《HoodMaker:馴染と學生起業を始めたのはいいが、段々とオタサーになっていくのを僕は止められない。<第一章完>》誠二は一何者なのだろうか

ドローンの作は功していた。なくともそう見えていた。だが海面ぎりぎりで停止したドローンを、突発的な波が襲った。

正しくは壁で跳ね返った白波を浴びてしまったのだがそんなことはどうでもいい。

ドローンの姿はどこにも見えない……。

全員が突然目の前に現れた白い壁に呆然。凜に至っては目のハイライトが消えている。

「あわわわわわわ」

「ま、まだ間に合うはず!」

する奈々と慌てて海に飛び込もうとする秋。

「い、いや、僕が行く!」

それを制止し前へ出る。靴をぎ、柵に手をかけ、一度海面を凝視する。

ドローンが飛んでいた辺りにそれらしい影は見えない。

まじかっ!

思った以上に事態は深刻だ。見つからなければ數萬円がぱぁだ。まずは飛び込んで、上からの捜索は奈々たちに……。

「ストーーーーーップ!!」

が半分柵の外へ出かけたところで、ベルトを強く引っ張られ、その勢いのままひっくり返る。

「痛った。なにすんだよ……って、へ?」

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振り返ると、そこには僕と同じようにタブレットを片手にもちをついている誠二がいた。

「落ち著けって、ドローンは死んでないから」

差し出されたタブレットを覗いてみると、そこには5人の男が映っている。

ただし頭だけ。これは……。

「あ、いた!」

先に空を見上げていた奈々が指をさす。上空で制止するそれは、明な糸でい付けられているようにかない。どうやら本當に無事のようだ。

「ああもう~驚かすなよな、凜……」

どっと肩の荷が下りる。

「なに~、これ誠二たちの仕組んだどっきりの~?」

その問いに僕と誠二は首を橫に振りきっぱりと否定する。

「何かしらするだろうと思っていたけど、流石にこれだけのドッキリを仕掛けられるとは思ってなかったって…………そうだろう、凜?」

冷めやらない様子で誠二が回答権を凜へ回す。

「…………」

「……凜?」

しかしその振りに対して凜はピクリともかない。

「凜ちゃ……………………………え?」

言葉に詰まる奈々

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そのただならぬ様子に再び場に張が走り。

「り、凜ちゃんが……凜ちゃんが―――――――――――――――――死んでる」

その場が凍る。

* * *

人間というものはの危険をじる出來事に襲われると、火事場の馬鹿力のように普段は見る事の出來ない力を発揮するものだが、それは筋力に限らず驚異的な集中力を発揮する場合もあると……僕は考えている。

殘念ながら僕自験した訳ではなく、今回のように外野として観測する程度ではあるが、あの絶絶命的な狀況でドローンにれて數時間の人間があれ程のテクニック、いや、奇跡を見せたのだから、多の信頼はあると考える。

しかしその対価はそれ相応のものであると、誰だって予想は出來るだろう。それこそ若いであっても想像を絶するような負荷がかかり、馴染であり岸本凜はその命を……………。

「って、人を勝手に殺さないで!!!」

それっぽい導をかき消すような怒聲が辺りに響く。

「だ、だってー! いかにもって場面だったもん!」

「あーもう! ややこしい!」

どうやらあの時、咄嗟にエスケープしたのは良かったが、周りの反応で自分がミスを犯したと思い込んだようだ。上手いとはいえ、見失えばどこを飛んでいるか分からなくなるだろう。

