、ギルドに圧をかけさせる!」
ため息がれる。
なぜギルドがこの行を取れるようになったか、その理由を推察、調査することもなく、まず圧力を考えるのだから短絡的で話にならない。
これができるということは、なくともギルドが中期的にペリクネン領の産出量に匹敵する魔石を安価に手にれる手段を得たという意味だというのに。
それに公定価格の範囲だ。王家もまだかないと思う。
「では僕はギルドがどこから魔石を手しているか調査に向かいます」
圧力をかけるにしても、その対象は商業ギルドが魔石を手にれた先だろうに。
父の執務室を出る。
何の拠もなく姉の顔が浮かんだ。ツンと澄ました顔で、だがペリドットの瞳に愉悅を浮かべた彼の顔が。
どういう儀か奇跡か、ほとんど王都からくこともなく、彼はいきなり魔石の価格を半分にして見せたのだ。
ああ、“嵐《ストーム》”が來るのだ。
きっとそれはペリクネン公爵家を吹き飛ばすほどの大嵐なのだろう。
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