《HoodMaker:馴染と學生起業を始めたのはいいが、段々とオタサーになっていくのを僕は止められない。<第一章完>》奈々サイド

~奈々視點~

「禮夢どこまで行ったんだろう。電話も繋がらないし……」

凜ちゃんが換したばかりの番號を鳴らす。

「奈々ごめんね……私、分かってたのに……」

「ううん。大丈夫だよ……」

「私も……」

二人が心配そうに私を見ている。

「……ううん。むしろ私のほうこそごめんなさい」

私は深く頭を下げる。

「二人が一緒だったからつい大きく出ちゃった……大丈夫だって思い込んでた」

半年前の件も自分に影響していたのか、今思い返すと大膽な行だった。

例の件も、もっと年を取って笑い話に出來るタイミングで話せば、いや…………二人にとっては既に笑い話になっていた。

私だけがもうし時間が必要だった……。

私だけがまだ大人になりきれていなかった。

私だけが子供だった。

反省しよう。

私は大人にならなければいけないのだから。

それに今日は懐かしい友達と再會した日なのだ。

私のせいでこれ以上悲しませてはいけない。

よしっ!

「むーくんの事だから直ぐに戻ってくるって!」

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二人に明るく振舞ってみせる。

「いざって時は私に任せて! 一応メッセージに既読ついてるし、多分顔真っ赤にしてそこ等へんにのた打ち回りながら『死にたい……』とか言ってるんだよ! 大丈夫大丈夫!! 喧嘩なんていっつもしてるし、それに『告白』だってシラフでも、一回されてるから!」

……あっ。

「ええ!!!」

「ガチ告白!? そ、そそそそ! それって!?」

しまった! つい口をらしてしまった。

「いつ!? どこで!? だれが!? なにを!? どのように!? 超絶分かりやすく明確に答えて!! 三行で! 40秒で!!」

凜ちゃんが迫ってくる。

「そこに『何故』はないんだね」

「そこはわかりきってる事でしょうが!?」

ぐぬぬぬ。

「え、えっと。今のは聞かなかったことに……」

あまりにも食いつきが良すぎてちょっと怖い。

「無理…………ダネフシャ!」

「ゼニゼニッ!(無理無理)」

どうやら二人とも私のレベルでは言う事を聞いてくれないようだ。

「ほ、ほら。今はむーくん探しにいかないと……」

「大丈夫大丈夫。分布図は分かっているから。そこ等辺の草むら歩いてれば飛び出してくるって」

秋ちゃんがスマホ片手にそう言う。

「なんかさっきまでの態度と違くない!?」

「とびっきりの餌を撒いた奈々が悪いんじゃないかな?」

くっ! こうなれば、この窮地をする方法はアレしかない。

「なぁ~んちゃって☆ 実は今の全部噓☆」

高校の文化祭で話題を呼んだ私の演技力!くじで選ばれたお姫様役だったけれど、半月の特訓は私に度と発聲方法を與えてくれた。

「あ、あははははは。ゴメンネー(棒)」

どうだっ!!

「はいはい一文芝居はいいから詳細プリーズ!」

三文ですらない!?

こうなると、どうにかこうにか引きばしてむーくんが帰ってくるのを待つしかないか。

…………あれ?

これってむーくんが帰ってきたら余計にこじれるのでは? というか詰む?

ええ、まさかの無理ゲー!?

「り、凜ちゃん? こんなの聴いても別に面白くとも何とも……」

「大丈夫。面白いか面白くないか、それは私たち消費者が決めることだからね」

そう言ってにやりと笑う。

「消費者! 私の立場って一!?」

「まあまあ奈々落ち落ち著いて」

そこで更に秋ちゃんが追い打ちをかけてくる。

「昔から言うじゃないの。良いやつは悪い。悪いやつは良い。おネタは天下の回りもの。どちらも味しくいただかれるのは仕方がないってさ。それにほら、週刊誌がよくスキャンダルとか出すけれど、今はその気持ちがよく分かるよ。だってさ。こういうのは意外と『飽きない(商い)』だからね!」

「上手いっ!(泣)」

秋ちゃん言いくるめの技能値振りすぎじゃない?

