「ああ……僕の神様。今日は犬の散歩なんて……しい……」

都の男子高校生、折田 隆史は彼が神と崇める、新居 燈がビーグル犬を散歩している様子をから眺めている。

彼は心の中で彼へのの詩を歌い上げていた。

『拝啓、麗しの君。

今僕は君が犬を散歩しているところを見ています。

君の名前が、新居 燈という名前であることを、先日青葉の學生より聞くことができました。

燈さん、なんてしい名前なのでしょうか？　僕は君という明かりに照らされたい。

燈さんの飼っている犬は……ビーグルなんですね、とても君らしくて可いです。

ああ、ビーグルが君の頬を舐めている、僕はビーグルになって……君の頬を舐めたい。

ああ、さらに君のスカートの中へ、犬が飛び込もうとしている……なんて羨ましいクソ犬なんだ。

僕はビーグルになって、君にされたい。しい神よ、いつか君のを僕にくれないか』

「よーし、いくよぉ。ノエル！」

新居家の犬、ビーグルのノエルが私が握るリードを引っ張って走り始める。ビーグルは猟犬として使われていた過去もある中型犬で、名前の語源は『開いた』という意味を持った犬種らしい。

私の家で飼っているノエルは普通のトライカラーではなくレモンカラーのビーグルなので、ブリーダーさんが言うには全の二〇パーセント程度しかこののビーグルは生まれないのだとか。

嬉しそうな顔をして、大きな吠え聲をあげて走るノエル……二年前に私が青葉進學が決まった頃にお父様にお願いをして飼った犬だ。

わざわざ悩みに悩んで前世の名前と同じ名前をつけたのは、私なりの前世との訣別かもしれない。

「こ、こら！　ノエル、顔はだめだよ！」

ノエルは尾を大きく振り、私に飛びついて私の頬を一生懸命に舐める。

前世にはこの犬種はいなかった……というか犬の犬種など気にしたことがなかったので、『犬』というを認識していただけなのだが、改めて現世で犬を見た時に……『可すぎる……ッ！』と私の乙な部分が超反応した。

というか前世の犬科のは基本的に大型で野犬化しているものが多く、ペットとして飼っているケースは貴族や王侯に限られていたので、私的には『ペットを飼うなんてなんてセレブな生活なのだろう』と満足が高いのである。

はあ、なんて幸せな時間なのだろう。私はノエルが私の顔を舐め回していることに小さな幸せをじている……ちょっと生臭いけど。

「あ、んっ！　何してるのノエル！　そこはダメ！」

だがしかし、ノエルは私の顔を舐めるだけに飽き足らず、スカートの中まで顔を突っ込み始めた。なんで天下の往來で……ノエルが興したように、尾を回転させている。なんてエロ犬だ……！

太ももにじるノエルの鼻息にしだけを震わせる私。

『……ノエルって名前がよく無いのか、もしかして？』

ふと浮かんだ疑問を押し殺して、私は顔を真っ赤にしながらもノエルのご行ではだけたスカートに四苦八苦しながら、興した前世の名前と同じ名前を持つわが犬を引き剝がしにかかる。

まさかとは思うけど、周りの人にスカートの中見えてないだろうな……視線をじつつもなんとかノエルをスカートの中から引っ張り出していく。鼻息が荒い……たまにこう言うところあるんだよなあ、ノエルは。

「も、もう……こんな場所で、だめでしょ。言うことを聞きなさい！」

朝の朗らかな日差しの中、黒髪が跳ねる。

夜の闇を凝したような黒い輝きを持つ長い髪が、風にたなびく。ビーグルが笑顔を浮かべる彼の頬を舐め回すたびに、周りの男陣の思いが一致する。

あるものは妬みを、あるものは嫉妬を、あるものはを心の中にじながらしい新居　燈の顔を容赦なく舐め回す犬へと視線を向ける。

『このエロ犬……羨ましすぎる、犬よ俺と変われ！』

困ったように犬を宥める度にたわわなが弾み、そのきだけでも男陣の目がそこに集中する。

なんてデカい……上下するに合わせて男陣の視線は上下にく。

そうこうしているうちに、丈の長いスカートを履いている燈のスカートの中へとビーグル犬が突していくのを目撃し、彼の様子を伺っていた男陣は皆同じ思いを共有する。

『神だ……神の犬が現れた……！』

新居　燈のスカートが犬の突ではだけてしまうが、ギリギリでその奧にある境へは到達していない。もうしだ、あとしで俺たちの冒険(ジャーニー)は終わるんだ！

ビーグル犬の尾がフル回転している様子を見て、周りの男陣は目が離せない。皆思いは一緒だ、その隠された奧地を……犬よ……俺たちをあの隠された黃金郷(エルドラド)へと導いてくれ！

そこには冒険者たちが目指す、ただ一つの財寶が眠っている。

『白か？　黒なのか？　それとも……もっとすごいのか！？』

だがしかし……犬は殘念ながら燈の手によって引き剝がされ、共通した男たちの強い想いは無慘にも散華する。しかし、男たちはお互いの顔を見て思う……俺たちは想いを今、共有したのだ、と。

かな満足を抱え、仮初の冒険者たちがその場より解散していく。そこには命をかけて隠された財寶を探した冒険者たちの魂の共鳴が確かに……存在していたのだった。

「最近休んでなかったから……ゆっくり休むよ」

あの後、先輩は一週間ほど院することになったと直接連絡をもらった。

戦闘で骨を折ってしまって部活ができなくなったことをかなり悲しんでいるようだったので、流石に助けてもらったのに何もしないのは悪いかなと思い、一度病院へお見舞いに行くことにしたのだけど……。

