《HoodMaker:馴染と學生起業を始めたのはいいが、段々とオタサーになっていくのを僕は止められない。<第一章完>》奈々は一何者だろうか

……さて。

子二人を連れて先に行く誠二を見送り、奈々と前回の件も含めて話をする。

「もしかしてわざと言ってる?」

「わざと? 何の話かな?」

「ボケ全般」

これは彼の悪い癖と言えばいいのか、それとも何かしらの意図があってやっていることなのか、時に寒いギャグを挾んだり、時に人のパーソナルスペースに踏み込んだり、今日にいたってはそれを僕の隣で小さな聲で、僕にだけ聞こえるように口にしていた。

の下で自分の元に風を送る奈々

「あれはボケじゃないよ~~。なんというか、料理だとスパイス的なやつ。ピリッと來るじが好きみたいな」

察しが悪いのか、それともまだ調子に乗ったままなのか。腹立つ顔で煽ってくる。

「奈々の場合ピリッとじゃないから! ビリビリ來てるから。全に!」

「それなら今度はもっとネタ増やしてみる? むーくん辛いの好きだったよね?」

「料理の話じゃないから! というか増やすんじゃなくて減らすの! なんならゼロにして貰えませんかね?」

「それは強制なのかな? ゼロだけに?」

「だからそういうのを止めてくれって言ってるの!」

微妙に僕が分かる範囲で選んでチョイスするのが更に腹立つ。

おいこら。片目を隠すポーズするじゃあない。

「ふ~ん。そこまで言うなら止めてもいいけどさ……その後のフォローはむーくんがしてくれるんだよ…ね?」

願いが通じたのか、憎たらしい笑みから仏頂面に変わっていく。

そしてその目線は柵の向こう側に広がる青い海へ向けられた。

「どういうこと?」

「それは確実にキャラが薄くなるから………って言ったら納得してくれる?」

「キャラ?」

この子は急に何を言いだして……。

「うーん。ごめん。この場合はアイデンティティの方が世間的に正しいのかな」

困った僕の顔を見て、そう訂正する。

「ああ、そっちね」

「そうそう。まあ私的にはキャラの方が好きなんだけど」

その言葉にからかう様子はない。

「私が生きる私の世界。この両手が屆く1.5メートル。この両目で捉えきれる全て。限られた無限の世界。そういう現実の一つとして、考えたことある?」

変わり始める口調に次に出そうとしていた言葉が霧散する。

「リアルだってみんなキャラ付けぐらいしてる」

「それって……」

「今いる五人の中での私の立ち位置」

し前の奈々とは一変して大真面目に語りだす。

「みんな數年ぶりに再會して互いの距離をはかっている。何が好きで、何が嫌いになったのか。空白の期間に何が起きたのか。くりくり坊主の野球年だった誠二くんが、何故野球を辭めて。代わりに大人びて見えるようになったのか。みんなだって確実に変わってるから知りたいと思っている。一緒にいたむーくんだって変わってる」

「それが普通なんだから、だからあえてね。私は地雷を踏んだの。そうした方が手っ取り早いからね。もし失敗したらフォローはするつもりだったし。私がしなくても二人がバランスを取ろうとしたはず。それに笑って済ましてくれるように、スパイス……まあボケをしたよ。わざとね。でもそれがいいんだよ」

「ぶすーっとした顔で気難しい話しても、頭にってこないって。まあ私はそう言うのも好きなんだけど。それよりも一度聞いて笑い飛ばして忘れちゃうか。そんなもんかって慣れちゃえば楽なんだよ。うん。そうなんだよ。というわけで……」

が大きく息を吐く。そしていつもの笑顔が帰ってくる。

線しちゃったね。それで何の話だったっけ?」

白々しい。

ほんとの本當に白々しい。

く笑えばすべて許されると思っているのだろうか。

こちらにだって言いたいことはあるが、ここで僕が言うべきことは一つだ。

「ふざけるのも程々にしてくれると助かる」

「ふふふ。了解~」

はぁ…………。

これが僕と彼の距離

とても遠くて凄く近い。

明な壁一枚がそこにはあって、未だにそれを壊せないでいる。

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