「……って! 違う! 何が違うか分からないけど、違うの~!」

必死に抵抗も空しくコーナーへと追いやられていく。

……逃げ場がない。武もない。

こうなると出來ることは一つ。無駄死にだけは回避せねば。

「分かった……話すよ」

「ようやく素直になってくれたんだね。私うれしいよ♡」

凜ちゃんが甘い聲を出す。

それをほかの男子にすればイチコロのはずだよ? 私に無駄打ちしないで? というかとっくの昔に墮ちているから。

「さあ聞かせて! うれしはずかし朝帰りな語を!」

「うまい言い訳考えていい?」

「ダ~メっ♡(無慈悲)」

いい笑顔です。

いい笑顔過ぎてほんと『くっころ』です。

とはいえここで負けられない。

となると後は最終手段。神様だよりに念を込めて渉に出る。

「おねが~い♡ (ここは友を信じる)」

「ここで逃げられると思って?(それ數年前の話だから)」

すると凜ちゃんと秋ちゃんも言葉の裏に本音を隠して返してくる。

「でも~~(友は!? ねえ熱い友は!!!?)」

「時間ないんだってば~♡(そんなことより告白について知りたい:凜)」

「でも~半年前の話だし~あんまり覚えてないかも~♡(そ、そんな! それでも………私は……私は今でも、秋ちゃんと凜ちゃんのこと、大好きだよ?)」

「それはそれ~~~これはこれ~~~♡(ざっくりでいいから。禮夢が戻ってきたら面倒でしょう? まあ……私は奈々のこと好きだよ:凜」

「くぅ……じゃあ仕方ないなぁ……(凜ちゃん! ありがとう! 大大大好き!)

「よしよし。隠し事は駄目だぞ~(私だって奈々のことしてるから!:秋)」

「いや~ん。こ~わ~い~♡(秋ちゃん! それの告白! よし結婚しよ!」

「もう~こわいじゃないの~♡(ねえ! 私は私は!?:凜)」

「じゃあ~告白された場所は~♡(凜ちゃんも結婚しよ! 幸せな家庭つくろ!)」

「うんうん~♡(やったぜ!:凜)

互いの想いは通じ合ったと思うが、話の流れは止まらない。

「文化祭の準備中に誰もいない空き教室で~確かか夕日が窓から差し込んでいて」

私はあの日の出來事を口にしようとする。すると。

「…………………ちょっと待って」

「二人きりになったときに…………………はい?」

「うん…………待って」

急に二人がもじもじし出す。

「二人ともどうしたの?」

「むーくんが私にしてくれたのメッセージを事細かに聞き出して愉悅したいんじゃないの?」

「なんかが苦しくて……」

「私たちじゃなくて、別の……男の話を聞かされると、なんだろう…………苦しい」

おっ!

「それで二人きりのとき~」

「うぐっ………」

「禮夢が急に迫ってきて~」

「くっあぁ………」

「『文化祭。一緒に回りたい場所があってさ……』」

「やめてえええええええええええええ!!」

「もう。二人とも急にどうしたの~」

「で、その続きなんだけど」

「ちょ………」

「『お前とじゃないと…………駄目なんだ』って壁ドンしながら!」

「あああああああああああああああ!!!!」

あれだけ話を聞きたがっていた二人が頭を抱え、耳をふさぎ、私の話をさえぎる。

「だ、駄目だ。この話は止めよう」

「よくわからないけれど、凄くが痛い!」

「そっかーならしかたないねー」

「あははははは」

…………。

…………。

……………勝った。

二人に気づかれないよう顔をそらし、にやりと笑う。

今回は々の犠牲で済んだ。むーくんには悪いがコラテラル・ダメージだ。

それにこの後のほうがもっと酷い。

酷すぎで涙出るくらい。

「さてさて。いまから聞かん坊でも探しに行くとしますか」

「まったくもう……………私がいないと駄目なんだから♡」

「ぐはっ!」

「二人ともどうしたの?」

何故か。二人が再びダメージを食らっている。

何もしていないのに…………。

「奈々ぃ………なんて恐ろしい子に育ってしまったの……」

「でも……そこが良い!」

………。

……。

…。

* * *

あの告白はれちゃいけない。だって彼は……違う形で、違う未來で、幸せになってほしいから……。

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