《HoodMaker:馴染と學生起業を始めたのはいいが、段々とオタサーになっていくのを僕は止められない。<第一章完>》子どもの頃好きだった「例のアレ」

懐かしい面子で歩く夜の公園。

再會して數時間経つというのに話題が盡きることはない。

奈々の隣で歩くのは『島袋秋』。茶髪で外ハネボブ、首回りや袖がゆったりとしたトップスにホットパンツを著こなす明るいの子。

そしてもう一人が『岸本凜』。黒髪ロングにUネックのTシャツ。子三人組の中で一番背が高く、すらりとびる腳が映えるデニムと真面目な雰囲気を纏う子。

今はそんな馴染二人と奈々と俺の四人で、昔のゲームが出來るお店で遊んだ帰り道。

夜でも明るい大通りから、昔を思い出す公園を橫切っていると昔のことを思い出す。もうここら辺も様変わりしてしまったけれど、心地いい雰囲気だけはそのままだ。そしてわす言葉も昔のままで。

「相変わらず禮夢はスマ○ラ弱いよね~」

クククッと笑う秋。

「僕のゲームは小學生で終わったから別にいいんだよ!」

そんなイジリにこちらも噛みつく。すると。

「それ私たちも同じだからね」

と、言い訳をする俺のを突く凜。

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「いやいや二人とも昔よりも強くなっていた! 絶対に!」

それでもと嚙みつき返すが。

「むーくんが弱くなった気がしなくもない」

今度は奈々がイジってくる。

そんなじで駄弁りながら。なんとなく遠回りしながら。僕らはただただ歩く。

それにしてもあんな場所があるとは。

ついさっきまで々と懐かしいゲームをプレイしたのだが、そんな場所があるだなんて全然知らなかった。もう家庭用ゲーム機をる機會なんて無いと思っていたのに。

それにしても、ああ……またカモにされてしまうとは。

だがそれも『アレ』のため……。

「秋、そろそろ例の『アレ』……け取りたいのだけれど」

店に行く前に持ちかけられた話を切り出す。

「うん……? ああ!」

催促するのは品がないと思っていたけれど押さえが利かない。店を出てからの振るえが抑えられなくなってきている。正直辛抱たまらない。

「ああ~ごめんごめん。そういう約束だったね」

秋が鞄の中から明な袋を取り出す。

あれだけアクションゲームは嫌だと騒いでおいて、何時間も付き合ったのには理由がある。

「はいどうぞ……ってこら! 急かさないでっ!」

「はううう」

飛びつこうとする僕を秋が片手でステイさせる。

「まったく……もしかして久しぶりにキメるの?」

「ああ。六年ぶり……だ」

「そういえば禮夢って昔から『アレ』に対して異様な執著心みせるよね……」

凜は昔を思い出したのか、引き気味にそう言う。

「むーくん、最近になってやっと斷癥狀が治まってきたと思ってたんだけど……」

「秋さま~早くお慈悲を~~」

「うわ…………」

秋の手に釘付けになっている僕を子三人が冷たい目で見つめる。

だがそんなことはどうでもいい。

「いい……から。ハやクボク、に……」

段々と呂律が回らなくなる。目がうつろになる。もう今にも飛び掛かりそうになる。

「うわ~なんかきがゾンビみたい~~」

グルルル……と、獣のようなうなり聲が腹の中から出てきたのを秋は笑っているが、こちらはもう限界、あとしで理まで飛んでいきそうだ。

「もう。仕方がないなぁ」

ようやく例のブツを見つけ出したようで、明な袋を取り出し……。

「キタアーーーーーーーーー!!」

「むーくん! めっ!!」

ペシッ!

飛びつこうとした僕の脳天に奈々のチョップが直撃する。

結構痛い……マジで痛い……

「ふんすっ!」

心當たりはないがどうやら今の奈々は超が付くほどの不機嫌らしい。

もしかして奈々もアレがしいのか?