カメラの映像もこちらのタブレットに切り替えていたし、混するのも無理はない。

ただ、張のあまり気絶するのは……なんというか。自業自得だろう……。まあ數秒程度だけど。

そこらへんも含めて一部始終を話すと

これまた失神していた人間とは思えない元気な反応が返ってきたというわけで。

「それよりも、ほら!」

気味の凜をなだめ、目線を凜から誠二へやると、気まずそうに姿勢を正しそちらへ向き直る。

「ううっ…………その誠二くん、ごめんなさい」

凜が頭を下げる。

「うーん。まあ『ミスするな』って忠告は守ってくれたわけだからさ。大丈夫、気にしないで」

一歩間違えばドローンを紛失または破損させる可能があったが、凜を責めることなく、むしろ気遣うの広さを見せる。

「そうなのかもしれないけれど……みんな、ごめん……」

調子に乗りすぎていた事を今になって後悔しているのか、段々としおらしくなる。

さてどうやってフォローれようか。ここは子二人に任せた方が無難だが……。

「それよりもさ、さっきの出。もう一度見せてよ」

「え?」

僕が考えるよりも先に誠二が案を出す。

「いや~さっきのあれ、全員見逃したでしょ?」

全員一様にうなずく。

「タブレットで確認したけれど、どういったきをしているのか全く分からなくてさ。だからもう一回みたいなぁって」

ナイスフォローである。

おかげで凜の強張った表が緩んでいく。

「それと出來ればでいいんだけれど、カメラ回してもいいかな?」

「カメラ?」

「さっきのやつ、結構數字取れるかと思って」

この狀況でカメラと數字と言われ思い浮かぶのは。

「もしかして誠二くん畫投稿してるの?」

僕の考えよりもの先に奈々が正解を言い當てる。

「まあね。始めたのはし前からなんだけど、知り合いから勧められて」

「あ、それってチックタックとか?」

「それを言うならTik〇〇k。一応ったことあるけれど、そっちじゃない」

苦笑気味に秋の質問に答える誠二。

「世代でかなり傾向が別れると思うけど……秋はやってる?」

「ノーだね。でも……興味はある!! やってみたい!」

畫投稿に関心があるのか、秋は目を輝かせ話の続きを催促している。

そこで奈々ぼそり。

「そんなのよりニコニ〇畫の方が絶対いいと思うんだけど……」

隣で聞いていた僕はその言葉に飲んでいたジュースを吹き出しそうになる。

「うん? なにか言った?」

「な、何でもないよ!」

どうやら他三人には聞こえていなかったらしい。

あーもう。この子はなんで僕だけ聞こえる大きさで変化球投げるの?もしかしてわざと? わざとなの!?

僕が一人頭を抱える中、誠二たちは和気あいあいと話を続ける。

「というか、元々そのつもりだったんだよ。毎日投稿しているわけじゃないけれど、ネタと素材はいくらあっても足りないからね」

「じゃあさっき、店で寫真撮っていたのも?」

「あ、それはインスタとFB用」

「え! 二つともやってるの?」

「うーん。まあなんとなくね。二つというか、新しいのが出たら手を出すってじ。メインはその二つってだけ」

あれこれと手を出している誠二のアグレッシブさに秋と凜は心している。

「誠二くん、ツイ〇ターは? ツ〇ッターは?」

「時々見てるよ。でもあれは見始めると止まらなくなるから、ほどほどにしてる」

「分かるっ! 気が付いたら朝になってるやつだ!」

激しく同意した奈々はぶんぶんと首を縦に振っている。

「朝までって……」

「大丈夫。毎日じゃないから。週末だけだから」

「じゃあ平日は?」

「二時まで」

うーんこの子。將來ダメになる気がする……。

あ、駄目と言えば……。

「そうだ。一応だけど誠二、こういうの簡単に話して大丈夫なの?」

一つ気になった點があったので聞いてみる。

「うん? 今の何か問題になりそうなところあった?」

「まあなんというか。SNSって人に知られたくない部分もあったりするから」

「知られたくないって?」

「言いづらいんだけど、時々イラっとさせるタイプの人……いるじゃん?」

「いるいる~!」

奈々のにちゃあっとした顔。

「…………………奈々し黙っててくれない?」

思わず釘を刺してしまう。

やはり自分の土俵になると急に舌が回るところはやっぱり生粋のオタク。であるが故に、このまま乗っかると話がとっ散らかるわけで。

「ツイ〇ターネタは後で拾うからちょーっとだけ我慢お願い」

「むー……分かった」

納得したようでまだぶすーっとしている奈々を、秋が頭をなでて機嫌を取る。

ちょっと羨ましい。

「えーと。話の続きだけど、SNSで人と繋がるっていうのは『友達の友達』つまり『フォロワーのフォロワー』とも間接的に繋がっているってことでしょう? 拡散したり、お勧めに上がってきたり。だとすると、そこも見せたい相手と、見せたくない相手がいると思う」

更にここからが大事で。

「友達はいいけれど、親とか職場の人とか、近な人間には言えないこともあるし、どちらにしろ、簡単に言っていいのかなぁって」

気の使い方は人それぞれ。だからこそ聞いてみないと分からないこともある。

「まあいいじゃない? このメンバーならさ」

「あれ、サラッと言うね」

そんな心配を高く空へ放り投げてしまう。

「うーん。まあ~。これは心構えがほかの人と違うからかな」

誠二はそう語るが普通はそんなこと考えない。

「俺はSNSを含めてネットでの発信することは、人前に出て喋るのと変わらないと思っている。例えそれが匿名であっても。だからルール決めて投稿してるよ」

「ルール?」

そこからし長い誠二の持論を皆で話し合うことになる。

それはし変わった考え方だ。

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