ドアを開けて病室へった私にあまりにたくさんの視線が突き刺さったことで、私は正直本気で揺した。

先輩の新祝高校の陣が驚くほどの數……そして鮨詰め狀態で病室にいたのだ。

新祝高校では先輩はテニス部のエースで、王子様(プリンス)と呼ばれているらしく、同じ高校ではない制服を著た私の出現を見て、彼たちは病院にもかかわらず大騒ぎとなってしまった。

『王子様(プリンス)とどういう関係なんですかっ！』

『もしかして……王子様(プリンス)の彼ですか！？』

『悔しい！　王子様(プリンス)の彼を呪ってやる！』

私は先輩とはバイト仲間でしかなく、人でもなんでもない、馴染でもないし、単なる赤の他人です、と必死に説明を繰り返したのだが、先輩がその度に悲しそうな顔をするのを見た取り巻きの子たちは信じてくれず……二度といかねえ……と心に決めることとなった。

『新居さんが僕のためにお見舞いに來てくれるなんて……僕は本當に嬉しいよ』

先輩がし頬を赤らめて話すもんだから、加熱した私への糾弾は數時間に及び……最終的に事態を重くみた病院の看護婦さんに私が叩き出されるという実に納得のいかない出來事が発生していた。

ああ、面倒臭い……どうして違うって言ってんのに信じてくれないの。昨日の出來事を苦々しく考えながら登校中の私にミカちゃんが駆け寄ってくる。

「あかりん、おはよう〜」

「ミカちゃん、おはよう」

今日もミカちゃんの笑顔が眩しい……ってあれ？　印象がし違うな。しだけ大人っぽくなったような……濡れるようなの輝きから、私はミカちゃんが新しいリップをつけてきたのだと理解した。

「あれ？　ミカちゃんリップ変えた？」

「ふっふっふっ、よく気がつきました！　あかりんの子力も鍛えられてきましたなあ」

ミカちゃんはすごく嬉しそうな顔をして私に顔を近づける……濡れたミカちゃんのに目がいってしまう。

前世ならここまで近い距離だと『ってんのか！？　ってんのか、バーロー！』とそのままコトをいたしてしまうケースもあったのだが、今の私は健全かつお嬢様な子高生である。

なので、奇襲でミカちゃんのを奪うなんてことはしないのである。

でもドキドキしちゃう、だってミカちゃん可いし私の前だと々ガードが甘い気がして……そのままを奪っても笑って許されるのではないか？　と私の中の男の心がぶが……まだ朝だと言うこともあって必死に我慢する。

二人きりの時にこんなに近かったら、私は我慢できずに陥落しちゃうかも知れない。

「全部ミカちゃんのおかげだよ〜」

「んー？　あかりん、もっと褒めてくれたまえよ。はっはっは」

嬉しそうに腰に手を當てて喜ぶミカちゃん。この子はとにかく明るい、そしてかわいい顔立ちなので男子の間でも実は隠れた人気のある子なのだ。

私と一緒にいることが多く、目立たない印象だが……男がよく私を見ている橫で、ミカちゃんをじっと見ている人も多い。

だから……いつかミカちゃんに彼氏ができる時は私がその彼氏を見定めてやろう、と思っている。変な蟲がつかないように私がミカちゃんを守るのだ、そうこれは今世の私に課せられた使命と言っても良い。

「異世界堂の新製品なんだって、ちょっと値段は張るけどおすすめだよ！」

「へー、ミカちゃんおすすめの異世界堂か〜、あそこの化粧品いいよね」

ミカちゃんが私の腕に自分の腕を絡めてくっつきながら話している。

近い近いですよミカちゃん。周りの男子生徒が羨ましそうな顔で見ているが、私とミカちゃんの仲を知っているので微笑ましく見えているはずだ。

教室に著くまで、私とミカちゃんは思う存分子力向上についての會話を楽しみながら歩いていく。

子高生二人が仲良く腕を組み、楽しそうに話しながら歩いている。

一人は長一七〇センチメートルを超えた……夜の闇を凝したかのような輝きを持つ長い黒髪を靡かせ、ブレザー越しでもわかる大きなバストと、スカートから除く白い足と彫刻のように整った容姿の。

もう一人は長一六〇センチメートル程度、黒髪をポニーテールでまとめて、人懐っこい笑顔を浮かべる可らしい。

全くタイプの違う二人だが、彼たちは古くからの親友である。

新居　燈と昭島　香子の二人が學前からの親友であることは有名で、二人にお近づきになりたい男子生徒は恐ろしく多い……ただ、彼らの間ではかに囁かれていることがあった。

二人の距離が近くいつも一緒にいる……つまり……アレでは無いかと。思春期にはちょっとありがちな同カップルなのではないか！　と。

くそう、そんな羨ましい関係なのかもしれないと思うと、男子生徒たちの妄想は膨らむ。

そして二人を見ていた男子生徒が気がつく。あ、今ちょっと昭島が新居のったよね！　絶対軽くんでるよねそれ！

青葉の漫畫同好會において、かに同人誌として百合本すら作られているという事実を……二人はまだ知らない。

_(:3 」∠)_ ありったけの夢を、かき集め〜。捜しを探しにいくのさ、ワン○ース！

「面白かった」

「続きが気になる」

「今後どうなるの？」

と思っていただけたなら

下にある☆☆☆☆☆から作品へのご評価をお願いいたします。

面白かったら星五つ、つまらなかったら星一つで、正直な想で大丈夫です。

ブックマークもいただけると本當に嬉しいです。

何卒応援の程よろしくお願いします。