「禮夢。これ以上ふざけると奈々拗ねちゃうよ?」

「どゆこと?」

「いや、もう十分嫉妬しているのかな」

凜が妙なことを言い出す。

誰が嫉妬だって? それって……。

「だって二人付き合ってい……」

「ああああっ! オスプ○イだあああっ!」

突然秋が大聲を出し遠くへ指をさす。

「え! どこどこ!!?」

奈々が目を輝かせる。

「ほら、あそこあそこ!」

秋の指先は黒く染まった空ではなく、ランニング中の人影を指している。

離れすぎていてよくわからないが、背が高く、たくましいつきの男だ。だがに隠れて顔がよく見えない。

「うーん。ここからじゃ分からないよ~」

「あの髪型、型、そしてのこなし間違いないって!」

「どうしよう。聲かけていいかな……でもプライベートだしなぁ……」

人影はどんどんと遠くへ行ってしまう。

「はわわわわ!」

つい先ほどまで怒りはどこへやら。しまいには「どうしよう、どうしよう」と、その場を行ったりきたりしている。

「え、どこ、音しないんだけど……?」

そんな中で凜の目線は空高く、見えない何かを探している。

「そっちじゃない」

「どっち?」

正しい方へ凜の顔を向けさせるも、既に人影は闇の中に消え、そこには興する奈々がいるだけ。

「えっと、奈々があんな反応するってことは、アニメとか、特撮とか………あとプロレス関連の人だと思う。だから空を飛ぶやつでは……」

どうやら凜と奈々で食い違っているようなので、丁寧に説明しようとする。

だがしかし。

「オス○レイ飛ぶもん! めっちゃ飛ぶもん!」

聲をかけるのを諦めたのか鼻息荒くこちらに戻り、こちらの邪魔をする。

「前方に630度回転とか720°錐み回転とかするもん! 月面宙返りなんて朝飯前だもん!」

「あの巨(14メートル)で!?」

「そう! あの巨で!(185センチメートル)」

違う。違うぞ凜。それではないんだ。奈々の関心はいつだってサブカル一なのだから。

「ほへ~~~」

って、おい。

奈々の熱量に押されたのか、その頭の中ではドッグファイトをしている航空機がいるようだ。出來るかは知らないが。

「えーと凜さんや」

「はい?」

「もしかして……昔より馬鹿になった?」

ここぞとばかりにゲームでけちょんけちょんにされたお返しを一つ。

「な、なんですとぉ!!」

そこにはクールな姿はなく、耳まで真っ赤にさせた黒髪がいる。ふむ良いリアクションである。

「まあまあ。みんな落ち著いて」

そんな報の差點に止まらず突っ込んでいく僕らを、秋がを張って止める。

多分その原因を作った張本人だとは思うけれど。

「禮夢ほら。お目當てのもの」

差し出された明な袋。どうやら本題に戻ってくれるようだ。今度はちゃんと手の屆く範囲にある。

「おおお! ありがく頂戴……いや、どうせまた……」

こちらも疑心暗鬼になっている。また邪魔がらないか左右の虎に目をらせるが、どうやら諦めたようだ。

「もういいからさっさと済ましちゃって」

ポンと『アレ』がった袋がようやく僕の手に納まる。

長い。長い旅だった。いくら探しても見つけることが出來なかった。

近所の商店が消え、スーパーが潰れ、何処かしこもコンビニだらけ。

そんな店に懐かしい匂いはじられず、時には似たようなものはあったがそれらは所詮はニセモノ。

ああ……こいつには勝てないのだ。

「そ、それじゃあ早速!」

袋の中に手を突っ込む。冷たいものと一緒にれていたのか、表面が冷たく、べた付かない。

鼻に近づけてみる。匂いではなく香り。香りを味わってみる。

うーん。

……………。

特にありません。強いてあげるなら甘ったるいじ。

って……。違う。そうじゃない。大事なのはこの後だ。

ぱくりっ!

まるごと一つ口の中に放り込む。

もぐもぐ。もぐもぐ。

………。

………。

「あああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

「うめえええええええええええええええええええええええええええ!!!」

「ひゃっふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

「これだよこれええ!」

「僕ずっと君(チョコカステラ)だけを探し続けていた!」

「會えて……………良かった!!!!!!!(漢泣き)」

一口でドーナッツ形の駄菓子を平らげる。

何度も……何度も。

すると口に広がるのは宇宙。

つまり永遠に続く世界。

それを続ければさらにその先へ!

闇をも超えて全ての起源へ!

白白白!!

白だけの世界へ!

が上へ上へと昇っていく。

ああ! うっすらだが見える!

無限の報が書き綴られる『扉』『扉』『扉』への道。

これが真理! 真理なのか!?

ならば語らずにはいられない!

いや語らなければならない!!

そうだろう!? そうなんだろう!?

「{【『もちろんだとも』】}」

「祝え!」

「君(チョコカステラ)が生まれてきたことを!」

「祝え!」

「我々のの再會を!」

「祝え!」

「彼と僕のを!」

「君は世界で一番しく! そして世界で一番神で満ちている!」

「外側のビターなチョコとめちゃ甘なドーナツの融合!」

「単ではなく口の中でオーバレイすることで最高のネットワークを構築し」

「全脳をカットビングさせる!!」

「そしてこの絶妙な大きさとらかさ!」

「子供なら三口! 大人なら二口! 僕なら一口サイズ!!!」

「お年寄りからキッズまでみんなを笑顔にしてくれるマジカルスウィーツ!」

「更に! 鼻につかない立ち位置!!」

「一つ10円!? 一個10円!!!」

「十個買っても100円! 稅込みでも110円!」

「百個で1100円! ATMから全額ドローしても30000個!!」

「これなら彼でマイホーム(お菓子の家)が立てられる!」

「ゆえに!」

「ハイパー大・満・足!」

………。

……。

「……っは!」

気づくと僕は自販売機の上で演説をしていた。

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