《HoodMaker:馴染と學生起業を始めたのはいいが、段々とオタサーになっていくのを僕は止められない。<第一章完>》海岸沿いで食べるカップ麵1

晴天。絶好のおでかけ日和に俺たちRe:Unionは全員で仕れに出ていた。

「うにゃ~~なんか疲れた~~~」

秋が両手にぶら下がっていた買い袋を車の傍でおろし、大きくびをする。それ対し「ね~」と賛同する奈々と凜。

「こら、事務所に戻るまではそういった話は止って言ったでしょ」

俺は仕れた商品をトランクに詰め込みながら注意する。

この後も誠二に事務所まで送ってもらうのだから、そういった話はNGと言ってあったのだ。

「別に禮夢が免許取ってくれれば問題ないのだけれど?」

「あ~誠二さん、それに関しましてはもうしばしお待ちを」

あと、こうなってしまうので…。

「楽しみにしてるからな~」

まあ、俺もみんなと一緒に遠くに出かけるのは楽しみではある。

ただもうちょっとお金貯めないとなぁ。奨學金は全部學費で消えるし。さて、どうやって準備しようか。

「今日の仕れはこれぐらいにしておこうかな」

誠二がトランクいっぱいに積まれた買い袋を見てそう呟く。

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「しておこうって……もしかしていつもはもっと周ってるの?」

「いや、全く。ただ久しぶりに足使って探すのも面白いから、もうしっていけるかなって、一瞬思っただけ~」

帰宅ラッシュよりもし前。ほくほく顔で車に荷を詰め込んだ誠二。

それとは逆に、俺たちは初めての仕れに目を丸くしていた。

最初に向かったのはリサイクルショップ。その次にディスカウントストア。ショッピングモールに家電量販店と続いて、最後に別のリサイクルショップ

なんと日中の間で5件も梯子した。しかも全部車移。ただ誠二の話ではこれでも、まだまだない。

ベテラン勢は常に線を決めてから行しているらしく、一分一秒を惜しむように買い込んでいるとのこと。

時には、コンビニの配達トラックを追走し、荷と同時買い占めていく転売ヤーもいるとか。まあ確かにガソリン代も馬鹿にならないし、効率よくかなくては儲けなんて出ない。

今は俺たちがまだ研修中であること、後々輸販売に切り替えることから、省いてはいるけれど、な考え方だけ、は參考にしたいと思っている。

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お店では、誠二が事前にリストアップした商品を探しつつ、売れ殘りの中に良い値が付きそうなものを見つける練習をした。

と言っても、それぞれ関心があるジャンルの商品をよく見て、この島で売られている値段を覚えるのがコツだとか。

出來るのなら、普段の生活から値段に対して関心を持つようにすると習得が早いらしい。

それをまるで『特売セールに現れる主婦みたいだ』なんて言うと、『まさしくそれだ』と褒めてくれた。

なんか嬉しい。

更に一歩先に進むと、店員と仲良くなるようにとアドバイスされた。

リサイクルショップで誠二は顔見知りの店員がいるのか、お店にはまだ出ていない商品を先に見せてもらっていた。そこでジャンク品と呼ばれている、俺たちの目線では壊れているようにしか見えない商品を手に取り味。

壊れているので低価格だけれど、手直しして使えるようにしたり、バラして単品売りなどが出來るようで、見ている側からしても結構評価の高い仕れ方だった。

まあ機械にそこまで詳しい訳ではないけれど、慣れれば直ぐわかるし面白い。

そして最後に一つ面白い話を聞いた。

『この島は寶島ってやつなんだよ』

実はこの島。

本土からかなり離れているためか、公表されている荷日と比べると荷するまでにラグがあるらしい。

そこを狙ってみる大きなものが釣れると。

この島をぐるりと一周しようとすると、車を使っても半日はかかる。

そんな大きさなので、まあまあの數店があるし、それなりの荷數が見込めるのだ。

流れとしては専用のアプリで商品を毎日チェック。

需要がある商品を探し。販的には遅れ気味のタイミング。

つまり本土の市場で売り切れてしまった商品でも、船に乗ってどんぶらこ、どんぶらこしている時間あるので、この島に著く前に予約したり、ちょっと探し回れば見つかるという。

