《HoodMaker:馴染と學生起業を始めたのはいいが、段々とオタサーになっていくのを僕は止められない。<第一章完>》全員集合とネットスラング

~禮夢サイド~

「誠二……打ち合わせ通りに頼む」

「オッケー。任せろ」

酔いも収まってきたのか、さっきよりもけ答えがはっきりしている。

「なんだ。このじも久しぶりだな」

「今回、子三人組もそろっているんだろう?」

「ああ」

誠二との再會でどうにか心を落ち著かせることが出來た。

奈々たちはこちらに向かっているらしく、僕たちも合流地點に向かっている。

しかし問題は解決されていない。

そこで誠二に相談しプランを組んだ。

これでどうにかなるはず……。

「なあ誠二?」

「なんだ?」

「僕って本當にチョコカステラを食べると暴走するのか?」

もしかすると子陣の噓である可能もある。

だってあの三人は昔から僕をからかうのが楽しくて堪らないのだ。

「それに関しては殘念ながら事実だ」

第三者の証言に肩を落とす。これは冗談であってしかった。

「あとな…………もう一つ禮夢に伝えないといけないことがある」

「え、なに?」

なんだか嫌な予がする。

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何だろう。それは聞き返してはいけないような、ここで話題を変えないといけないような。

とにかく馬鹿デカイ弾が目の前に迫っている。そんなじだ。

「えーと、落ち著いて聞いてくれ。これは子三人組から聞かされるとかなり不味い。だから俺の口から言わせてもらう。これはお前の親友としてだ」

やたらと真面目な口調で諭してくる。

「親友も何も6年も會っていないんだが……それに今じゃあ未年のくせして酒飲む不良だし」

話をはぐらかしてみる。

「酷い言い草だな。それにアルコールを自分の意思で摂取した訳じゃない。ほら、このロング缶は酒じゃなくてオレンジジュース。アルコールはこのお土産のチョコの中に……」

「はいはい。言い訳はいいから。それにアルコールの臭いがするレベルってどんだけ度數高いの」

「多分……4パーぐらい?」

「4パーセント!? 高くない?」

「一応これは職場の先輩が海外からのお土産で……」

「だとしてもあの酔い方は…………うん?」

待てよ。その先輩、もしかしてわざと誠二に……?

「というか何で一気に食べたんだ? もしかして嫌なことがあったとか?」

そう尋ねてみると誠二の顔が変わる。よほどのことがあったのだろうか。

となると、そのせいでこのウイスキー○ンボンを一気食いした。そう考えることも出來る。

「ごめん。変なこと聞いて」

「気にするな。社會人になれば嫌な思いなんて幾らでもするから」

「お、おう……」

一言一言が重い。

目がまったく笑っていないところなんて恐怖すらじる。

「おっと。それでな」

あ、しまった。

話が戻ってしまう。

「確か話では、秋が10回。凜が15回以上。奈々には99回告白したんだな?」

「まったく記憶にはございませんが」

「だから、駄目……なんだよ」

「それさっきも言われた!」

「ガチで駄目駄目じゃん」

「ううぅ……」

酷い言われようだ。

うん? 待てよ。と、いう事は………。

「俺は100回以上だ」

「ナニガ?」

「それを言わせないでしいんだが……」

……………………………………………。

「ぎゃ嗚呼ああああああああああああああ!!」

「禮夢! うるさいぞ!」

「ちょっとまって! それ灑落にならないから! まさか! ……みんなその事……」

「もちろん知っている」

「……終わった。僕の人生ボドボドだああ!」

目から一粒。涙が流れる。

「ええ! 何泣いてんの!?」

「だって僕がホモって。僕がホモって思ってるから奈々が! きっとそのせいで振られたんだあああああ」

ベシッ!

誠二のチョップが僕の脳天をかち割る。

「ぐはっ!」

ベシッ!! ベシッ!!! ベシッ!!!!

計四発のチョップが飛んできた。結構痛い。

「あほか! 何故そんな解釈になる!?」

「だって……」

「『ホモは噓つき』だって」

「つまりホモは噓つきで、泥棒の始まりで、犯罪者だって……!」

「誰がそんなこと……」

「悟さんが昔『ホモは噓つき』だって言ってた!」

「…………」

べしっ!

