《HoodMaker:馴染と學生起業を始めたのはいいが、段々とオタサーになっていくのを僕は止められない。<第一章完>》學生起業の白と黒とグレーゾーン2

やばい……。

やばいやばい……。

やばいやばいやばいやばいやばい!!!

陣からは見えない場所へ移

「誠二。まずは落ち著いて聞いてくれ」

「落ち著くのは禮夢の方だと思うけど……」

「確かにそうだけれど!!」

「それぐらいやばい事に気づいたって話なの!!」

額に冷や汗ってやつが浮かび始めている。

「というと?」

「先週遊んだ時、妙なテンションで話してたの覚えているよな?」

「もちろん」

「稼いだら東京に遊びに行きたいとか、まあまあ良い車でドライブ行きたいとか、ドームライブ見たいとか。あと、下世話な話も々と」

「五々苑で良い腹いっぱい食べたいとも言ってたね」

「それも言った」

「あと新しいスマホしいとも言ってた」

「それも言った」

「マジ顔で『これから先、ぽっと出の男に奈々は渡せない!!』とも言ったね」

「……………………………………………言ってたっけ?」

「言いました」

「あああああああああああああっ!」

に鳥が立つ。

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「いや~あれは録畫しとけば良かったなぁ~~~」

「あああああああああああああああああああああああああああああああ」

「うっさい!! それ以外にも小っ恥ずかしいこと言ってたけど……で、本題は?」

「はぁ…はぁ…はぁ………………今言ったやつ」

俺は頭を抱えながら答える。

「どゆこと?」

「多分、あれ全部聴かれている…………」

「聴かれてるって…………あっ、ドローン……」

誠二もようやく気付いたのか余裕が消え始める。

「後半の會話も丸々全部聴かれていたと思う?」

前半は起業の話で盛り上がったが、後半はあまりにも調子に乗りすぎた。

あれは子に聴かれちゃいけない。

特に奈々には!

「あぁ~~~………………」

誠二が変な聲を出しながらフリーズ。

「誠二?」

「……………っ」

あれこれ思い出しているのか、こちらの聲が聞こえていない。

「えーあー……うん。そうだ。そうだよな。自分は自分。人は人。大丈夫。大丈夫だ。問題ない……」

一人ブツブツとつぶやいている。

「えっと、自己完結しないでこっちも助けてくれない?」

「うおぉっ! すまん。それで何だっけ?」

「全部聴かれていると思う?」

問題はそこだ。

人の立ち話を最初から最後まで録畫していたのだろうか。

流石にそんな無粋な真似…………。

…………するかもしれないなぁ。

「その可能はある……けど、それだともっと茶化してきてもおかしくはないし、あんなを持ってくる必要もない」

渉材料としてまだ出してないだけとか」

「だとすれば、戻って畫出されたら……心折れる可能大。というか奈々に知られているだけでもう……」

今頃子三人で俺たちの事を馬鹿にしているのだろう……そう思うだけでめまいがする。

「まあ俺は問題ないけどね」

「なんで!?」

あんなにうろたえていた癖に!?

「よくよく考えてみると俺は誰にだって同じことを言う。いつかビッグになるって、を張って言える」

「おお~~」

「それに恥ずかしい発言をしたのは禮夢だけだから」

「なっ!!?」

「大丈夫。大丈夫。別に世界の中心でんだって問題ない」

「そこは奈々が恥ずかしいかもしれないだろ」

「まあそうだよな」

それが致命的なのだ。

「あ、ちょっと待って。もし知ってたら、帰りの時點で冷やかされてもおかしくない?」

「確かに……そうなると帰ってから録畫を見た可能の方が高いな」

「なるほど。じゃあ、あの日データを持ち帰ったのは……」

一番楽しんでいた黒髪人が、にっこにこでSDカードを引き抜いていたのを思い出す。

「うーん…………」

二人して頭を抱える。

すると傍から足音が聞こえ、顔を上げるとあの日と同じ笑顔がそこにあった。

「呼んだ?」

「うわっ!!!???」

「凜! なんでここにいるんだよ」

絶妙なタイミングである。もちろん悪い方向で。

「なんでって……何となく?」

「いやいや、何となくで男の會議にってくるなよ!」

? ……っていう割には駄々洩れだったけど」

「えっ……もしかして全部聞こえてた?」

「所々は……まあ奈々たちには聞こえてないと思うけれど」

右手に缶コーヒーを持っている。

どうやら自販売機までは聞こえていたらしい。

「あぁ………」

「一応、本當に禮夢にとって大事な話の最中だからさ……」

誠二がフォローしてくれる。

「ふ~~~ん大事な話ねぇ~~~~?」

ジト目で見られると、なんだろう。全てを見かされるというか、もうバレバレだというか……。

「えーと……はい。大事な話です……」

「くくくっ」

あ~この反応。

どうやら最後の希は潰えたようだ。

「禮夢さぁ……今でも奈々のこと好きなの?」

「え? 今なんか言った?」

せめてもの悪あがき。

「はぁぁ…………だーかーらっ! 今でも片思いしてるのかって聞いてるの!」

「黙権を……」

どうにか凌ぐ方法を。

「ほーー。しらばっくれるつもりですか。よーし、それなら今直ぐに鑑賞會だね。秋――! 奈々―――!!」

「だあああああああああああ!!! 白狀します! 白狀しますからデータ消してくださいいいい!」

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