実際、今日もそういった商品を見つけた。

ただその恩恵もケースバイケースのようで…。

「このプラモデル。今、相場の三倍になっているんだよね。確か在庫は10個あったから、全部売れれば4萬の利益……」

壊れやすい商品を最後に詰める際、チラリと見えたプラモデルの箱を見て二人が呟く。

「確かに4萬はデカいけど、それよりも大事なものがあるからさ」

そのプラモデルはトランクの中に二箱。

うち、奈々の私となったのが一箱。

「ま、約束だしね?」

そう言って誠二は笑うのであった。

* * *

「ねえねえ! これからどっか食べに行かない!?」

にエアコンが効き始めた頃。秋が唐突に提案する。

「なんやかんやで帰るのは18時後になりそうだし、このまま帰るのも勿ないなぁって!」

乗り気の子さんがコクコクと何度も頷く。

「ちょい待て! 勝手に決めるなよ。元々夕方までの予定だっただろ!?」

またもストッパー役を買って出る俺。

それに、さっき疲れたと言っていたが一番この中で疲れているのは誠二のはずだ。

流石にドライバーの意見を無視して、勝手に予定をばす訳にはいかない。

「誠二大丈夫か?」

「俺は別に構わないよ。仕事で遠出することもあるし、これくらい慣れてるからさ」

実に寛大である。

それを聞いてガッツポーズを取る秋。

「ただし高い飯はNGね」

その言葉に今度は「NO~」と悲鳴を上げる。

「まあ今日は大量に買い込んだもんね~」

凜の言う通りである。

それこそ諭吉がポンポンと飛んで行った。

そして、そのほとんどの仕れを誠二が立て替えている。本當に誠二様々である。

因みに、運営資金はそれぞれで毎月1萬出すことになった。利益に関しては、大きな取り分が確定するまで常時ベット。また仕れに滯りが出るといけないので、會費形式を採用した。この形を提案したのは凜と秋。

最初、この形が提案された時は、誠二が結構反発した。しかも元々は毎月2萬という話だった。夏の目標に合わせるならそれぐらいは必要と考えたのだろう。しかし、これだとトラブルが起きる可能がある。仲のいいメンバーに亀裂がるものはなるべく排除したい。そう主張した。

學生で毎月2萬は中々できるものじゃない。誠二の主張には俺も賛同した。

確かに難しい。ならどこから資金調達するのか。

すると誠二が『俺の名義で30萬借りる予定』なんて言い出した。

ちょっと待て。

それはそれで問題があるぞと、他のメンバーから聲が上がった。結果。毎月1萬の會費形式にプラスして経営が軌道に乗りメイン商品の確定後、運転資金を借りる。という、あくまでも仮決定が行われた。なぜ仮決定なのかと言うと「絶対的なルールは直ぐに足かせになる。に対応していこう」と、濁しをしたからだ。

まあそんな、ひよったじのすり合わせの末、今日の仕れになったのである。正直、話し合いをする時間が長くなってしまうとじた。やっぱり5人もいると意思決定に時間がとられる。

でも、それはそれで楽しかったりする。

何だろう。起業といいつつも、軌道に乗るまではサークルのようなノリなのかもしれない。

と、まあ話はここまでにして外食の件についてに戻る。

「高いのNGなら、選択肢としてはラーメン・定食屋とかになると思うけど」と提案するのは凜。

「別に特別味しいもの食べたいというよりは、雰囲気! なんか特別を味わいたい!」と主張するのは秋。

「特別かぁ。それならスーパーで買い込んで事務所で作るとかは?」と代替案を出すのは奈々

「それもありっちゃありだけど、最後に片付けとかする気力が殘っているかが分からないし…それに…」

「あっ………」

奈々除く4人が「それに……」の後に続く言葉を察し、何とも言えない聲をらす。

そう…この流れで事務所に向かえば、間違いなく『アニメ鑑賞會』が始まってしまう。

それだけは避けたい。

というのも、つい先日。奈々提案でアニメ鑑賞會が行われた。

多くても映畫1~2本。3時間もすれば解放されると思い込んでいたメンバーは、奈々の真の姿にを震わせた。

「今日は……ね? 殘りはゆっくり過ごしたいかなぁ~って」そう秋が付け加える。

奈々が選ぶ作品は結構センスがいい。

普段手に取らないであろうタイトル。それでいてかなり高評価。めったなことがない限りハズレを持ってこない。

時々わざと見せつける事もあるが、それこそ『誰かと馬鹿にしながら見るのがいい』だなんて、品のないことを主張したりする。

で、一番の前回のラインナップはアニメ映畫だった。

因みに観たタイトルは『楽園〇放』『劇場版_〇戦記』『劇場版_メイドイン〇ビス』『劇場版_生徒會役員共』の順番である。

まあどれも面白く、そして…。

「ちょっと、頭が追い付かないというか。いや、クオリティが良すぎて理解させられるのだけれど、メンタルが追い付かないというか」

あまりの出來の良さに、一つ上の解釈を強引に理解させられる。

つまり報量が多すぎるのである。それもう満漢全席を4周したような気分だ。

そして圧倒的クオリティで3回黙らされた後に、最後にド下ネタギャグアニメを投げつけてくるこのセンス。悪魔である。

「でもでも、事務所にはまだ新〇誠作品_BDBOXが用意……」

「卻下!」

何本見るつもりだ!

「じゃあ、むーくんはいい案あるの?」

「それは…」

金がかからず、特別じる食事処…。

「俺が知ってるところは定休日だし…」

誠二からの代案はなさそう。

特別……安い……特別……。

その二つを反復しながら、記憶をたどっていく。

―――――あ。

「じゃあさ。あそことか……どう?」

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