《【完結】前世は剣聖の俺が、もしお嬢様に転生したのならば。》第七話 新居家の食卓(テーブル)
「全が……痛い……」
朝自宅で目が覚めた私は凄まじい筋痛に見舞われていた。理由は分かっている。前世の……剣聖(ソードマスター)ノエルの魂が前に出たからだ。と魂の関係はよく分かっていないが、やはり男の魂にの、という歪な狀態は無理があるのかもしれない。
だからこそ、普段は新居 燈……としての意識を強く認(・)識(・)し(・)て(・)いる。そうでないと……あっという間にが悲鳴を上げるのだ。
中學生の時、KoRにスカウトされるきっかけになった降魔(デーモン)との戦闘。あの時私はノエルの魂を前面に出し、降魔(デーモン)を一撃で消滅させた。武を持っていなかったので仕方ないけど、結果まだ中學生のだった私は一週間ほど高熱を出して寢込むことになったのだ。
私が普段でも出せる能力は前世と比べるとかなり抑えたものだ。
限界までの全力、となるとどうなるのか分からない。昨日でもかなり抑えた狀態だったので、まだまだこのがついて行っていないのだろう。
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鍛えなければ……のろのろと痛むを引きずって、制服に著替えると私は一階へと降りる。キッチンへと向かい、私専用の棚から末プロテインの袋とシェイカーを取り出す。
そう、プロテイン……これは良いものだ。前世ではひたすらを食い続けて鍛えたものだが、この現世ではこんなに効率の良い栄養補助食品がたくさんあるのだ。シェイカーに末を放り込み、冷蔵庫からミルクを取り出して注ぐ。
蓋をして軽く振って攪拌すると、冷たく冷えたプロテインミルクを腰に手を當ててぐいぐい飲む。
冷蔵庫! これもまた素晴らしい。いつだってキンキンに冷えた飲みをいただける……プロテインミルクを飲み干すと、私は口についたミルクを指を使ってし拭い、指についたミルクをぺろりと舐めとる。
爽快が全を包む。前世にもこんな飲みがあったなら、私は毎日お腹いっぱいになるまで飲み干しただろう。
『剣聖(ソードマスター)ノエル・ノーランドがオススメする剣聖印のプロテイン!』
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とか自主的に宣伝までやっちゃう所存である……前世では広告代理店なんて無かったから、虛しい妄想でしかないのだけど。
「ああ、味しいぃー!」
「昔のプロテインは味しくなかったんだけどねえ、おはよう燈」
聲の方を向くと、現世の父親……新居 歳三(あらい さいぞう)が朝食のためにキッチンに降りてきたところだった。新居財団の総帥という肩書きだが、実際の運営は別の人間に任せて父親自は、ひたすらに売れない小説を書き続ける趣味人だった。それでも過去には一〇萬部以上売れた小説があるとかで、エッセイやシナリオライティングなどの仕事はちょこちょこけれるのだとか。
「おはようございます、お父様」
お辭儀をして私はシェイカーを洗う。我が家は一般家庭から考えるとかなり裕福な家庭だが、前世のように使用人がいたりとかは無い。家事は全部自分である程度行わなければならない。
洗い終えたシェイカーを水切りに置くと、朝食の準備を始める。母親はまだ起きてこないから、私が朝食を準備する必要があるだろう。
エプロンをつけてキッチンに向かい、手際良くトーストとハムエッグ、そして包丁を振るってサラダを用意していく。
「燈はエプロン姿も可いなあ、毎朝心が洗われるようだよ」
父親が心したように賛辭を述べてくる。まあ、お父様ったら、と笑顔で笑いながら朝食を準備していく。もう何年もこんなことやってるので、私としても慣れたものである。
「おはよう〜、燈〜朝ごはん〜」
「ねーちゃん早く朝飯〜」
母親の新居 碧子(あらい みどりこ)と弟の新居 多聞(あらい たもん)がテーブルにつく。母親はファッションデザイナーをしていると聞いた。たまに私を使って新デザインのサンプルを作っている。弟はまだ小學校六年生だ。ちなみに私は弟を親しみを込めてターくんと呼んでいる。
「手が離せないから、コーヒーは自分で淹れてくださいね」
朝ご飯を一家揃って食べながら、今の家族のことを考えてみる。私は結構この現世の生活が好きだ。家族を含めてしていると言ってもいい。
父親はまあ……ダメ人間……いや趣味の人だが、母親はビジネスマンで社會進出してそれなりの地位を築いている。の社會進出が課題となっているとよくテレビで問題視されているが、前世に比べたら天國のようなものだ。まあこれは比べる方が野暮というものだが。