「あいたっ!」

「禮夢ってさ。SNSとか使ってる?」

「使ってはいるけど……?」

「ネットスラングとか調べたりは?」

「ネットスラング?」

「はあ……これが弱というやつか」

「誰が弱だって!?」

「そこは分かるの? その意味は?」

報弱者。報・通信技の利用に困難を抱える人のこと。センター試験の勉強しているときに出てきた」

「な、なるほど……じゃなくて!」

かくかくしかじか…………。

誠二からざっくりとその意味を教えてもらう。

「…………と、言うわけなんだが」

「は、はぁ?」

正直理解できない。

「なぜ僕はいきなりホモビについて説明されているんだ?」

「そういったものが若者を中心に流行っていた時期があったんだよ……」

「なにそれ、僕そんな時代知らない」

「ふふふ。そうだよな。もう今の時代はつべオンリーだもんな」

「頑張ってニコ○コ畫」

誠二よ。そんな遠い目をされてもよくわからんぞ。

とりあえず後で検索かけてみるけど……。

「というか元兇の悟さんは何を教えているんだ?」

「教えてもらっているというか、最近はその後ろ姿を盜んでいるというか……別にオタクになろうなんて考えている訳じゃなくて。お世話になっている人についてしでも理解できたらいいなって、そう思ってさ……」

仕事も趣味も充実している悟さんの後ろ姿を思い起こす。

「ま、まあ。その心がけはいいけれどさぁ」

「だから――――今は『ギャルゲ』ってやつをやってる」

「はい?」

「一応今は5本ぐらいプレイする予定で」

指折りしながらタイトルを挙げる。

「確か――キラ○キラ、車○國、素○らしき日々、マブラ○、white ○lbum2。あ、2のやつは1プレイしなくても問題はないらしくて…………うん?」

「…………」

「どうした? いきなり固まって?」

誠二は両手を腰に當て、ふうとため息をつく。

「いや、これが花嫁修業ならぬ花婿修行ってやつかと思って……」

「はい!?」

「奈々って悟さんに負けず劣らずのサブカル好きだったなぁって」

そして遠い目をする。

「えーと、別にそんなつもりは」

「どうせ。ちゃんとした告白するつもりなんだろう?」

ぎくりっ!

「あ、いや……その……」

しどろもどろになってしまう。

「どうした………………って! まさか!?」

察しのいい誠二は驚愕の表を浮かべる。

「半年前に振られてる……というか付き合ったことだってない」

「うそでしょ!? 悟さん公認じゃなかったのか!?」

「公認でも本人の気持ちはまた別だから」

「ちょっと待てって……それじゃあプラン総崩れなんだけど」

「そうなの?」

「そうなの!!」

男二人して顔を突き合わせ言い合いをしていると、後ろから聲をかけられる。

「なにが総崩れだって?」

「よからぬことを考えていても私たちには通用しないからね?」

「…………」

だらだらと喋り過ぎたのか、いつのまにか合流地點に到著してしまっていた。

いや、陣がこちらまで來たのだ。

ま、まさかプランを潰す為に!?

「誠二……どうしよう?」

「うーん。……これは諦めて真正面からぶつかるしかない」

「あはは…………まじか」

ああもう。

これじゃあ二人とも苦笑いするしかない。ただそんな顔をしていても前には進めない訳で。

すう。はあー。

僕は大きく息を吸い、真っ直ぐ三人を見つめ。

「誠に申し訳ございませんでした!」

そして深く頭を下げる。

今の僕に出來ることは謝ること。誤ってしまったなら謝るしかない。それしかない。

「例の件を過去のことだって言い訳はしない。大のことは誠二から聞いて、本當に反省した!」

そして相手を傷つけたのなら、それ以上の傷を自分も背負うこと。

「代わりに今の僕にできる事があるのなら、それこそなんだって!」

そうなんでも……。

「くっくっく! 今、なんでもって言ったよね?」

沈黙を守っていた奈々が一歩前へ出る。その言葉を待っていたと言わんばかりの言質狩り。

「あっ。えーと。確かにそうは言いましたが……」

怒っていると思い込んでいたけれど、今の奈々し楽しそうである。

そんなの反復橫飛びに困していると。

「はいストップ」

そこに誠二が間に割ってってくる。

「みんな久しぶり! ざっくりとした話は禮夢から聞いているよ……例の回數もねえ~」

語尾に笑いが含まれていて、まさかの助っ人からも言葉で刺されるがここは我慢。

「そこで俺から一つ提案」

「提案?」

奈々たちが食いつく。

「ああ! 提案だ。とっておきのね!」

………。

……。

…。

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