《HoodMaker:馴染と學生起業を始めたのはいいが、段々とオタサーになっていくのを僕は止められない。<第一章完>》睡眠の重要とカクテルなんとか

「ふあ~~~~~~~~~~」

説明會二日目。開始20分前に到著した僕たちは教室の中央左端を陣取り、著席と同時に大きくびをする。

「ずいぶんと大きなあくびだね」

そう聞いてくるのは隣に座る奈々だ。

「昨日悟さんから貰ったゲームをプレイしてたら、思ったよりも時間かかちゃってさ……」

「え、ゲーム? むーくんってハード持ってたっけ?」

「いいや、まったく」

「もしかしてハードごと貰ったの?」

「まさかぁ。ゲーム機って結構高いでしょ?」

目をしょぼしょぼさせながら答える。こ

「最新版は確かに高いけれど、中古で一つ前の世代機とかなら諭吉一枚で買えるかも」

「んん~。諭吉一枚か~」

自分の薄い財布に、その一枚があったらと思うとが痛い。

「むーくんって妙な所でけちんぼだよね」

「仕方ないじゃないか。そういう生き方を選んでいるんだし」

「でもあったらあったで夢中になるでしょ?」

「うっ……」

そういえばいころ、近所の子で集まってアクションゲームとかやってたな。相手を場外にぶっ飛ばすやつ。確か配管工のヒゲ親父を使っていたっけ、赤い方。そういえばあの中で自分が一番弱かった記憶がある……。

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そのおかげでいつも……くっ。

嫌なことを思い出してしまった。

「じゃあ兄さんから貰ったのってテーブルゲームとか?」

奈々がサイコロを転がす真似をする。

「いや。そういったやつじゃなくて。パソコンでやるやつ」

「ほう」

「昨日はタイミング良くノートパソコン持っていたから、インストールから作方法、更に選択肢・行間の読み方とか々と、指導という名目で一緒にプレイしてた」

「なるほど」

これは盲點だったと奈々は手のひらを打つ。

「そのパソコンも悟さんのお下がりだし……」

うーん。あれこれと悟さんにお世話になりっぱなし。後日お禮しなきゃいけないな。

「それで、そのゲームってどういうの? パソコンってことはマイ○ラ? Ap〇x? アイ〇ス?」

「いや、多分そういったやつじゃなくて。うっ……」

眠気が酷い。

「大丈夫?」

「……やっぱり眠い。死ぬ」

頭の奧が凝り固まるかのような不快さにくらくらする。

し休んだほうがいいよ。始まったら起こすから」

「ううぅ。頼む」

機の上に突っ伏し目を閉じると、それだけで頭の中のアラームが鳴りやんだ。

人間のは本當に素直だ。睡眠の重要を全じている。

たった一日。たった一日でこれ。

もし、徹夜が続いたら?

それはきっと地獄だ。間違いない。すぐに神が崩壊するだろう。

うん。睡眠って大切。超大切……。

深い睡眠をとる為に深呼吸する。すると辺りの雑談が薄れ、意識が段々と沈んでいく。

ゆっくりと……。ゆっくりと……まるで催眠にでもかかったかのように。

それがとても気持ちいい。

周りの聲が段々と消えていく。

気持ちがいい……。

手足がどんどん融けていく。

気持ちがいい……。

もうしで意識が落ちる。

落ちる………

落ちる……

…………落ちる?

落ちきる前に思い出す。

一つ。カクテルパーティ効果

二つ。落ちるのはダメ。

カクテルパーティ? どんな意味だっけ?

落ちるのはダメ? 何でだっけ?

確か……。

「『スーパーなかむら』っ! 久しぶりに聞いた!!」

ピクリ。

周りの雑談を意識の外へ追い出たはずなのに、突然教室にいる子の聲だけがハッキリと聞こえた。

「『チョコカステラ』とか!」

ビクンッ!

「『秋』とは中三の時に遊んで以來かな?」

ビクビクッ!

「『凜』はどの學科なの?」

うっ!

が……意識が……反応してしまう。

この聲……どこかで聞いたことがあるような。懐かしい記憶。奈々の家でゲームをしていた。

あのゲームは確か最大4人でプレイが出來て、5人グループで集まっていた僕たちは順番を決めてプレイしていた。

奈々はあの頃からゲームが好きで一番強かった。勝てないのが悔しくて何度も挑んだのを覚えている。それに奈々以外の三人も結構強かった。

ああ。そういえば悟さんが提案したお菓子爭奪戦。あれは酷かった。あの時はみんな必死にプレイするものだから僕はいつもカモられていた。

『ハンデあり! アイテムは全部僕のだから! メテオ止! スマッシュ止! 開始十秒いちゃ駄目! つまり一回でいいから勝たせてって…………ああああああああ!』

そんなトラウマが蘇ってくる。

だからだろうか。

眠気を凌駕しを突きかす。

落ちてはいけない。

落ちるとチョコカステラが全部食べられてしまう。

悟さんが用意してくれたチョコカステラが!

世界で一番のお菓子が!!!

「ハメ技はやめろおおおおお!!!」

教室中に僕のびが響く。

「え、なに!?」

驚いて椅子から數ミリメートル浮き上がる奈々

「え、あ、ヨッ○シーは?」

の悪魔の姿を探す。

「吉田くんは今頃コンビニでバイトだけど……」

「いや、そっちじゃなくて………………あっ!」

…………。

周りから突き刺さる視線でようやく現実世界に返ってくる。

「……すみませんでした」

周りに向かって頭を下げる。凄く恥ずかしい。

左端の席にからさらに左端へ。真っ赤になった顔を隠すようにこまる。

「本當に大丈夫? 一緒に保健室行こ?」

「大丈夫……。なんか一瞬悪夢を見ただけ」

自己催眠とトラウマが見せたポンコツな自分の姿。

酷すぎる。

正直あれのせいで『ゲームハードを買おう』という考えがなくなった気がする。

それとさっきよりも神的に疲れている気がする。

ああ……説明會早く終わってくれないかなぁ……。

そんなじで一人憂鬱になっていると。

ちょいちょいっ!

うん?

右肩をつつかれる。

………誰だ?

ちょいちょいちょい!

「奈々どうかした?」

「ふえ?」

奈々は目をキョトンとさせている。

「あれ? 奈々、いま僕の肩つつかなかった?」

「してないけど…………」

「あれ? でも……」

奈々ではなない。ということは……。

「やっぱりだ」

「え……?」

聲のするほうへを向ける。自分たちの一つ後の席。

そこにはの子が二人。黒髪ロングでクールと茶髪のショートで明るめと対極的なキャラ。

「ひさしぶり~!」

「二人とも相変わらずだね」

懐かしい面々が笑顔でそこにいる。

うれしさと懐かしさ。それと同時に沸いてくる気持ち。再開に相応しいセリフ。

の、前に一つ。大事なことを言わなくては。とてもとても大事なこと。

それは……。

「スマ○ラだけは勘弁して!」

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