弟はとても可い……私をみてもなんというか、そこら辺の男のように、憧れとかに満ちた目で見てこない。一緒に遊んであげると本當に喜ぶ……のはもう數年前か。最近はちょっと恥ずかしがってボディタッチがなくなった気がするが、それでも姉弟の仲としては良好だろう。
朝食を食べ終わり、キッチンで洗いをしながら昨日のことを考える。やはりし無理をしすぎた気がする。指のきもしおかしい。皿を支えきれずに落としてしまい、ガチャン! と大きな音を立てたお皿を一枚割ってしまった。
「あっ……!」
「姉ちゃん大丈夫?」
弟が心配そうに覗き込む。私の指にが滲んでいるのを見て、慌てて救急箱を取りに走っていく。ああもう、普段ならこういうのも落(・)と(・)す(・)前(・)に(・)拾(・)え(・)る(・)のに。し悔しい気持ちを抱えつつ、割れたお皿を片付けていく。傷口は大きくないがが出ている。水で洗って破片が混じってないか確かめていると弟が戻ってくる。
弟が絆創膏を取り出して私の傷口にろうとするが、まだが出ている。それを見た弟がパクッと指を咥えた。
「えっ? ターくん? ……んっ……」
音を立てて指を吸うと、すぐに口を離して絆創膏を用に巻く。しだけドキッとしたが、ああ、そうやってを止めてくれたのか。
私に向かって満面の笑顔で微笑む弟、あー、マジ可いわー、可すぎて食べちゃいたいくらい。お姉ちゃんターくん大好き。
「これで大丈夫!傷にならないといいね」
「ありがとう、ターくん。お姉ちゃん助かったわ」
笑って弟を見ると、し赤面した弟がぷい、とそっぽを向く。あー照れてんな、これは〜可い。ふと気になって橫目で時計を見ると……そろそろ家を出ないと間に合わない時間になってきた。
慌てて洗いを片付けると、急いで化粧をした私は家を出ることにした。
「それではお父様、行ってまいります」
「うん、気をつけてね」
指は絆創膏がってあっても、じくじくとした痛みを伝えてきていた。治りも遅いな……。ノエルの魂が前に出た翌日はいつもこうだ。
今のは前世のに比べて、とても華奢だ。記憶の中にある私のはかなりのマッチョで、中傷だらけだったが、とても鍛えあげられたであった。そのの差、魂としての強さの差などからバランスを崩して高熱や、筋痛、そしての回復力などに大きな違いが出ている可能がある。
「鍛えなきゃ……」
その後電車を降りて學校に向かって歩いている途中、友達のミカちゃんが歩いているのを見つけた私は聲をかけた。
「おはよう、ミカちゃん」
「あ、あかりん、おはよー!」
ミカちゃんは中學生時代からのお友達だ。黒髪をポニーテールにまとめ、背はそれほど高くない……とはいえ一六〇センチメートルあるので、この年代のとしては標準的だろうか。目がぱっちりとしていて、笑顔がとにかく可い……人! というじではなくキュートなじ、と言ってわかるだろうか。
私がこの學校をける、と話をしたらすぐに私もける! と決めてくれた。學力には多差があったものの、ミカちゃんは私と一緒に勉強を頑張ってくれて見事にこの高校に合格した。出校である板場中學の奇跡、とまで呼ばれているらしい。進學後も私の一番の理解者だと思っている。
私のとしての素地はミカちゃんが鍛えてくれたと言ってもいいだろう。何をしていいのか分からなかった私に丁寧に化粧や、振る舞い、そして々なスイーツ、遊びを教えてくれた。その中にはライトノベルや、テレビゲーム。現世で私がしてやまないジャンボチョコクリームスペシャルバナナパフェなどが存在する。
「ミカちゃん、私またパフェ食べに行きたい……」
「えー! あかりん先週も同じこと言って食べてなかった? し食べ過ぎだよ!」
考えてたら小腹が空いてしまう。あのパフェはいいものだ……ミカちゃんに伝わってくれぇ! ミカちゃんは笑いながら私のお腹周りを見ると……し悔しそうな顔をして続ける。
「でもあかりん細いからなあ……出るとこ出まくってるのに、どうしてそんなに細いのか知りたいよ」
「んー、運してると勝手に減ると思うんだけどね」
まあ、私の運は常人のそれでは無いので、実は比較にはならないのだが。ミカちゃんはし悩むような顔をした私を見て悪戯っぽく笑う。
「いいよ! 今日は……ちょっと難しいから、今度パフェ食べに行こうね、あかりん」
「やった! パフェ〜♪ パフェ〜♪」
上機嫌になって笑顔で鼻歌を歌い始める私を見て、本當に嬉しそうに笑うミカちゃん。
ああ、このような毎日が続いていたら、私も戦わなくて済むのかなあ? とふと思うのだけどね……。
_(:3 」∠)_ 剣聖印のプロテイン! とか宣伝依頼待ってます(オイ
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